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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
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神の職場

そこで織り成されしは、狩人と獲物の構想。

幾度も向かい、集め、散り……弱肉強食そのものであった。

幾つの獣が、竜が、飯が、外装が、力が生まれ続けた。

だからこそ愛されていた。


鎮魂歌(レクイエム)を__永遠に語り継がれよ彼の世界__

 真っ先に全員を困惑させるという、俺らしい結果だ。しかし微塵も後悔していない。

 黒に白が無数に飛ぶ空間。その中に置かれた円卓を囲う、並々ならぬ者達。神へ入り切った上位者達。龍、巨人、精霊、神人等々…が一ヶ所に集う。幻想存在の全てが集約されたような場に、何故オタク属性持ちが、知る中で最も深い礼をせざるに居れようか。


「ゼノム、お前の席は……あ、ない」


 超高品質な木……下手をすれば〈(ウッド)界樹(オリジナル)〉の素材で作られた椅子だ。自分の分がなかったとしても、キレる事はない。ただ。


「椅子になるよ?」

「来るがいい」


 連れた天使が椅子になろうとするのは、どういう教育をしてしまったのだろうか。むしろ俺がなりたいものなのに……。


「ひとまずこれで」


 巨大鱗が、目の前で削られ三人は座れる台が出来上がる。


「痛いぞ、ヴェラド」

「許せ」


 取りたての鱗だったようだ。龍の最高素材……削った分は貰えるのだろうか。


「まだ渡せんな。危険過ぎる」


 ヴェラドに心を読まれて否定される。『まだ』なんですね。


「今回で年単位の空きになればいいが…〈神会〉を始める」


 確実に俺のせいで、短スパンになっていたのだろう。まぁ、あれだ、不死存在のボケ防止になっていたんだ。そう思って議会(?)に臨む。


「まず件の〈魔王(ゼノ)〉が俺らの傘下になった」


 ヴェラドから立てと合図を送られる。卒業式のような気持ちで立つ。


「ご紹介いただきました、元〈魔王〉ゼノム・ルマ=アウゴです。別の世界から来ましたので、魔法世界(ここ)の事は不明点が過多でして、どうかお教え下さい。よろしくお願いいたします」


 別の世界以外は、障りのない言葉だったはずだ。致命的なものになる可能性なんてない、消極的な雰囲気を出せたのだから。

 しまった、代替わりしてないなら、力技による記憶消去をけしかけた存在達だ。むしろ反抗的な態度の方が、好感を持たれるかもしれない。


「それで、私を見ているのは何故かね?」


蟲人(インセクト)〉が視線に気付き、問われる。


「格好いいからです」


 率直な言葉で返す。正義の使者な甲殻に身を包んだ存在、心を躍らせる要素が極限に積まれているのだ。暇さえあれば、見てしまうのもしょうがない。


「あたしらは~?」

「小さきものは美しい」


 〈妖精(フェアリー)〉からの問いも即答。正直に言えば椅子じゃなくて、俺の肩か頭頂に座っていて欲しい。


「どうかな?」


 シュアが対抗心からか、小さくなって目の前にいる。会としては無駄話になるので、手で愛でるのみに留めた。


「ではまず規約だな」


 そう言うと白磁肌の女性が何かを〈念力〉で俺に渡す。持たされたのは、USBメモリのような何かだ。


「待てないから後で読むように。次に、この書に〈魔法筆〉で名前を書いてくれ」


 巻きで入会が進められている。前世界でも詐欺を疑いつつ。


「よろしいでしょうか」


 書いてしまう状況だ。今は、後戻りすら不可能な気もするのでよりアカン。


「これで正式に我々の仲間だ」


 神に受理された契約、反故は死をもって償うのだろう。現に魔力が抜かれた感覚がある。


「それで、私はどの方のお世話になるのでしょうか?」


 全員がとぼけた顔をし、即座に曇る。突発すぎて決めてなかった空気だ。あぁ神よ、貴殿方の正気を疑うことをお許し下さい。そもそも誰が誰かも分かっていないのです。


「……とりあえず紹介からだな」


 爽やかな声でヴェラドが方向性を定め、自ら進んで流れを創る。


「正式に言えば〈(ロード)(・オブ・)(ユニバース)〉をやっているヴェラド=スワロネだ。ここに集まる全ての統率を取るのが、主な仕事」


 〈時空王〉が正式……役職だからいずれなることが出来るのか?


「次、レプト」


 流石は進行役、使命すれば動くしかないのを上手く使ってる。


「〈神龍(ドラクル)〉のレプト・プラザだ。座り心地はどうかね」

「最高です!」


 椅子の鱗の主はレプト。多分、弄られ役でありながら一番強い存在だ。そうでなくとも〈龍〉素材が取れるだけで価値がある。自然鉱物の〈日緋色金〉が〈龍鱗〉に勝てる訳がないだろう。


[お前は狩りすぎた]


 毒されていると言いたいのだろう。理解の及ぶ同類程、敵対した時は厄介……《内対》だけあるな。


「レーウェン」

「〈真祖(ドラクル)〉のウルテ・ノルツ・レーウェン。あの惰龍とは違うからね?」


 白磁肌の美女は〈吸血鬼(ヴァンパイア)〉の上位存在だった。うむ、色々吸って欲しいものである。


「センペカ」

「〈神人(ニアマン)〉のセンペカ・ぺニー・ぺリオ・ぺアル・ぺナ・ぺミガ・ぺス・ぺキ・ぺッジ・オぺヨ・ぺケスト・ハーンぺ・カぺカぺ・コーぺ・カヌぺー・ぺタ・ぺテオリオ・ぺぺぺ・ぺンゴウス・ぺッツア・ぺネト・ぺユーザアイ・ぺイ・ぺ。センペカだけでいい。仕事としては商法的調整だ」

[復活しそうなペの数だな]


 書類の書き方が面倒そうな人に、商法を任せるとか大丈夫か?名前の長くなった理由が知りたい人だ。


「ラビオン」

「〈皇蟲(エンペリオン)〉のラビオンだ。生命の円環とヴェラド様の矛をしている」


 韻踏み紹介となったラビオン。〈原初球(エデン)〉の土地の再生をする時に、頼らせてもらおう。


「グリ」

「あたし〈妖精(ミニ)女王(クイーン)〉のフロ~!こっちのは〈精霊(チビ)〉のレエ」

「〈精霊女帝(エンプレス)〉です」


 元気っ娘かぁいい…………餌付けで籠絡を目指すべきだな。


「グリナ」

「〈地将軍(グランド)〉のグリナ。星ごとの〈龍脈〉管理をしておる」


 スルトからの情報は黙認か?そんな気配の巨人。


「他にも来てはいるが力関係から、紹介出来るのはこいつらだけだ」


 彼らの中から、仕事を選ぶという事なのだろうが。


「何柱か仕事内容を言っておりませんが」

「…………レプトは星警備、レーウェンは情報管理、フローとレエは環境整備だ」


 追加の情報を貰い悩む。管理職が基本であり、自制心がかなり足りない俺にはキツイものばかりだ。行けそうな星警備も、危険と隣り合わせだ。

 シュアが身重になった時を考えると、一番難しいものかもしれない。


「シュア、どれが良さそう?」

「環境整備かな、気持ちいいよ?」


 癒しか……癒しなんだな。恐らく空気中の魔力や、放たれた妖精や精霊の調整をするのだろう。細かさが求められ《内対》が働き詰めになりそうだ。


「ルシ()()さんは?」

「星警備だな。イレギュラーへの対応は愉快での」


 血を求めてやがるぜ、その案に乗ろう。まだまだ俺は強くならなければ!!


「レプト様、よろしくお願いします」





 拗ねたシュアの機嫌は、二週間かけて好転させた。

《内対》[未プレイでこれかよ]


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