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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
106/261

熾天使2

ご都合主義「ふっ!ふんっ!はぁん!しょおー!」


チート「馬鹿な!貴様っ!!何を考えている!?」

俺 「なぁに、ちょっとしたフラグを立てるだけよ」

ガールズラブ「止めなさい。タグ設定を間違えるより凶悪な事よ?」

俺 「俺の流れは止められん。むしろ止めて来て、何度も失敗してきたのだからな!!」


シュア「遊ぼー?」

俺 「Fooooooo!さぁ早く行け!遊ぶ時間を作るのだ!」


ご都合主義「オーダー……始動」

 ゼノムの背中から〈龍〉が漏れ出る。緋、紺碧、深緑、琥珀、漆黒、純白、透明、七つの〈龍〉は渦となり、ゼノムとラファエルを囲うように飛んでいる。


「何だ!! ラファエル!?」

「知らない!!」


 余りに突飛。ラファエルへ情報の隠蔽が過るが、実に感情の籠った否定により否決となる。


「〈壊恒打(バーンヘリオス)〉!!」


 ウリエルが一撃を叩き込む。恒星さえ形を崩す一撃、衝撃がガスを伝い〈(ルナ)〉を揺らす。それを受けても〈龍〉は依然と動いている。


 ゼノムが、ラファエルを抱きしめて浮き始める。〈龍〉は螺旋を描き、正しく竜巻を織り成す。


「「「〈輝霊(アウゴエイデス)解放(カット)〉!!」」」


 〈熾天使(セラフ)〉達は制限を解放する。魂の枷、ヴェラドよりかけられた物を外す。ミカエルは〈半蛇(エキドナ)〉ウリエルは〈半馬(ケンタウルス)〉ガブリエルが〈(ファルコン)頭〉へと戻る。


「〈龍〉の因子は、天上より乾坤を見渡す故にあり。〈粘〉の因子は、原初に還る故にあり。〈人〉の因子は、前よりの縺れにあり。〈魔〉の因子は、望みなり。ゼノム・ルマ=アウゴ、我、今ここに再臨す」


 空間が変わる。ゼノムの意が、ミカエルの支配を塗り替えたのだ。空間支配内に在るのは愚策、されど、逃れることもままならない。


 ラファエルは目を閉じて待機している。〈輝霊解放〉を目の前で許すような、状態ではないと推測したためだ。しかし暴走らしくもないのは、疑問が尽きない。


「さて、癒天使よ。君は向こうへと行ってくれ」


 ゼノムの指差すは〈熾天使〉大人しく従うしか、ラファエルにはなかった。


「〈輝霊解放〉」


 彼女も選抜の時へ戻ろうとした。


「キュ?!」


 下半身が魚になるはずが、全て白毛に覆われている。更には声さえも別物だ。


「キュー! キュッキューー!!」


 ゼノムへ抗議の声を上げる。彼は両手で顔を覆い、歓喜の回転をしていた。


「麗しの天使の軽微な怒り。は~、撫で回したい」

「ゼノムよ、その力は何ぞ?」


 素に戻ったと思い、ガブリエルが問いをかける。ゼノムは指で頭を叩きながら。


「今の~…限…界?」


 と短い答えを出す。何の考えようのない答えに、会話の不用が決定した。


 〈(ルナ)〉の周囲に爆発が咲き乱れる。高位の霊同士が魔力をぶつけ合い、純度を高めていたせいだ。


『〈梵浄一擲(クリアリティ)〉』


 〈天使軍(キリエ)〉の艦隊は全滅し、たった一つの光線を残して消えた。

 ゼノムはそれを避けようとしない。むしろ大の字で受け止める気を見せる。直撃、光に飲まれゼノムの姿を確認することは出来ない。何が起こっているのか、最高と最低の予想が入り交じる。


「消えて」

「やれないよ」


 ミカエルの呟きをゼノムが、真横で止めた。ミカエルは飛び退き睨み付ける。


「舐めた真似を!」

「後悔させてやるぜ?」


 光速の連続突き。ゼノムは指先の極小の結界で、受け流してゆく。


「「「〈完全凝固(フリーズ・ワールド)〉!!」」」 


 重力と時と空気。それらを同時に、止める為に開発された魔法を唱えた。ゼノムとミカエルの両方を捉えた、範囲魔法である。


「我が歩みは止まりなきもの。永続に進むが故に全ては(こうべ)を垂れる。我が歩みを妨げる汝ら、静となるべし〈魔質不操作(マジックキャンセル)〉」


 三人は飛翔不可へと陥り、宙をさまよう。


「最初の日はここに生まれよ〈純陽(ファーストアトマイト)〉」


 ミカエルは最終攻撃へと出る。光と火の複合属性、その最終とも言える〈純陽〉。〈魔〉への効果は絶大だ。流石にこれにはゼノムも、顔をしかめる。


「ハッハー、これは敵いませんなぁ」


 諦めていない笑顔へと瞬間的に変わる。予想がつかず、ミカエルは発射を遅らせてしまう。


「現れよ、混翼の天使(ルシュフェル)」 

「待ちくたびれたぞ…………おぉ、ミカエルか。久しいな」

「その姿は……?! ゼノム!!」

「こやつが投げ入れた素体よ。縁でもあったかえ?」


 見えずに放ち、何が起きたか分からないまま敗北し、天国で知った方が良かっただろう。禁忌……〈堕天(フォール)〉を始めてしまったのだから。

 ミカエルの翼の根が黒くなりゆく。


「許さない許せない赦さない赦せないユルサぬ!!!」

「どれ照らしてくれようぞ」


 慈悲を覚えたのかルシュフェルは、救いを致そうとし始める。圧倒的な光で、完全に『悪人』となる前に。

 ゼノムより供給された弟妹達の光を、自らの光へと変えた。少なくとも〈原初球(エデン)星系〉に遍く全てを照らす、大いなる輝きを放つ。


「ヤミよ失せよ!!」

「〈浄法(クリーンアーツ)染光聖徒(ライトアップビリーバー)〉」


 ルシュフェルより溢れる光に〈純陽〉は包まれる。ミカエルが己を理解した時には、光に全てを落とされるのが確定していた。


「姉様……クレイ…………」


 その言霊も光が包んだ。その包みはルシュフェルに届けられ。


「暫し眠れ、妹よ」


 労いの言葉を彼女は呟いた。

_______________________________________________





「何があった」

[まーた無意識かよ。そろそろ超次元干渉を疑うぞ]


 起きたら終わっていた。一体、何を言っているのか自分でも分かってない。体や魂的な疲労から、俺がした事なのは分かっているが。


「記憶にございません」

「ゼル………」


 ラフ…シュアが三つの球状に光る何かを持って、俺らに近付く。色合いからして、他の〈熾天使〉のものだろう。火力、攻撃距離、耐久値を上げるのに丁度よさそうだ。


「何で……黙ってたの……?」


 あっヤバい。これは何言っても駄目な奴だ。しかし答えないのは最も駄目。


「こんな真っ黒なの連れてるって知ったら、心が疲れるだろうと」

「そんな! 私に信用がないの?!!」


 足先から氷塊を飛ばして来る。涙の形なのは意識の表れか。


「そりゃ全部言いたいさ、けど最初から飛ばして潰れたら最悪だr」

「Hは最初から飛ばした癖に!!」

[はい、論破]


 くぅっ! 言わなきゃ勝手な解釈、言えば反論の余地のない言葉を刺される。最悪とも言える状況だ。


「お姉ちゃん! ゼルとどんな関係?!!」

「…………深度7。儀式自体では3だが、魂の空間まで普通に行けるからな」


 シュアの涙腺が崩壊している。儀式の時点でアウト、しかも《内対》の時とは違って、説明なしでヤったのだから。


「[寄り添え]」

「…はい…」


 懺悔を女性二人に命令されるまで、土下座しかしていなかった自分を恥じる。するべき事を違えるとは……間に合うなら、デュラムに魂を捧げるべきか。


 シュアは何度も涙を拭い顔を隠す。どこぞの顎長のように、後ろから抱き締めず、ひたすら目を合わせ続けれるまで待機する。こういう時に直に手を、加害者側から出すのは駄目だ。


 目が合う。言の葉を飛ばすのは今しかない!


「俺が悪かった。黙ってた事、信用されてないって思わせた事、泣かせた事……全部、俺のせいだ。申し訳ないです」


 思い付いたものを全部伝える。一切《内対》を通してない、純粋な俺の謝罪。


 「………ゆるす…………………撫でろ、主に頭を」


 グズるシュアからの、お触りの許可が出た。ここでも決壊したダムのように撫で回すのではなく、労り十割でやるのが適解。


「とりあえず帰りに何しようか? オススメのお店とか?」

「気が早いんじゃないか? ゼノム」


 これまでの誰とも違う声。俺は振り返り、《内対》と意味が、ルシュフェルと言葉が合う。


「「[何……だと……?]」」


 そこに立っていたのは、白縹色の髪をした少女とも少年とも言える存在。


「俺はヴェラド=スワロネ、この世界で最高神をやっている」


 見覚えのある姿の存在だった。  

ルシュフェル「余の方が正妻(メインヒロイン)なのでは?」


ゼノム「恋しているシュアには盲目で

    恋てないルシ義姉をしっかり見てるだけだから」


《内対》[もはや不倫である]

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