熾天使2
ご都合主義「ふっ!ふんっ!はぁん!しょおー!」
チート「馬鹿な!貴様っ!!何を考えている!?」
俺 「なぁに、ちょっとしたフラグを立てるだけよ」
ガールズラブ「止めなさい。タグ設定を間違えるより凶悪な事よ?」
俺 「俺の流れは止められん。むしろ止めて来て、何度も失敗してきたのだからな!!」
シュア「遊ぼー?」
俺 「Fooooooo!さぁ早く行け!遊ぶ時間を作るのだ!」
ご都合主義「オーダー……始動」
ゼノムの背中から〈龍〉が漏れ出る。緋、紺碧、深緑、琥珀、漆黒、純白、透明、七つの〈龍〉は渦となり、ゼノムとラファエルを囲うように飛んでいる。
「何だ!! ラファエル!?」
「知らない!!」
余りに突飛。ラファエルへ情報の隠蔽が過るが、実に感情の籠った否定により否決となる。
「〈壊恒打〉!!」
ウリエルが一撃を叩き込む。恒星さえ形を崩す一撃、衝撃がガスを伝い〈月〉を揺らす。それを受けても〈龍〉は依然と動いている。
ゼノムが、ラファエルを抱きしめて浮き始める。〈龍〉は螺旋を描き、正しく竜巻を織り成す。
「「「〈輝霊解放〉!!」」」
〈熾天使〉達は制限を解放する。魂の枷、ヴェラドよりかけられた物を外す。ミカエルは〈半蛇〉ウリエルは〈半馬〉ガブリエルが〈隼頭〉へと戻る。
「〈龍〉の因子は、天上より乾坤を見渡す故にあり。〈粘〉の因子は、原初に還る故にあり。〈人〉の因子は、前よりの縺れにあり。〈魔〉の因子は、望みなり。ゼノム・ルマ=アウゴ、我、今ここに再臨す」
空間が変わる。ゼノムの意が、ミカエルの支配を塗り替えたのだ。空間支配内に在るのは愚策、されど、逃れることもままならない。
ラファエルは目を閉じて待機している。〈輝霊解放〉を目の前で許すような、状態ではないと推測したためだ。しかし暴走らしくもないのは、疑問が尽きない。
「さて、癒天使よ。君は向こうへと行ってくれ」
ゼノムの指差すは〈熾天使〉大人しく従うしか、ラファエルにはなかった。
「〈輝霊解放〉」
彼女も選抜の時へ戻ろうとした。
「キュ?!」
下半身が魚になるはずが、全て白毛に覆われている。更には声さえも別物だ。
「キュー! キュッキューー!!」
ゼノムへ抗議の声を上げる。彼は両手で顔を覆い、歓喜の回転をしていた。
「麗しの天使の軽微な怒り。は~、撫で回したい」
「ゼノムよ、その力は何ぞ?」
素に戻ったと思い、ガブリエルが問いをかける。ゼノムは指で頭を叩きながら。
「今の~…限…界?」
と短い答えを出す。何の考えようのない答えに、会話の不用が決定した。
〈月〉の周囲に爆発が咲き乱れる。高位の霊同士が魔力をぶつけ合い、純度を高めていたせいだ。
『〈梵浄一擲〉』
〈天使軍〉の艦隊は全滅し、たった一つの光線を残して消えた。
ゼノムはそれを避けようとしない。むしろ大の字で受け止める気を見せる。直撃、光に飲まれゼノムの姿を確認することは出来ない。何が起こっているのか、最高と最低の予想が入り交じる。
「消えて」
「やれないよ」
ミカエルの呟きをゼノムが、真横で止めた。ミカエルは飛び退き睨み付ける。
「舐めた真似を!」
「後悔させてやるぜ?」
光速の連続突き。ゼノムは指先の極小の結界で、受け流してゆく。
「「「〈完全凝固〉!!」」」
重力と時と空気。それらを同時に、止める為に開発された魔法を唱えた。ゼノムとミカエルの両方を捉えた、範囲魔法である。
「我が歩みは止まりなきもの。永続に進むが故に全ては頭を垂れる。我が歩みを妨げる汝ら、静となるべし〈魔質不操作〉」
三人は飛翔不可へと陥り、宙をさまよう。
「最初の日はここに生まれよ〈純陽〉」
ミカエルは最終攻撃へと出る。光と火の複合属性、その最終とも言える〈純陽〉。〈魔〉への効果は絶大だ。流石にこれにはゼノムも、顔をしかめる。
「ハッハー、これは敵いませんなぁ」
諦めていない笑顔へと瞬間的に変わる。予想がつかず、ミカエルは発射を遅らせてしまう。
「現れよ、混翼の天使」
「待ちくたびれたぞ…………おぉ、ミカエルか。久しいな」
「その姿は……?! ゼノム!!」
「こやつが投げ入れた素体よ。縁でもあったかえ?」
見えずに放ち、何が起きたか分からないまま敗北し、天国で知った方が良かっただろう。禁忌……〈堕天〉を始めてしまったのだから。
ミカエルの翼の根が黒くなりゆく。
「許さない許せない赦さない赦せないユルサぬ!!!」
「どれ照らしてくれようぞ」
慈悲を覚えたのかルシュフェルは、救いを致そうとし始める。圧倒的な光で、完全に『悪人』となる前に。
ゼノムより供給された弟妹達の光を、自らの光へと変えた。少なくとも〈原初球星系〉に遍く全てを照らす、大いなる輝きを放つ。
「ヤミよ失せよ!!」
「〈浄法・染光聖徒〉」
ルシュフェルより溢れる光に〈純陽〉は包まれる。ミカエルが己を理解した時には、光に全てを落とされるのが確定していた。
「姉様……クレイ…………」
その言霊も光が包んだ。その包みはルシュフェルに届けられ。
「暫し眠れ、妹よ」
労いの言葉を彼女は呟いた。
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「何があった」
[まーた無意識かよ。そろそろ超次元干渉を疑うぞ]
起きたら終わっていた。一体、何を言っているのか自分でも分かってない。体や魂的な疲労から、俺がした事なのは分かっているが。
「記憶にございません」
「ゼル………」
ラフ…シュアが三つの球状に光る何かを持って、俺らに近付く。色合いからして、他の〈熾天使〉のものだろう。火力、攻撃距離、耐久値を上げるのに丁度よさそうだ。
「何で……黙ってたの……?」
あっヤバい。これは何言っても駄目な奴だ。しかし答えないのは最も駄目。
「こんな真っ黒なの連れてるって知ったら、心が疲れるだろうと」
「そんな! 私に信用がないの?!!」
足先から氷塊を飛ばして来る。涙の形なのは意識の表れか。
「そりゃ全部言いたいさ、けど最初から飛ばして潰れたら最悪だr」
「Hは最初から飛ばした癖に!!」
[はい、論破]
くぅっ! 言わなきゃ勝手な解釈、言えば反論の余地のない言葉を刺される。最悪とも言える状況だ。
「お姉ちゃん! ゼルとどんな関係?!!」
「…………深度7。儀式自体では3だが、魂の空間まで普通に行けるからな」
シュアの涙腺が崩壊している。儀式の時点でアウト、しかも《内対》の時とは違って、説明なしでヤったのだから。
「[寄り添え]」
「…はい…」
懺悔を女性二人に命令されるまで、土下座しかしていなかった自分を恥じる。するべき事を違えるとは……間に合うなら、デュラムに魂を捧げるべきか。
シュアは何度も涙を拭い顔を隠す。どこぞの顎長のように、後ろから抱き締めず、ひたすら目を合わせ続けれるまで待機する。こういう時に直に手を、加害者側から出すのは駄目だ。
目が合う。言の葉を飛ばすのは今しかない!
「俺が悪かった。黙ってた事、信用されてないって思わせた事、泣かせた事……全部、俺のせいだ。申し訳ないです」
思い付いたものを全部伝える。一切《内対》を通してない、純粋な俺の謝罪。
「………ゆるす…………………撫でろ、主に頭を」
グズるシュアからの、お触りの許可が出た。ここでも決壊したダムのように撫で回すのではなく、労り十割でやるのが適解。
「とりあえず帰りに何しようか? オススメのお店とか?」
「気が早いんじゃないか? ゼノム」
これまでの誰とも違う声。俺は振り返り、《内対》と意味が、ルシュフェルと言葉が合う。
「「[何……だと……?]」」
そこに立っていたのは、白縹色の髪をした少女とも少年とも言える存在。
「俺はヴェラド=スワロネ、この世界で最高神をやっている」
見覚えのある姿の存在だった。
ルシュフェル「余の方が正妻なのでは?」
ゼノム「恋しているシュアには盲目で
恋てないルシ義姉をしっかり見てるだけだから」
《内対》[もはや不倫である]




