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全天録  作者: AX-02
第二章 昼
105/261

熾天使1

インフレ「ちょっと待て」


  俺 「予定と違うって?物語が固定的と思うなよ」

 シュアとの遊びは至福だった。癒天使の恍惚とした顔は、独占欲を掻き立て、汗すら聖水の気で舐め回した。


 現在は互いを包み合っている。外から見れば白と黒の大玉が接している状態だろう。


(充填は?)

[感知出来ぬぅ!]


 時間稼ぎの要因として考えられた、何かの充填だが《内対(ククラ)》が感知不能のようだ。それ以外にせよ、パワーアップを感じさせない時点で差が大きすぎる。


 行為中に抜けた、シュアの羽や毛は全て素材として使っている。予想されているだろうけど。


 やることがなくなりククラとゲームを始める。


「確率操作されてない?」

「気のせいよー」


 最大4人の討伐隊を組み、竜を殺して回る作品だ。ドロップ品が欲しい時に限って遠い『物欲センサー』なる現象も存在。ククラに情報処理を任せてあるので、乱数をずらされても違和なく続けてしまう。

 『偏る事こそランダムな証拠』格闘から核の撃ち合いまで楽しめる作品での言葉だが、その通りだと思っている。だから出ないのは気のせいとなれば、それ以上つつく事はない。


「そっちのレアは要らねぇよ!!」


 毎度のように愚痴るだけである。結局、前世界の時と同じく、本当に欲しいゴールは来ず、副産物としての交換券的アイテムも無かった。

 

 ホテルに入って19時間が経過した。シュアが翼を広げようとしているので、変化を解く。


「時間か?」

「…またね」

「服着てから出ろよ」


 姿は青髪に戻り、彼女は服を着て部屋を立った。数分後に俺も部屋を出る。

 下に他の天使がいるかと思ったがいない。成長剤でしかないとの判断だろう。


 ホテルを出ると巨大な気配を感じる。丁寧な道案内に従い、飛ぶ。


 

 気配の先に待っていたのは三対翼……やはり〈熾天使(セラフ)〉であった。


「顔合わせは始めてだな、では改めて。俺が〈魔王(ゼノ)〉、ゼノム・ルマ=アウゴ」

「ミカエル」

「ガブリエル」

「ウリエル」

「ラファエル」


 前世界から言えば珍妙そのものの空間だ。一人の患者が、マジモン四人を相手にしている構図でしかないのだから。


「天使を指して珍妙とはな」

「〈傲慢(プライド)〉最重にして失せよ」


 ミカエルが嘲笑い、ウリエルが予想で罪を定める。他の二人が何か言いそうなのを。


「ティナか」


 俺の呟きが止める。ミカエルが目を閉じ、ため息をついてから。


「覚める前の名は捨てたわ。が、クレイスの事を忘る訳がない」


 そう言ってレイピアを二つ取り出した。続いてウリエルが大鎚、ガブリエルは鎌を出す。ラファエルは何も出さないし、構えず手を淑やかに揃えている。


 他の〈熾天使〉はそれをチラと見て、俺へと跳んだ。


「〈仮止(タイムダウン)〉」


 自分の周囲の電子をほぼ固定し、防御並びに相手を止める呪文を発動する。


 予想外だったのか、レイピアと大鎚が止まる。しかし鎌が余裕ですり抜けて、俺の左肩を掠める。

 幻想の実現をしても届かない実力差。これは厳し過ぎる。


「そういう事か」


 理解されれば二度と通る事はない。大鎚が引かれるのを見て、解除し後ろへ跳ぶ。


「甘い」


 ミカエルが迫っていた。全身を手先に収束させ回避、続く大鎚を避けきれず地に埋まる。真上からの火。滅殺しか考えられない炎と正面から撃ち合う。


「〈水神龍王(アフラ)〉!」


 目の前が蒸気による白で埋められる。分子にまで分解可能な熱量でなくなってて良かった、逃げ場のない大爆発なんて御免だ。


 瞬時に飛び出す。既に水分は俺の支配から、脱してしまっている。相手の置きが入る前に移動しなければ。

 蒸気を抜けた瞬間に囲まれる。各個でない状態で『三人に勝てる訳がない』移動では相手の方が速いのが見えている。ウリエルだけ取り替えて、小鎚になっているが些細な事だ。


 連撃の応酬。地道な削りが蓄積され、動きが鈍る。


「が!」


 タイミングを完全に合わされた。恐ろしく練られた〈読心術(ハートスペル)〉これが〈熾天使〉か、スルトとは比べるまでもなく、厄介な強さだ。

 墜落する間も容赦のない追撃が来る。逸らす為に、ドーム状の防御結界を張るも、二、三発に一回は張り直しとなり魔力を削られる。


 不時着。受け身をとることのない落下、人間なら紅に咲き誇るところだろう。次は来ない……出すまでもない程度の実力か。


 まだ彼らが本気な訳がない。何よりラファエルが動いていないのだから。


「まだまだ消えれねぇな!」

[光抜きだしなー。詰んでね?]


 挑発は《内対》が打ち消す。それは〈魔王〉に通る訳がない、これまでは戯れだな。


「今から消すさ」


 全員が輝く。到頭、ラファエルが攻撃に出るようだ。一体、彼女は何をするのか。


 〈輪戦車(パンジャンドラム)・五型〉を取り出そうとするが、燃え盛る。どうやら、ミカエルに空間支配をされているようだ。飛び退こうとしても、足が動かない。これは重力、ウリエルの力。


 ガブリエルの風刃が来るのに合わせて、体を硬化させ。


「[何?!]」


 きれず上下に体が分断される。下半身は燃やされ、回復への時間を延ばされる。


 更にミカエルが接近、レイピアを弾こうと硬化させた腕を振る。空間で何かにぶつかりレイピアが刺さる。胸を中心に焼かれ始めた。


「〈回岩弾(ガンズロック)〉」


 貫通力を上げた岩石弾を全員へ乱射。燃える、弾く、空中で落ちると効果はない。


「〈XAX-01(セイメイ)〉」

[〈英雄翼(ハイパー)〉逆回転]


 体の内側に〈XAX-01〉を取り出し、溜めたエネルギーを俺に注ぐ。天使の陽光に黒い光が混ざり、最終のような気配が広がる。


「〈幽淵馳(ファントムスライド)〉」


 霊速を目指したが実際は光速以下だったのだろう、余裕で三人が追い付いている。背中や足に大ダメージをくらいながら、位置は動いていないラファエルを目指す。


 推測が正しければ、彼女により空間や俺のラグが発生しているのだ。彼女はシュアの時点で氷を操っていた。それが天使の力へと増幅されれば、理論上『停止』そのものにまで手を伸ばせる。

 放置していれば勝てる見込みが0のまま。調べるには飽和攻撃をするしかない。例え、調べた先が無かろうと。


「〈三千世亡(ワールドエンド)〉」


 核の連撃を思い描いた拳による攻撃。秒間に何発打ったかも分からない。


「捕まえた」


 分かるのは彼女に一撃も届いていない事だ。

 全てを出しきったかのような脱力。ラファエルの胸に押し付けられる。


「大丈夫、転生するだけだから。そしたら一緒だよ?」


 普通に記憶を消されるタイプか、獣耳に盛り上がる事もなくなっていそうだ。それを受諾するしかないのだろう、完全敗北なのだから。


 炉心に冷たい刃が刺さる。彼女から来るものは現在も、ほぼ拒まないせいもあり、より深く止まって行く。


[つっつつつkiiiiiアーうぜ]


 《内対》も凍えている。添うしかない運命になってしまい、非常に申し訳ない。


(さぁ、次だ)


 それが最後の思考だった。     

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