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箱入リ娘  作者: 橘立花
2/10

第2話:彼女との出会い


そういえばあれはいつの話だったかな・・・そうか大体今から6年前ぐらいだったかな。

そうだよ・・・いつの間にか6年も経っていたんだな。

白雪と会ったのはそんな前だったか、赤子だった頃が昨日のように思えるよ。

あれは雪がたくさん降っていた時の事だったな。________________




==========




私は誕生日だというのに独身という身分ながら、やはり誰も祝ってくれないことで、

いつも通り車でいきつけのショッピングモールへと向かっていた。

今日は、今年の中で一番ではないかというぐらい雪が吹雪いていた。

そのため私の車の屋根とフロントガラスにはたくさんの雪が積もっていた。

家を出る前にフロントガラスの雪は取り払い、最初のうちは視界が確保できていたのだが、

車に乗ってショッピングモールに向かっている最中に赤信号のためでブレーキを踏んだせいか、

止まった勢いで車内から見える雪景色は積もりに積もった雪が屋根からフロントガラスに滑り落ちたことによって遮られ、暗闇となった。

そのため私は信号が赤から青へと変わる前に、すぐさま車から飛び出し雪を取り払おうとした。

しかしその時、私は対向車が近づいているという事に気づかずに車を飛び出したため、目の前には車が迫ってきていた。

なんとか対向車の運転手はぶつかる直前にハンドルをきったため、私は大事には至らなかった。

だがその代りにたくさんの車は私に向けてクラクションを放つわ、

雪を取り払っている間に信号が青になり今度は後の車からクラクションを鳴らされる等、本当に散々であった。

しかし、住宅街に降り注ぐ雪は銀世界を私に見せてくれたようで悪いものではなかった。




そうこうしているうちに私はショッピングモールの地下駐車場に車を止め、入口付近に設置されてる買い物カゴを手に取り店内へと入っていった。

もちろん私はそんなに料理は出来る方ではないので、冷凍食品やカップラーメンなどを買い込む。

だが最近では自炊にもチャレンジしているため、基本的な食材も買い込む。

その理由は簡単だった。テレビ番組でやっていた料理番組で自分でも出来るのではないかという疑問が浮かび、試しにやってみたところ

意外にも楽しかったためチャレンジをしている。今ではそれは趣味のひとつになりつつある。

だが、結果的にはカップラーメンは好きなためそこは譲れないものがある。

カップラーメンの種類では、やはり無難にホームラン軒の味噌ラーメンが一番うまいと思う。

そんな事を考えながら誕生日である今日の夕食の食材を買い込んでいた。

その後はショッピングモール内に設置されている書店に向かい、新作の小説やその少し前の物を何冊か買い込む。

読書も私の趣味であり、独身の私にとって映画鑑賞に並ぶほど楽しいものだ。

書店は思っていたよりも閑散としており、人はまばらにしかいなかった。

そして私は両手に提げた買い物袋を見つめ、地下駐車場に止めてある車のもとへと向かうのであった。





私が自動ドアをくぐり抜け地下駐車場に戻ると、外が大雪なため人があまり来ないという予想に反して、

駐車場は色とりどりの車でごった返していた。

もちろん私はそんな事は気にせず自分の交通手段である車のもとへ向かって行った。

そして、とても広大な地下駐車場の端に位置する自分の車の元に到着するとやはり隣には車が連なっていた。

別に何を思ったわけでもないが、私は隣の車の車内を見渡した。

その車は普通自動車で車内は私の車と比べると小奇麗な方であった。

だが車の後部座席には、なんと小さな女の子の赤ん坊がすやすやと眠っていた。

何を思うわけでもなく私はそれに魅入っていた。

すると、頭の中に何かがよぎったような不思議な感覚に襲われた。

頭の中の私が駐車場内の自分の車の横に立っている私に向って何かを囁いてくる。

『この子を家に連れ去って自分が育てれば、奴隷とひけをとらない従順な娘になるのではないか?』

だが、良心の私はそれを許さない。

『この子をさらっていったい何があるというのだ、仮にこの子をさらったとしてもその後はどうする?どうやって誰にも悟られずに暮らす?

どうやって世話をする?結局最後には捕まるのがオチだ』

しかし・・・、もはや悪魔に魅入られてしまった私はその欲望に打ち勝つことができなかった。

無意識のうちにいつのまにか手に提げられていた買い物袋が地面に落下しており、袋の中に入っていた冷凍食品やカップラーメンが散乱していた。

他には8個入りの卵が内用物をぶちまけて、パックの中身をドロドロとした黄身と卵白が彩っていた。

そして買い物袋を放して何も手にしていない右腕は、既に自分の隣にある車に手を掛けようとしていた。

その瞬間、悪魔の方の私が告げ口をした。

『素手で取っ手を触るんじゃない、そして車内には証拠物資を何も残すな。最後に、近くに防犯カメラがあるかを確認しろ』

舞い降りた悪魔は地獄の業火とはうって変わって冷たく、私にとても冷静に指示をくだしていた。

私は何食わぬ顔で辺りを見渡した。幸か不幸か周りには防犯カメラの姿はどこにも見えず、さらに人影すら見えなかった。

地下駐車場は水をうったように静まり返っており、私は何の躊躇(ちゅうちょ)もなく長袖で覆った手を車の取っ手に掛けていた。

すると、車は鍵という常識を取っ払ってガチャリという音と共にすんなり私の侵入を受け入れた。

車の中は暖房が利いているためか外の温度と比べ適度に暖かかった。

その後の私の行動は素早く、座席やそれ以外の物にに手をつけぬように慎重に赤ん坊を抱き抱え、

扉がガバリと開いている自分の車の中にその子を置いた。

死んだように眠っている赤ん坊はもちろん目を覚ますことなく私の車の後部座席に運び込まれた。

そして私は辺りを気にしながら先ほどまで赤ん坊が眠っていた車の扉をそうっと閉め、散らばっている食材等を袋に書き集めて助手席に乗せると、

私は反対側に回り、運転手席に乗り込んだ。

後ろには何も知らな小さな赤ん坊、今さら私はこの子を元の場所に戻す気はない。ここまで来てしまったら取り返しがつかないのである。

「じゃあ・・・行こうか」

悪魔が乗り移った私はそう言い残し、車のキーを差し込み車を発進させた。




家に帰る際は特に何も起きず、ただ吹雪いている雪たちが後部座席で寝ている赤ん坊を歓迎しているようにも思えた。




住宅街の一軒家に住んでいる私は、肘にだらりと提げられた買い物袋とその先の両手に抱えられている赤ん坊の重みを感じながら

玄関前のプレートに記された『坂東』という文字をあとにして自宅へと入っていくのであった。


やはり自宅に入ると安心感が訪れ、先ほどまで不安でいっぱいだったという事を教えられる。

私はすぐさま冷え切った室内を暖めるため年季の入ったストーブのスイッチを入れた。

そして両手に抱かれた赤ん坊をソファーに寝かせ、玉子の割れたパック以外の食材を冷蔵庫に整頓しながら置き、

カップラーメンを近くのかごの中に放り込んだ。

そうしている間にも次第に部屋は暖まっていき、冬の寒さから解放される。

そして残った赤ん坊を見据え、本当に誘拐してきてしまったのだと実感する。

数日後にはテレビなどでも報道されるのだな、と先の事を考えながらふと赤ん坊の靴下の裏を見ると、そこにはひらがな小さく『しずな』と書かれていた。

それがこの赤ん坊の名前なのだろうと瞬時に判断する。同時にこの家で暮らしていくにあたって名前が必要だなと思った。

さすがにその名前でこの子を呼んでいくのは抵抗があるため私はこの子の名前を考えることにした。

しばらくした後、外の景色を思い返しているとこんな名前が思い浮かんだ。『白雪』。

安直な考えだ、ただ、今日の空気と同化して無くなってしまいそうな淡い雪がとてもきれいだったからである。今さら自分のセンスのなさに苦笑する。

結果的にこの赤ん坊は『しずな』ではなく今日から『白雪』となって生まれ変わるのであった。

今日は私の誕生日であるが、狂った神のプレゼントはどうやら他人の子供であるこの『しずな』という女の子の赤ん坊らしい。










数日後_________________




哺乳瓶を白雪の口にあてがっている手と別の手で、何気なくテレビをつけるとニュース番組がやっており、

そこには報道キャスターが事件の内容を語っていた。

『秋田県大仙市内のショッピングモールにて生後8か月の星野静奈(ほしの しずな)ちゃんが何者かによって誘拐されました。

被害者の母親である星野深雪(みゆき)さん証言によると、短時間で車に戻ることにしていいたため、車の鍵をかけ忘れてしまったとのことです。

そのため車内は荒らされた形跡は一切なく、後部座席に座っていた静奈ちゃんは忽然と姿を消していたようです。

検察側も犯人逮捕に向けて現場周辺を捜査している模様です。・・・それでは次のニュースです』

そのニュースを聞き私はクックッという笑い声をたてた。

つまり、検察側もなにも証拠をつかめていないということなのだなと私は悟った。

そしてなにか大きな証拠物資が見つからない限り、警察も大きく出られないだろうと私は踏んだ。

あるわけないじゃないか、私は誘拐にあたって細心の注意を払って全てをこなしたのだから。

だが、家宅捜索で家に来られたら部屋に置かれている不自然なベビー用品に気付いてお終いかもしれない・・・数年だ、数年我慢すれば世間はそんな事を気にしなくなる。

ただ私は家に赤ん坊がいることを誰にも口外せずに普段通りに過ごせばいいだけなのだ。

私はこの日に決心した。絶対に捕まらずにこの白雪をわたしだけのため育てると。

そんな中、哺乳瓶をあどけない表情で欲している白雪は男が何に対して笑っているのか分からないでいた。





1ヵ月あきますと言いつつ意外と速く更新してしまった。

どうも書きたかったんで、勉強もやりつつですが。

とりあえず今回は1話の謎を回収していく感じですね。

この後も風にやっていきたいと思います。



・・・会話が殆どないと書きづらいということが分かりました。

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