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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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再会、そして始動。

「ヴァン!久しぶりですわ!」
「おう、元気そうで良かったよトワ」


ランジェ様の仕事部屋にいたヴァンに抱き付く。
久しぶりの家族との再会に私は少し感動していた。

今日は待ちに待った日。
我が義弟がランジェ様の補佐役兼生徒として学園に来たのだ。

久しぶりの再会に慕っていると、グイッと腰を掴まれ、気付いたらハルト様の腕の中に。

イリュージョン?と頭が混乱する。それくらい一瞬の出来事だった。


「久しぶりだね、ヴァン。こんな早くにまた君とこうして会うとは思わなかったよ」
「俺もですハルト様。つか、その手を離してあげたらどうですか?トワも混乱してるようですし」
「はははっ、君は面白いことを言うね。これは恥ずかしがっているんだよ」
「いや絶対に違ぇから」


分かっていたけれど、やっぱり火花散らしちゃうのね二人。子どもの頃からこの光景を何百回も見てきました。

何で二人がこんなにバチバチやり合っているのかが疑問だが、そろそろ止めないと永遠に続きそうだと思い行動を開始する。


「はいはい。二人は一回、落ち着いて下さいませ。ヴァンをミケ君とウルに紹介したいのですわ」
「…仲がとても良ろしいのですねハルト様」
「冗談でも止めてくれ、ミケ」
「弟君の魔力はどんな物なのだ?」
「ちょ、何で匂い嗅いでるんですか…」


二人は以前からヴァン君のことを知っていたので簡単な紹介だけにした。
私からじゃなくてヴァン君が自分で話した方が仲良くなれるだろうからね。

案の定、ウルちゃんはヴァン君の魔力に興味津々で根掘り葉掘り聞いていた。


(ふふっ、良かった良かった。)


ゲームでは自分の殻に閉じ籠ってしまい、友達が少なかったヴァン君。
この調子ならすぐに皆と仲良くなれるだろう。

ソファーに座って皆の様子を微笑ましそうに見ていたランジェの隣に座ると不思議な顔をされ、思わず笑ってしまった。


「あそこに加わらなくて良いのか?」
「えぇ、ヴァンがここで上手くやっていけそうだと思って安心しましたから。補佐役の件、心より感謝致しますわ」
「それを言うのは俺の方だ。広い学園の警備は大変でな。優秀な彼が来てくれて本当に助かった」


少し冷めたコーヒーを啜るランジェ様は今までの苦労を思い出しているのか、少しだけ眉が下がっていた。

広大な学園の警備の総責任者という立場はとても大変だろう。ゲームでも疲労で倒れてしまうシーンがあった。

正確な判断力と高い忍耐力、そして何より大量の魔力が必要な仕事だ。


「一人で抱え込まないで下さいね。防御魔法は私も得意分野ですから、何かあったら是非言って下さいませ」
「ふっ…学年首席からの言葉は心強いな。あぁ、何かあったら必ず言おう」
「約束ですからね?」
「ははっ、分かった分かった」


念を押すと頷いてくれたランジェ様。
これで過労で倒れるということが無くなれば良いのだけれど要注意だ。

ヴァン君の方を見るとミケ君とウルちゃんに火の魔法をお披露目中で盛り上がっていた。
リオネちゃんも作られた炎のウサギに夢中なようだ。


『何だか盛り上がっとるな!お。オレの好きなクッキーがある!』
『ハヤテったらさっき朝ご飯食べたばっかりじゃない。本当に良く食べるわね』
『甘いものは別なんやで』
『あっそ』


テーブルに置いてあったお菓子を物色するハヤテを膝に座るリリィを撫でながら見る。

体を小さくしてもハヤテの大食いは素晴らしいもので、本来の大きさの時もハヤテは大量に食べていた。

クッキーを幸せそうに頬張るハヤテに頬が弛む。


「何か良いことがあったのトワ?とても嬉しそうな顔をしてるよ」
「そ、そんなに分かりやすかったですか?」
「ふふっ、かなりね。凄く幸せそうだ」


ハルト様に言われて少し照れてしまう。
そんなに分かりやすいのか私。

両頬に手を当てて、ハルト様の「幸せそう」という言葉に嬉しくなる。


(そっか…私、今が凄く幸せなんだ…。)


大好きな皆が集まって楽しそうに話している光景がとても特別なことに思える。

死亡ルートを回避することだけを最初は考えていたけれど、皆と関わってからはどんどん大切な存在になった。

二度目の人生で出会えた彼らは本当に奇跡そのもの。

確かにここはゲームと同じ人物や世界があるけれど、彼らはここで生きている。
感情を持つ「人間」なのだ。


「ハルト様、私…今、とっても幸せですわ」
「ふふっ、じゃあ僕も幸せかな」


この幸せを守る為だから。

だから…



(アロちゃん…ごめんね。私は彼らを守りたい。)



扉の向こうで肩を震わせ怒りを押し殺している彼女の微かな魔力を感じ取り、私は目を閉じた。
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