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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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人を惹き付けるナニカ。

(想像以上に凄いな…。)

何がって、主人公がですよ。

適度な距離感で生徒達に囲まれている彼女を私は見ていた。
ウルちゃんが言った通り、元気良く登校してきた主人公のアロネット・ナディアちゃん。

私が惚れた彼女はリアルで可愛かった。
肩で短く切り揃えられた惚れ惚れする綺麗な白髪に夕陽色の瞳。
唇は真っ赤で反対に肌は真っ白で。
「完璧」とは正に彼女のことを言うんだと思う。

そんな素敵なアロネットちゃんを男子達は放っておく筈が無く、朝に挨拶をしてすぐに生徒達に囲まれてしまった。


「ねぇ…急に何なのあの状況?」
「凄いです!もうクラスに馴染んでます!」
「そうねぇ」


同じクラスのミケ君とリオネちゃんと教室の中心でお祭り騒ぎの男子達を観察してみる。

可愛さもあるだろうけど、何より彼女の魔力に皆は興味津々なのだ。

彼女はあの「特別魔法生徒」の称号を貰っている。
これは光属性と闇属性の魔力を持っている人しか貰えない凄い称号だ。

前にも説明した通り、光と闇の魔力保持者はとても希少であり、国で尊い存在として大切にされる。

アロネットちゃんは闇の魔力保持者。
つまり、彼女はスーパー凄い存在なのである。


(でも何か違う様な気もするんだよね…何でだろ?)


彼女の持つ魔力のオーラに違和感を覚える。
オーラである程度の魔力量が分かるのだけれど、彼女の魔力量は想像していたよりかなり弱い。

ゲーム中では主人公の魔力はずば抜けていた筈。
もしかして、ここにも「ズレ」が?


「僕…あいつ苦手かも。何か悪寒がするんだよね」
「そうですか?とても可愛らしい方じゃないですか。トワはどうです?」
「色々と気になる…かも、ね」

『あれに関わっちゃ駄目やからな。ミケが言う通り嫌な予感しかせぇへんぞあの人間…』
『えぇ。あの感じ…気を付けた方が良いわ主様』


机の横に下げていたカバンから少しだけ顔を出して、同じ様にアロネットちゃんを見ていた二人は神妙な面持ちで話した。

嫌な予感って…仮にも主人公様がそんな不吉な存在な訳が無いと思うんだけどな。

考えていると、偶然にも後ろを振り返ったアロネットちゃんと目がバッチリ合ってしまった私。


目デカ!何だあの可愛さ!なんて驚きながらも、微笑み返すと何故か凄く驚いた様な顔をされた。え、顔そんな酷かったかな。

心の中でショックを受けていると、気のせいかアロネットちゃんが立ち上がってこちらに近付いて来ている様な…。

違うよね違いますよね?とハラハラしていたが、気のせいでは無く私の前まで来た彼女。
わ、私に…ど、どうしろと?


「もしかして、トワ・アトリエス様ですか?」
「…えぇ、そうよ。私に何か用かしら?」


緊張が伝わらない様に表情筋をフルで動かして微笑み、声も淑やか風にしてみる。

ファーストコンタクトが大事。
ここで出だしから失敗したら、これからが大変である。

アロネットちゃんは流れる様な動作で手を差し出してきた。これは…握手、だよね?
そう判断した私は彼女の手を握り返した。


「是非、私とお友達になって欲しいですトワ様。私のことはアロと呼んで下さい」
「分かったわアロ。これからよろしくね」


え、ぇぇぇぇええええ?!
どどどどどどどどどうしましょう?!
主人公と友達になっちゃったよ?!

表情と感情が一致していない事態に陥る。
さっきまで傍観者だった私が何故、今は彼女と友達になっているのだ。

主人公ラブな私だったが、これは現実世界。
現実とゲームとじゃ訳が全く違うから主人公ラブの私でさえもかなり色々なことを警戒してる。

それなのに、こんなにも早く友達になってしまうとは…スペック高いな主人公。

咄嗟に前に座るミケ君に助けを求めると、無理と口パクで言われてしまった。
見捨てないでおくれよ!ミケ君!!


「そういえば…トワ様の婚約者の方ってハルト様なんですか?」
「えぇ、ハルト様よ。何故?」
「………別に深い意味は無いで「トワ」…、っ」
「ハルト様?」


教室の後ろの扉から入って来たハルト様は長い足ですぐに教室で一番端の私の席まで来てしまった。
コンパスが広いことで。

しかし、彼が一時間目の授業が始まるギリギリに来るなんて珍しい。
今日は確か、ハルト様のクラスは外で魔法実技の授業だった筈だ。


「トワの顔が見たくなってね。けど、すぐに戻らなくてはいけないんだ…困ったものだ」
「急にどうしたんですかハルト様ったら…」
「いや、ちょっとね…」
「?」


妙に歯切れが悪い。
誤魔化す様に一つ咳払いをしたハルト様は苦笑いをして私の頭を撫でてきた。

本当にどうしたのだろうか。


「そろそろ戻るよ。…ミケ、トワをよろしく頼む」
「承知致しました」
「では、また昼に会おう。またね、トワ」


去っていく間際、少しだけ私の前に立つアロネットちゃんを一瞥したハルト様。

何かアクションがあるのかと身構えたけれど、普通に帰って行ってしまった。
ゲームでの主人公とハルト様の出会いってもう少し先だったからかな。


「今の方って…ハルト様、ですよね?」
「そうよ」
「…仲が良いのですね」
「うーん、そうかしら?普通だと思うわよ?」
「普通、ですか」


そうですか、と笑顔で自分の席へとアロネットちゃんも戻っていった。

少しだけ彼女の笑顔がひきつった様な?

気のせいかと思い直し、さっきよりも落ち着きを取り戻したクラスを見回し私も一時間目の授業の準備を始めた。













「…何でハルト様とあいつが仲良いのよっ!」



誰かのその小さな呟きに私が気付くことは無かった。
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