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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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永遠の友達。〜リオネ視点〜

私は昔から人と話すことが苦手だった。
家族とは普通に話せるのに、他の人と話す時は緊張して上手く話せなかった。
私はそんな自分がずっと大嫌いだった。

私が安心出来る時間と言えば、誰にも邪魔されずに自分の部屋で好きなドレスのことを考える時と家族と過ごす時だけで、他の人と話す回数は日に日に減っていった。

いつまでもこのままじゃ駄目だと分かっていた。
それに、私は友達が欲しかった。
何でも話し合えることの出来る唯一無二の特別な友達が。

今のままじゃ絶対に友達なんて出来ないと思っていたけれど、変わらなくちゃいけないと思えば思う程、自分が情けない人間だと自覚していって怖くなった。


そんな自分に嫌気が差している時、ラン兄様に連れられた場所で私は運命の出会いをした。

トワ・アトリエス様というとても美しいご令嬢に私は心を奪われたのだ。
「心を奪われた」なんて、恋に落ちたかの様な言い方だけれど強ち間違いではなかった。

彼女は話すことが苦手な私の分かりづらい言葉をしっかりと最後まで聞いて、話が面白いとまで言ってくれた人だった。


「同い年なんだからトワ様なんて無しよ?
これからは遠慮無く遊びに来て!貴女とゆっくり温室で話す時間…ふふっ、素敵だと思わない?」


優しく温かな陽だまりの様な笑顔で言われた言葉に私は泣いてしまった。

私がずっと欲しかった特別な友達は彼女しかいないと思った。
トワ様の言葉に、存在に、私は心を奪われたのだ。


「随分と嬉しそうだな、リオネ」
「ふふっ、そうですか…?ふふっ、確かにそうかもしれませんわラン兄様」


家に着いてからも、私の頭の中はトワ様一色。
家族以外の人と話すのをこんなに楽しく思うのは初めてのことだった。
幸せすぎて気持ちがふわふわとしている。

そのことが上手く隠せてなくて、ラン兄様にはお見通しだった様子。


「やはり、ハルトに無理を言ってアトリエス家にお前を連れて行ったのは正解だったな」
「トワ様がハルト様の婚約者様ですのよね…なんて羨ましいのでしょうかハルト様…」
「む。ハルトが羨ましいのか?」
「えぇ!だって、あんなに素敵な人をハルト様は婚約者様になさることが出来たんですもの!」


トワ様を独り占めしても、誰にも咎められない立場なんて…狡いですわハルト様。

聡明で美しくて優しいトワ様の近くに好きなだけいられるのです。羨ましくて堪りません。


(多分、ハルト様を変えたのもトワ様だわ…。)


ずっと謎だった疑問がやっと解けた。

トワ様という存在がハルト様の心を溶かしたのだと今ならすぐに分かる。

それくらい、最近のハルト様の笑顔は輝いてらっしゃるのだ。
同い年で幼なじみのハルト様とラン兄様はとても仲が良く、二人は私が憧れる何でも話せる友人関係というものだった。

けれどハルト様はとてもご自分の感情を隠すことが得意で、ラン兄様にもいつもどこか一線を引いた笑顔を向けていた。
それがある日突然、ハルト様が別人の様にお変わりになったのだ。

以前の人と一線を引いていた様子からは考えられない程、とても楽しそうに笑うハルト様。

持っている雰囲気が他者を寄せ付けないとばかりに尖っていたものから優しい雰囲気へと変化した。


「彼女はとても不思議な雰囲気を持っているな。話していると、とても安心する」
「まぁ…」


ラン兄様がトワ様を思い出して少し微笑まれたのを見て、驚きと嬉しさで一杯になった。

妹の贔屓目だけでなく、実際に私のラン兄様はとても容姿が整っている。
けれど…そんなラン兄様は日頃からあまり笑ったりしないのだ。

優しいのに、無表情のせいで怖い印象を与えてしまう。
そのラン兄様がトワ様のことで優しく微笑まれたのだ。


(これは…とても良いことなのではないでしょうか?)


私が大好きなトワ様とラン兄様が仲良くなって下されば、私ももっとトワ様といる時間を長くすることが出来るはず。

なんて素晴らしいことなんでしょう!


「ラン兄様!また必ずトワ様の所へ行きましょうね!!」
「あぁ、勿論だとも」


トワ様の傍にずっといられるように。

私自身も変えていかなければ。
今のままでは胸を張ってトワ様の「友達」とは名乗れないから。

トワ様とラン兄様を仲良くさせ、尚且つ私も変わってみせる。


「そうと決まれば新しいドレスのデザインを考えなくてはですわ!」


私は大好きなトワ様の顔を思い浮かべ、急いで部屋へと向かった。
次回は兄のランジェ視点です。
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