挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

36/57

私の可愛い友達。

「突然すまない。ハルトから君の話を聞いていて是非、妹と会わせてみたいと思っていたんだ」
「…こいつがどうしても来たいと言ってきたからな」
「今までハルトには逃げられてきたのだ。困ったものだろう?」


短く切り揃えられた漆黒の黒髪に、スミレ色の瞳と堂々とした風格を纏う彼。
ハルト様とはまた違った枠の美形だった。


(兄も美形だけど、妹も本当に可愛いんですけど…?!)


たまに私と目が合うと、慌てて視線を下に戻して恥ずかしそうにする姿は加護欲が湧いてくる。

容姿はお兄さんと同じ綺麗なセミロングの黒髪と瞳。
肌も真っ白で童話に出てくる白雪姫そのものだった。


「俺はランジェ・デルトロという。こっちが妹のリオネだ」
「リオネ…です。よろしく、お願い致します…」
「こいつらは僕の幼なじみなんだ。はぁ…本当にトワの所まで来るとは思わなかった」
「む。前から俺は言っていたぞ」


デルトロ家と言えば、アトリエス家と肩を並べる有名な公爵家の一つとして知らない人はいない。

特にデルトロ家が仕立てるドレスはご令嬢達の間では超人気商品で、私のドレスもデルトロ家の物が大半を占めている。

何故、公爵家が服を仕立てているのかと言うと初代デルトロ家の奥様がお洒落が大好きでそれなら自分でデザインするわ!と言ったことが始まり。

そのドレスをデザインすることが代々受け継がれて、今に至るという話は誰もが知っているくらいの常識話だ。

その有名なデルトロ家の人が私の家に来るとは考えもしなかった。
ハルト様経由で会うことになるとはね。


お父様とお母様に挨拶をしたいと頼まれたので、書斎に案内すると、デルトロ家と交流があったらしく親しげに話していた。

そして、挨拶が終わって今さっきまでは私の部屋で交流会をしていた…はずだった。
急にランジェ様がハルト様の腕を引っ張って、どこかへ行ってしまったのだ。

なので、今はリオネちゃんと二人っきり。
ちなみにヴァン君は庭でお兄様と剣の稽古が始まってしまい、この場にはいなかった。

だが、これはチャンス。
私にとったらこの二人っきりの状態はリオネちゃんと仲良くなる絶好の機会だ。


「あの…リオネ、と呼んでも良いかしら?私、同世代の女の子のお友達がいないの。だから是非、私とお友達になって欲しいのよ」
「え…わ、私と友達に…?」
「えぇ。駄目…かしら?」


今まで何となく隠されてきたが、私には女の子の友達がいない。
流石、ツリ目の悪役顔だからか気弱なご令嬢達は怖がって私に近寄って来ないのだ。
来ても取り巻きの様に皆、私の後ろに立ってしまうからゲーム通りの光景になってしまう。

それは避けたい。
だから、それを避けているうちに一人が好きな一匹狼のご令嬢みたいになっちゃってる。
なんて悲しい悲劇。涙が出る。

そんな悲しみの中、現れたリオネちゃんというリアル白雪姫の女の子。
これは友達になるしかないだろう。


「わ、私なんかで…良いの、ですか…?」
「私はリオネが良いわ。リオネとお友達になりたいのよ」
「は…初めて、い…言われました…。私、こんな…話し方だから…一緒にいても、…相手を不快にさせる…だけ、で…」
「貴女は頑張って気持ちを伝えようしているわ。それを不快だなんて思うわけが無い。それに、リオネから聞くドレスの話はとても楽しいわ」
「トワ様…」


少し人付き合いが苦手なリオネちゃんはそのせいで友達が出来なくて、内気気味になっていたのだという。

そんな時にランジェ様は私のことをハルト様から聞いて今回、無理矢理ついて来たと胸を張って言っていた。

確かに話すのは苦手かもしれない。
けれど、リオネちゃんが持つ服作りの知識は聞いていて凄く面白いものだ。
もっと私はリオネちゃんと色々な話をしたい。


「同い年なんだからトワ様なんて無しよ?
これからは遠慮無く遊びに来て!貴女とゆっくり温室で話す時間…ふふっ、素敵だと思わない?」
「ふぇっ…トワァ…っ、」
「えぇ?!な、泣かないで?!」


それからは大変だった。
泣きながら私に抱き付くリオネちゃんと慌てる私というタイミングの悪い時に戻ってきたランジェ様とハルト様。

ランジェ様は静かに驚いていて、ハルト様はやっぱり少し不機嫌そうにしていた。


「トワ様、じゃなく…えっと、トワ!ま、また…会いにき、来ても…良いですか…っ」
「!!当たり前じゃない!今度はケーキを作って待ってるわね!」
「は、はい!!」


頬を赤くしているリオネちゃんが可愛いすぎる事件。女の子の友達なんて嬉しすぎる。
「女子友達」…あぁ、なんて素敵な響き。

ハルト様の馬車が見えなくなるまで私は手を振っていた。


「また今日もあの王子様来てたのか…しかも一緒に来てたのってデルトロ家だよな?」
「そうよ!私、リオネとお友達になったの!ふふっ、とても幸せだわ!!」


稽古を終えたヴァン君が馬車を見送っている私の所に来ると、呆れた顔で馬車を見ていた。

今度、ヴァン君に愛しのリオネちゃんを紹介しなくてはいかんな。


「つか…デルトロ家ってトワの婚約者候補に上がってたって話、お母様に聞いたんだけど…本当なのか?」
「え"?」


私の婚約者候補に?
え、誰が?え、まさかのランジェ様が?え?

ふとゲームの設定を思い出す。

主人公の恋愛全てに悪役として登場するトワ。
ある一人の攻略対象の男子にも、婚約者候補だったからという理由で独占欲を発揮していた。

まさか、と見えなくなった馬車の方向を見る。


(あぁぁぁぁ!!ランジェ様って攻略対象だったじゃん!!)


そして、ゲーム中ではお兄様大好きな妹にガチで嫌われるトワ様。
つまりリオネちゃんですね。はい。


「ど、どどどどうしましょう?!ヴァン?!」
「落ち着け!急にどうした?!」


初女子友達とのこれからは前途多難そうです。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ