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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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目標掲げて頑張ります。

夜中に三話目まで更新。
二人の侍女達はあの後、朝食の件は了解しましたと言って部屋を後にした。
ドレスからネグリジェに着替えるかと聞かれたけど、格好より今は整理だ整理。

急いで窓の近くに置いてある机に日記帳とペンを用意する。
ちなみにこの日記帳は兄からの去年のプレゼントで一回も使っていなかった物だ。
どうやら、「トワ・アトリエス」は兄が嫌いだったらしい。

いや、これは今はどうでも良いことである。
今一番考えなくちゃならないことは「私」自身についてだ。

どうやら、これは世に言う異世界転生というものじゃないだろうか。
前の世界…つまり、日本にいた頃に読んだ小説に異世界関連の話があった。


(死んだ…のか?私は?全く記憶がないぞ…参ったな。)


死んだ瞬間のことが思い出せないが、日本にいた頃のことははっきり覚えている。

名前は多々(タタラ) 永遠(トワ)、二十五歳の薬剤師だった。
仕事仕事仕事の毎日で恋愛なんてする暇が無かった私がハマってしまったのが恋愛ゲーム。

何とも悲しい話である。


この携帯ゲーム、「フェアプリ」の世界感はファンタジーものだ。
魔法や魔術ありな一度は女子が夢みる世界。
そんな魔法世界では魔法が使える人と使えない人の両方がいる。ちなみに人間の他に妖精族、小人族、獣人族、巨人族…等々、様々な人種が存在している。

魔法を使える人を「マト」、使えない人を「ムマ」と言う。
火、水、風、土、雷、光、闇。
この七つの属性に魔法は分れていて、生まれた時に魔法玉というのを握らされると玉の中にそれぞれの魔法の現象が現れるのだ。

ちなみに私は雷だった。雷雲とか出せちゃうんですぜえっへん。


(こうやって紙に書いてみると、凄い世界に転生しちゃったなぁ~私。しかも悪役令嬢。)


蝶よ花よと育てられたトワ・アトリエスは最恐な悪役に育っちゃったのが運のつき。
もう攻略対象全員に殺されるってどんだけ~…。

救いなのが、悪役令嬢の両親が意地悪じゃないということだ。

父親はのほほーんとしたタレ目のちょいぽちゃの可愛い性格、母親は「社交界の白薔薇」と呼ばれていた程の美人さんで少し天然の入った性格だ。

まったりした二人だが仕事の手腕はピカイチで、まさかまさかの公爵という高い位を持っている。

そんな二人の子供が先程の日記帳をくれた兄と私である。
兄はちなみに超が五個くらいつくシスコンだ。
我が妹が一番可愛いと言って、何でも許しちゃう、バ…少々頭のネジが弛んじゃった人。


「何で、こんな平和な家族から悪役令嬢生まれたんだ?」


いくら何でも、謎すぎる。
あそこまで傲慢、我が儘、自己中な令嬢が育つとはビックリ仰天だ。



(…誰にも分からないように日本語でここまで記入しているけど、何年かぶりに漢字やら平仮名を書くと変な感じがするな。)



内容を整理しながら、攻略対象の男子達の名前や特徴、出会うイベントなどを書き出していく途中でピタリと手を止める。
瞬間、冷や汗がダラダラ出てきた。


「ヤバ…忘れてた…私、婚約者出来るんじゃん!しかも、腹黒ドS!!」


思わず頭を抱える。
攻略対象とあんまり関わらなければ死亡は免れるんじゃないかという考えがあったが甘かった。

流石ゲーム!ガッツリ攻略対象の男子達と繋がりがちゃんとある!!

中でも一番関わるのが婚約者と義弟。
やらかした…これは完全にやらかしたぞ大変だ。

婚約者はこの国の第二王子で、攻略が大変だった。だってめっちゃ腹黒なんだもんこの方。
選択肢を少しでも間違えようなら即ドSの刑。心に刺さる言葉を笑顔で百発くらい言われる。

イライラしすぎて携帯を何度、折りそうになったことか。

次に義弟だが、この方がまた大変。
ヤンデレなのだ。いや、良いよ?ヤンデレ意外と好きだったよ?
けど、それはゲームの中だからだ。
現実で兄がシスコンで義弟がヤンデレって…もう絶句しかないじゃん。

まだ現段階では、婚約者とも義弟とも会っていない。
でも、油断は禁物だ。確か、八歳で婚約者と義弟が出来るはず。

私は今、七歳。でも、あと五ヶ月で八歳になる。
あっという間に八歳になってしまう。


「取り敢えず目標はこの三つだな」


一、平和主義であり続け危険回避。
二、何かあった時の為に資金を貯える。
三、死なない。何が何でも死なない。

特に三つ目は日々、考えておくことにしよう。
幸運なことにこの「トワ・アトリエス」の身体は魔力が異常なくらいある。

ゲーム中のトワも何度も凄い魔法を使ってた。このまま頑張って魔法の勉強を真面目にすれば良い感じになるはずだ。

資金は前世の記憶と技術をフル活用して、色々な薬を作ろうと思う。
治癒魔法を使えない人達には薬は重宝されるだろうし、もし攻略対象に殺されかけても薬があればなんとかなる…よね、うん。多分きっと。


「よし。こうしちゃいられない。着々と準備を始めなくては!頑張るんだトワ!!」


パンッと両頬を叩いて立ち上がり、日記帳に私意外が開けられないように魔法をかける。
日本語で書いているけど、念には念をってやつだ。

宝箱に日記帳を仕舞い、早速、両親達に薬を作るための器具を頼みに行こうとした瞬間に勢い良く開く扉。

驚いて振り返る間もなく抱き締められた。
前の「トワ様」なら殺されてますよ貴方。


「っ、トワ…!目眩がするって聞いたけど大丈夫かい?!可愛いトワが倒れたら俺は死んでしまうよ…!!」
「…………大丈夫ですわ、お兄様…目眩も治りましたし今、お父様とお母様のところに行こうとしておりましたの…」
「!そうか!それは良かった!あぁ、今日のトワも一段と可愛いね!」


ドレス似合っているよ!とギュウギュウと抱き締めてくる我が兄。クオン・アトリエス。

私と同じブロンドの髪とお母様とお揃いのラベンダー色の瞳。
高い身長と小さい顔で美形であるが、このように残念な美形として前世の世界でも有名だった。

トワ様がいくら無視しても諦めないこの方。
鉄のハートをお持ちなのだ。


「お兄様?あの…そろそろ、お離しになって欲しいのだけれど…?」
「!その上目遣い、とても可愛いよトワ!!まるで女神のようだ!」
「……」


ちょっと誰か助けて下さい。
このバカ兄、話が通じない…つか聞かない。


その後、私が兄から解放され父達の部屋に行けたのは一時間後のことだった。
イケメンだけど残念な人って面白いですよね。
次は侍女達視点です。
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