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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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永遠の孤独。〜ヴァン視点〜

「ヴァン」という名前だけが、俺が持つ唯一のものだった。

この名前は俺に地下街で生きる術を教えてくれた一人の男がくれたもので、産みの親の顔は知らない。

名前だけしか持たない、身元も何も分からない俺を地下街の大人達が親切にしてくれるわけも無く、ずっと一人で過ごしていた。
男も俺が六歳になると姿を消したが、生きる知識を残してくれたお陰で死ぬことは無かった。


そんな毎日を必死に生きていた時、人身売買の現場を目撃したことで俺のそれまでの人生が全て変わった。

怒りとともに俺の手から炎が出現し、目の前にいた男達は化け物だ!と叫んで逃げていった。
連れ去られる予定だったガキ達も俺を恐怖の対象として見てきた。


(あぁ…地下街(ココ)にも俺の居場所は無いのか…。)


魔力制御の仕方なんか生まれてから一度もしていない俺がそれを出来るはずもなく、周りの人間達は前にも増して俺を恐れ気味悪がった。

その後、俺は物好きな貴族に目をつけられ監禁され魔力増幅を言い渡された。
だが、俺の魔力の暴走を抑え込むことが出来ずに恐れた貴族は一年もしない内に俺を国へ引き渡した。


どこにも俺の居場所は無いのだと理解し、全てがどうでも良くなっていた。

けど…違った。
こんな俺を受け入れ、しかも家族だと言ってくれる変なやつがいた。


「金木犀には「謙虚」と「気高い人」という意味の花言葉があるの。
貴方は謙虚で優しい人よ。そして、とても気高い。身元が何?無知が何?
これから、どんどん知っていけば良いことよ」


そいつの優しい声と手の温かさに俺は初めて「嬉しい」という感情を知った。

魔傷が原因で目が見えなくなっていたにも関わらず、そいつが優しく笑っているのが分かった。


トワ・アトリエスとその家族は驚く程、普通に俺を家族として迎えた。
こんな俺を受け入れる人間達がいるなんて信じられなかった。

どうせすぐに地下街や貴族の人間達の様に捨てるはずだと考えていたが、むしろ逆だった。
これでもかってくらい大切にしてくれるアトリエス家の人間達に俺はどう接して良いのか分からず戸惑った。

妙に体がムズムズして、恥ずかしかったが…決して嫌では無い。初めての感覚だった。


「ふふっ、ヴァンったらその花が随分気に入ったのね」
「べ、別に…普通だろ。何でそう思うんだよ」
「ずっと金木犀の木の傍にいるんですもの。バレバレよ?」
「…、」


図星だった。
あの日、トワが金木犀の花と一緒にくれた言葉が俺に勇気をくれた。
こんな俺でも良いのだと思わせてくれた。

好きにならない筈が無かった。

トワが隣にいてくれるだけで幸せだと思え、ずっとこのままでいたいとさえ思ってしまった。

けれど、欲張った願いへの罰だったのか…突然、その夢は終わりを告げた。
今日は頑張ってもう一話更新したいですが、夜中近くになってしまうと思います…。
次もヴァン視点です!
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