3話 バトルコロシアム
ブックマークありがとうございます。
奴隷にするにはいくつか方法があるらしい。
俺に施されたのは力づくで魔法を掛けた首輪を着けるという
強引なやり方だ。
最大限抵抗したのだが、護衛の男の力には
抗うことができなかった。
主人の言うことは絶対で、危害を加えようとすると
最悪死ぬらしい。
この世界どうなってんだ?
俺以外にも無理やり奴隷になった人とか
たくさんいるんじゃないかな。
それで抵抗を続けてたら首輪から激痛が走って
気を失った。
目が覚めたと思ったら、このフロア、第10フロア監房長
とかいう奴がやってきた。
服も身体もボロボロで目が血走っていた。
きっと鞭打ち10回にされた奴だなと思っていたんだが、
今度はそいつにボコボコにされた。
「お前のせいで!お前のせいで!」
とか、怒鳴りながらひたすら殴られ、蹴られた。
抵抗しようとしたが、首輪のせいで出来ないようだ。
されるがままにずっと耐えていたんだが、
それ以上に悪い事態が起きた。
指輪を奪われたのだ。
「お前なんかが指輪を着けてんじゃねぇ、これは俺が貰う」
奪われた後に透視を使って
能力を使った瞬間に俺は愕然としてしまった。
~転移の指輪~(隠蔽)
効果 陸地のあるどこかにランダムで転移することができる。(使用可能回数1)
フィーロアはきっとこうなることを見越して指輪をくれたんだ。
それを、俺は・・・
なんて馬鹿野郎なんだ・・・
無性に腹が立つ。自分に腹が立つ。
あの時さっさと確認しておけばこんなことにはならなかったんだ。
絶対あの指輪は奪い返さなくては。
ここバトルコロシアムのことについても
少し分かったことがある。
奴隷にはランクがあり1~10まであるらしい。
俺はランク10だから10フロアに属している。
ランクが上がるごとに待遇が良くなるらしい。
そしてランク1は4人しかいない。
ランク1はランク2以下の者と戦う。
ランク1になればランク2との待遇の差が天と地ほど離れているらしく
みんなそれを目指して頑張るんだとか。
今の俺の待遇というと
奴隷になってから3日目、水さえ与えられていない。
そろそろ飢餓感がやばい。
そして試合に関してだが、ルールは簡単。なんでもあり。
相手をどんな方法でも殺した方の勝ち。
対戦相手はランク10なら9と、9なら10か8と。
格上の相手に何回か勝つと上のランクに上がれるらしい。
この国の奴らは殺し合いをさせてお金を賭けて楽しみ、
血を見て興奮する趣味があるらしい。野蛮すぎだろ・・・
さらに勝利すると少しだけお金が貰えるらしい。
ランク10なんて雀の涙みたいなもんだが。
こんなとこでお金をどうすんだ?
って思うがどうやら、賄賂らしい。
そのお金をここらを管理している奴らの袖に通すと、
タバコやらを融通してくれるらしいのだ。
もちろん俺の部屋には麻の布しかないのだが・・・
水さえもらえないし、監房長が通り掛かるたびに
檻越しに唾吐いてくるし環境は最悪だ。
木でできた桶に排泄物出さないといけないし。
だが飢えで苦しいが暇をしている訳でもない。
まずは透視で自分の能力を再確認した。
次にこっそり魔法大全で魔法の勉強中である。
まずは透視で分かった称号の項目
神の加護
ユースガルドの神フィーロア・ロムリヌスの加護。
成長率に大補正。全スキル習得可能。精神力増強。
どうやらとんでもないものをくれたらしい。
全スキルということは恐らく魔法大全に載っているものは
習得できるだろう。
奇跡の男
奇跡が起き易くなる。内蔵する力の出力を上げる。
奇跡ね。とりあえず水出してくれよ。
内蔵する力とかはよく分からない。
家族愛
家族だと認識した者の為だと意識したときに比類なき力を発揮する。
これは嬉しい。もし愛美にもう一度会うことができたなら
この称号は重宝するだろう。
※※の可能性
条件未達成
これが1番謎なんだよな。ほんとなんだろこれ。
条件を達成できたら解放されるということだから
気長に待つとしよう。
次に魔法だが、1つ問題が起こった。
喉が渇いたから、まずは水魔法を習得しようとしたのだが
この檻に魔法を阻害する力があるらしく、魔法が発動しない・・・
仕方がないので知識だけを詰め込めている。
まず魔力だが、魔力はそこら中に漂っているらしい。
今この部屋の中にも魔力は存在するということだ。
一般的に魔力の回復方法は
自家発電のように体内で自動生成することができる。
しかし、外部の魔力を体内に取り込むことで回復することも
できるようだ。
そしてMPを増やす方法だが、基本的には自分のレベルが上がった際に
他のステータス諸共上昇するらしい。
しかし修行によっても増やせるようだ。
魔法の発動に関して重要なのは想像力だ。
それも繊細なコントロールが必要なようで生涯使えない人も多いそうだ。
魔法大全のオススメの修行方法は瞑想らしい。
目を瞑って一瞬で夢を見ているかの如く、
想像したことを思い浮かべることが出来れば
大分魔法の習得が簡単になるようだ。
確か地球のどこかの国の僧侶が修行で瞑想を極めると
自分にしか見ることが出来ない精霊のようなものを生み出せると聞いたことがある。
確かに妄想力を極限にまで鍛えればできるかもしれない。
ちょっと怖いけど。
一先ず俺は魔力を循環させるところから始めている。
これをすることにより魔力が身体に馴染んで、
魔法を扱いやすくなり、出力を上げることができるらしい。
これからも修行はしていこうと思う。
そして今のステータスだが。
種族 人族
名前 岸和田 魁人 (奴隷)
Lv 1
HP 110/110
MP 180/180
ATK 90
DEF 80
SPE 95
MATK 100
MDEF 80
固有スキル: 透視 変装 アイテムボックス
魔法: 無属性魔法 魔力操作
火魔法 水魔法 風魔法 土魔法
雷魔法 氷魔法 光魔法 闇魔法
称号: 神の加護 奇跡の男 家族愛 ※※の可能性
となっている。
魔法各種が追加されている。
恐らく魔力の操作ができるようになって、
知識を身に着けた上で発動しないの承知で
色々試した結果だと思う。
他にも魔法はあるが追々勉強しようと思う。
そうやって考察していると監房長がやってきた。
くそっなんだよ!
唾吐くだけ吐いて帰って行きやがった。
いつか絶対唾吐き返してやるからな!
異世界10日目
俺は朦朧としていた・・・
みっ水・・・水、水。
喉が渇いたとかじゃない、喉が熱くて痛い。
吐ける物もない。出尽くしちまった。
俺なんで生きてられるんだろ・・・
加護の精神力増強化のせいか?
もういっそのこと死に、いやだめだ、まだ死ねない。
肌もカピカピだし、体重何キロ落ちたのかな。
あいつら絶対殺してやる。絶対殺す。
殺してやりてぇ・・・
「おーぃ・・・おーぃ・・・みずくれぇ・・・びずぐれい!」
だめだ・・・
もう声出ねぇ。
いつまで続くんだ。
異世界18日目
俺は横たわって石みたいになっていた。
いっそのこと腕でも食べるか・・・?
あぁ、もう腕も上がらない。
顎の力もない。
これまで見えていた幻聴もなくなった。
ただハッキリとした映像みたいなものが頭を流れている。
走馬燈?
違うな、瞑想している時の感覚がさらに研ぎ澄まされた感じだ。
妙に頭は澄み渡っている。
あれ、飢餓感がなくなってきているみたいだ。
ただ力が入らない。ピクリとも動かない。
しかしこの頭に流れる映像の中ならどんなことでも可能だ。
水だって飲める。ははは。現実じゃないのにな。
ステータス・オープン
種族 人族
名前 岸和田 魁人 (奴隷)
状態 瀕死 瞑霊想
Lv 1
HP 1/110
MP 1/180
ATK 90
DEF 80
SPE 95
MATK 100
MDEF 80
固有スキル: 透視 変装 アイテムボックス
魔法: 無属性魔法 魔力操作
火魔法 水魔法 風魔法 土魔法
雷魔法 氷魔法 光魔法 闇魔法
称号: 神の加護 奇跡の男 家族愛 ※※の可能性
HPもMPも1かよ。
死ぬ一歩手前じゃねぇか。
しかも状態異常とか出てるし。やっぱり瀕死だよな。
瞑霊想てなんだ、とにかくやっぱり瞑想に近いのか。
魔法のイメージもし易いしな。
あと何分持つのかな。愛美ごめんな。
兄ちゃん先に逝っちまうかもな。
でも、だめだ。
死にたくない。
生きたい。
あいつらは呪ってやりたいなぁ。
睨んででも殺してやりたい。クソったれが。
「なんだまだ息してんのか。しぶとい奴だな。
というよりどう考えても普通じゃないだろ。
人間かお前。
まー、しぶとい方が辛いだけだがな。
どうだ、苦しいだろう?
お前が悪いんだぞ、お前が来たせいで私は!
どうせ死んだところで誰も分からないだろう。
カイゼル様もお前のことなんてもう忘れてるさ。
そうだな、あと12日生き残れていたら
チャンスをやろう。戦う権利をな。試合に勝ったら水をやろう」
異世界25日目
俺は完全に現実での意識を手放していた。
自分の想像した世界に入り込んでいるらしい。
いやここはまた違う世界なのか?
俺は死んだのかな?
しかしステータスを確認する限り生きているようなんだが。
今では飢えとか感じなくなったし。
身体も自由に動いている。
想像した世界かもしれないが。
ステータス・オープン
種族 人族
名前 岸和田 魁人 (奴隷)
状態 仮死 進化中
Lv 1
HP 0/110
MP 0/180
ATK 90
DEF 80
SPE 95
MATK 100
MDEF 80
固有スキル: 透視 変装 アイテムボックス
魔法: 無属性魔法 魔力操作
火魔法 水魔法 風魔法 土魔法
雷魔法 氷魔法 光魔法 闇魔法
称号: 神の加護 奇跡の男 家族愛 ※※の可能性
HPもMPも0だしやっぱり死んだのかな?
いや、でも状態が進化中になってるし。
仮死状態し一先ずは大丈夫か。
俺どうしちゃったんだろ・・・
異世界29日目
俺は再び目を覚ました。
あの世界からストンと落ちるような、身体に引き戻されるような
意識を覚えて、目の前が真っ暗になってから理解した。
生きていると。
そして今驚愕に目を見開いている監房長が目の前にいるんだが。
「なっ!なななっなぜ生きているんだ!?
確かに今まで息をしていなかったはず!
しっ心臓も止まって・・・!?
ばっばけものか!」
「うるせぇんだよごちゃごちゃと。
目覚めが悪くなっちまう、せっかく最高の気分なのによ。ハハハ」
そう言って俺は監房長の顔を手で掴んで持ち上げる。
「ひっひぃい!離せ!はっ離せ!
こんなことをして許されると思っているのか!?
それよりなぜ奴隷の分際で手が出せる!?」
「あー、そう言えば首輪に苦しめられないな。
もう効果なくなったんじゃねぇか?」
音が聞こえたら面倒なことになりそうだし
風魔法で遮音するか。
入り口が開いているからか、
俺の力が増したせいか分からないが
どうやら魔法を行使できるようだな。
そのまま俺は壁目掛けてこいつを叩き付ける。
ゴツッ!
「おっまだお前その指輪持ってたのかとりあえずそれ返せよ」
そう言って俺は監房長の指からグリグリと無理やり
指輪を外して自分の指に装着する。
まだ転移はしない。
豚野郎を殺してからだ。
「こんなことして生きてられると思うか?
今度こそ本当に殺されるだろうな。くっくっく」
「え?なんで?報告する奴がいないと分からないでしょ?
お前ここで死ぬんだし」
そういうと俺はアイテムボックスから鉄の剣を取り出す。
「まっ待て!いや待ってください!」
「許す気はないから。そうやって土下座しても無理だぞ。
俺はお前みたいに人が苦しむ姿見て楽しむ趣味はないから、
楽に殺してやる。死んでもそうやって土下座しとけ」
それだけ言うと俺は淡々と首を刎ねた。
別にスッキリしたとかはないな。
ただやるべきことをやったというか、
ケジメを付けた。ただそれだけだ。
そしてこいつの死体をアイテムボックスに収納して、
無属性魔法で綺麗に掃除しておく。
最後に風魔法で遮音していたのでそれを解除する。
それから再び監房に入れば完了だ。
まずは試合に参加して少しでもlvを上げなくてはならない。
このままではあいつの護衛達には勝てないだろう。
次にランクアップをして、少しでも自由に動けるようにならなければ。
ところで前よりも力が漲る感じがするな。
ステータス・オープン
種族: 霊人族
名前: 岸和田 魁人
Lv 1
体力 330/330
魔力 540/540
霊力 2000/2000
攻撃力 270
防御力 240
俊敏 285
魔攻力 300
魔防力 240
固有スキル: 透視 霊視 憑依 瞑霊想 仮死 変装 アイテムボックス
魔法: 無属性魔法 魔力操作 魔力探知
合成魔技
火魔法 水魔法 風魔法 土魔法
雷魔法 氷魔法 光魔法 闇魔法
精霊魔法 空間魔法
耐性: 状態異常無効 飢餓耐性
称号: 神の加護 奇跡を招く者 家族愛
不屈の精神 ※※の可能性
これは一体どうなってますのん・・・?
もうツッコムのも疲れてきたな。
固有スキル以下全てが増えている。
しかし1番気になることは種族だ。
霊人族ってなんぞ。
この世界では進化することが普通なのか?
あれちょっと眠くなってきたな、
進化の影響かもしれない。
今日は一先ず寝ることにして、
明日透視で確認してみるか。