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暖かな恋  作者: 佑紀
7/20

Episode7:春斗&???入りカレー

「やっと、できた」


カレーを作り始めて1時間半。やっとの思いで俺の料理処女作となるカレーが完成した。俺がやったのは野菜を切ることだけなのだが。あとは瑞穂の変な味付けを防ぐこと。


「すぐご飯にする?」


隣に立っている瑞穂がそう聞いてきた。


「あぁ、ご飯にしようぜ」


普段に比べると少しだけ遅くなってるのでさすがにお腹が空いている。それに今日はタイムサービスと初料理で疲れているのだから食べないわけにはいかないだろう。


「分かった。じゃあ、すぐに準備するね」


「あぁ」


返事をしてから俺はなんか夫婦みたいだなと思った。そしてすぐに頭を振る。こんなんじゃ馬鹿竜馬と考えが一緒じゃないか。





瑞穂が皿にご飯とカレーを綺麗に入れていく。それを俺がテーブルに運び準備は終わった。俺と瑞穂はそれぞれ席に座り手を合わせる。


「いただきます」


2人でそう言うと、お互い自分の目の前にあるカレーを食べ始める。


「・・・・・・・・・」


何だこの味?普通のカレーと違う気がするけど。なんというか甘い、とてつもなく。


目の前にいる瑞穂を見るととっても美味しそうに食べている。こいつ、まさか何か入れたんじゃないのか。でも、俺はずっと見張っていたわけだし、俺の気のせいかな。そう思い俺はもう1口食べてみることにする。


「パクッ」


甘い。カレーは確かに甘口を使ったけど、この甘さは尋常じゃない。


「瑞穂、お前さぁカレーになんか入れたか?」


「ジャム」


瑞穂はさらっとそう言った。


「ジャムを入れたのか?あの甘いやつ?」


「他に何があるの?」


「いや、ないよな」


ジャムを入れたのか。それなら甘いはずだよな。


「っていうか、何でいれたんだ?」


「美味しくなるからに決まってるでしょ」


「お前、こんな甘いのカレーじゃないだろ。甘すぎにもほどがあるぞ」


「そう?美味しくていいじゃない」


食べ物のことで瑞穂に文句を言うのが間違ってるのかもしれない。


「お前、いつの間にこれ入れたんだよ」


「え、普通にカレーのルーを溶かす時に入れたよ」


確かに見張ってたはずなのに。いとも簡単に入れられているとは。我ながら情けなさすぎる。


「はぁ・・・」


「どうしたの?溜息なんかついて」


「いや、自分が情けなくてさ」


「どういう意味?」


「いや、気にするなって。それより食べようぜ」


「うん」


瑞穂はそう返事すると美味しそうにジャム入りカレーを食べ始めた。そして俺もなるべく美味しく食して見えるように振舞いながらジャム入りカレーを食べた。


結局、俺は気分を悪くしながら自分の家へと帰ることになった。

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