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暖かな恋  作者: 佑紀
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Episode4:瑞穂&結城 風歌


「瑞穂」


放課後になって少しだけざわついてる教室で友達の結城 風歌が私に声をかけてきた。


「どうしたの、風歌?」


少しご機嫌な風歌の顔を見ながら私はそう尋ねた。


「今日、帰りって暇?良かったら遊びに行かない?」


「う〜ん、行きたいんだけどさ。今日、家にお母さんがいなくて自分で夕食作らないといけないから早めに帰らないといけないの」


「えぇ、少しぐらいいいじゃない」


「私だけだったらいいんだけど。春斗の分も作らないといけないから」


「それもそうか。旦那様の迷惑になっちゃいけないよね」


「また、そう言ってからかうんだから」


「あら、本当の事じゃない」


風歌はいつも春斗の事を旦那様と言って私をからかってくる。その度に私もいろいろと言うんだけど私が勝った試しなんて1度もない。


「違うわよ」


「ふふふ、どうかしらねぇ」


「もう」


「ごめんごめん、そんなに怒らないで。瑞穂見てるといつもからかいたくなってさ」


「それって謝ってるつもりなの?」


「う〜ん、分かんない」


そう言ってから風歌は1人で笑い始めた。


「じゃあ、私帰るね」


ひとしきり笑ったあと、風歌は笑顔でそう言って教室から出て行った。





私は帰る準備を終えて自分の席に座っている春斗の元へと近づいた。春斗はそんな私に気が付くと立ち上がり何も入っていなさそうな薄っぺらい鞄を持ち上げた。


「ねぇ、春斗。その鞄って何が入ってるの?」


私の質問に春斗は一瞬だけ変な顔をしてから口を開いた。


「弁当箱が入ってる」


「それだけなの?」


「うん。教科書とか持っていっても必要ないし」


「・・・・・」


私が呆れて何も言わないのを見てまた春斗は変な顔になった。


「どうかしたの?」


「ううん、なんでもない。それより帰ろう?」


「あぁ」


春斗はまだ怪訝そうな顔をしていたけどそれ以上は追求してこなかった。





「あ、そういえば」


校門を出て少し出たところで私は大事な事を思い出した。


「どうかした?」


さほど興味なさそうな顔で春斗が私にそう尋ねてきた。


「お家にもう食材残ってないから買出しにいかないといけないんだった。春斗、ちょっとだけスーパーに寄ってもいい?」


「あぁ・・・」


春斗の返事には少しだけ驚いたようなニュアンスが混じっている。


「どうかした?」


私は何かあるのだろうかと思い尋ねてみる。


「いや、何でもないよ」


春斗はそう言ったけど、私はその後に彼が呟いた言葉を聞き逃さなかった。


「嘘からでた真ってやつか?」


一体、何の事を言っているのか私には理解できなかった。




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