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暖かな恋  作者: 佑紀
3/20

Episode3:春斗&新藤 竜馬

「お〜い、春斗。大丈夫か?」


午後の最初の授業が終わった後の休み時間。保健室のベッドにお世話になっている所に友達である新藤 竜馬がやってきた。


「いや・・・まだ痛い。瑞穂は一体何を弁当に入れたんだよ」


「相変わらず朝日さんとはラブラブだな」


竜馬はにやけた顔でそう言った。その顔に思いっきりパンチをしたくなる。


「どう見たらそう見えるんだよ」


「普通に見てたら」


「あっそ」


真剣に相手をするのが間違っている。相手は竜馬なのだから。


「じゃあ、俺は教室戻るけどお前はまだここにいるの?」


「あぁ、さすがに授業はまだ受けられそうにない」


「OK、先生に伝えといてやるよ」


「あぁ、悪い。ありがとな」


「お礼はいらないから、誰か可愛い子を紹介してくれ」


最後にそう言って竜馬は教室へと走って戻っていった。





午後の2番目の授業(5時間目)の終了を告げる鐘が鳴った。既に俺のお腹も回復しており次の授業からは参加できそうだった。


俺はベッドから降りて保健室を出て自分の教室へと向かう。1階にある保健室から俺の教室にある3階までは腹痛が治まったばかりの俺にはそこそこきつかった。


やっとの思いで階段を登りきり自分の教室へと向かう。引き戸のドアを開け中に入る。すると俺に気付いた瑞穂が駆け足で俺の側へと寄ってくる。


「もう大丈夫なの?」


瑞穂は心配した顔で俺にそう尋ねた。2時間授業を休んだだけなのに大袈裟すぎないか。


「大丈夫だけど。どうしたんだ、お前?」


「皆が春斗は多分、私の作った弁当を食べたから保健室へ行ったんだって言うから」


「・・・・・・・」


確かにそうだけど、そんな顔で言われると正直な答えが出せるはずがない。


「今日は朝からお腹の調子が悪かったからだよ。瑞穂の弁当のせいじゃないって」


「本当?」


瑞穂はまだ心配顔のままでそう尋ねてくる。


「あぁ、だから気にするなって」


「うん・・・でも・・・」


「本当にお前の弁当のせいじゃないって。仮にそうだとしたら俺は今までにもっと保健室に通ってるだろ?」


「それはそうだけど・・・」


「だからお前の弁当のせいじゃないって。気にするな」


「うん・・・分かった」


瑞穂は渋々だったがやっとのことで了解してくれた。





自分の席へ戻ると竜馬がさっきのにやけ顔で近づいてきた。


「何だよお前、そんな気持ち悪い顔して」


俺は竜馬の顔を見ながらそう言った。


「相変わらずラブラブだねぇ」


その台詞2度目だろ。


「さっきから煩いな。そんなんじゃないって」


「照れるなよ。それよりお前に頼みがあるんだ」


「可愛い子紹介だったら無理だぞ。そんな子知らないから」


「違うって。今日合コンあるんだけど男子1人足りないわけよ」


「嫌だ。俺、そういうの好きじゃないから」


「そう言うなって。可愛い子紹介の代わりだと思ってさ」


「俺、紹介すると言った覚えもないけどな」


「いいじゃん。親友の頼みなんだから」


そう言って竜馬は少しだけ頭を下げる。頼むならもう少し下げろよ。


「俺以外の奴誘えばいいだろ」


「だってさぁ、連れて行くならそこそこは格好良くないと」


「俺は格好良くないから無理だな」


「何言ってんだよ。そんなんだったら誘わねぇよ」


サラリと凄いことを言ってのけるな。世の不細工人間を侮辱してる・・・


「あ、そういえば」


「どうかした?」


「俺、今日瑞穂と放課後買出しに行くんだった」


俺は断るために嘘をつくことにした。実際に2人で買出しに言ったりすることもあるため、この嘘はかなりの高確率で騙すことができる。


「まじ。それならしょうがないか」


「あぁ、悪いな」


「いいって。さすがに夫婦の仲を引き裂いてまで誘うのは悪いしな」


そう思ってんならそもそも合コンに誘うなよ。


「別に夫婦じゃないけどな」


「照れるなよ」


そう言いながら竜馬は自分の席へと戻っていった。


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