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暖かな恋  作者: 佑紀
2/20

Episode2:朝日 瑞穂

数学の授業中はほとんどの生徒が睡魔と戦っているように見える。その中で1人私の幼馴染だけが戦いに破れ夢の世界へと旅立っている。


「秋月」


気付いた松木先生が春斗を起こそうと声をかけている。しかし、春斗はなかなか夢の世界から戻ってこない。先生が不機嫌になっていくのが声から分かる。


「秋月、いいかげんに起きろ」


その声で春斗がやっと起きる。少しだけ顔が青ざめてるのは気のせいだろうか。


その後、松木先生は春斗にいろいろ言ってから黒板の方へと戻っていった。


授業が終わってから春斗と弁当を食べようと思い、彼に近づいていく。


「松木先生の授業で眠るってすごい度胸ね」


「眠るつもりじゃなかったなかったんだけどなぁ・・・」


「でも呼び出しされないだけ良かったんじゃない?」


「それも、そうかな。呼び出しされたら帰るのが1時間は遅くなってたな・・・」


「そうね。それより春斗、弁当食べない?」


「え、もう昼休みなのか?」


本当に分かっていないようだ。まぁ、春斗は今日の午前中の授業をほとんど寝てすごしていたからしょうがないのかもしれない。


私は食べようと提案してから鞄から2つの弁当を取り出し、そのまま1つを春斗に渡す。


「いつも、ありがとな」


春斗は笑顔でそう言い、私から弁当を受け取った。





私の1つ年下の幼馴染の秋月 春斗は3年前に両親を事故で亡くしていた。その頃から食事の面では私の家族が面倒を見ている。私のお母さんも小さい頃から春斗を可愛がっていたし高校生になってからは弁当も作ってあげている。お母さんがいない時は私が作るのだけど春斗は私の料理に関しては美味しいと言ってくれたことがない。私は美味しいと思うのだけど。


「なぁ瑞穂、どうして今日はお前がつくったんだ?」


突然、春斗がそんな事を聞いてきた。少しだけ顔が苦しそうなのはどうしてだろう。


「お母さん、今日から友達と旅行に出かけてから、準備が忙しくて作れなかったの」


春斗は少しだけ何かを考えてからまた口を開いた。


「へぇ、いつごろ帰ってくんの?」


「1週間後って言ってたよ」


また考える顔になってる。一体何が不思議なのだろう。


「じゃあ、今日の夜はどうするんだ?」


「それも私が作るわよ」


「・・・・・・・・」


春斗はまたまた考える顔になり、少しして口を開く。


「じゃあ、その間の夕食は俺も作るの手伝うよ」


私はその言葉を聞いて驚いた。普段なら春斗がそんな事をいうことはなかったから。


「ありがとう」


私は素直な気持ちでそう言った。言ってから恥ずかしくなりそれを隠すために弁当を食べる方に集中した。隣では春斗も弁当を食べるのを再開したようだった。


どうしてか分からないけど昼休みが終わる頃、春斗は保健室へとかけていった。





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