Episode18:瑞穂&想いに気付く
「瑞穂って今、好きな人いる?」
春斗は間違いなくそう言った。私の頭は何も考えられない状態になった。顔が赤くなっているのが自分でも分かる。それぐらいに体全体が熱い。
「私?」
分かっていながらそう聞いてしまう。少しでも時間を稼ぎたいから。
「うん。いるの?」
答えは決まっている。今気付いたのだから。自分の本当の気持ち。春斗への想い。
「いる・・・かな」
「そう」
春斗が少し悲しそうな顔になる。
「今日は、ずっと瑞穂のことを考えてたんだ」
春斗が突然話を切り替えそう言った。いや、戻したというのが正しいのかもしれない。
「私のことを?どうして?」
「昨日、真奈美先輩に言われたんだ。瑞穂の事をどう思っているか」
凄い偶然だと思う。私も昨日、藤堂君に同じ事を聞かれたのだから。
「その時は答えられなかった。瑞穂のことを大切な幼馴染だとしか考えたことがなかったから」
私はそれを聞いて悲しくなる。私がどんなに春斗の事を思っても春斗が思ってくれくちゃ意味がないのだから。
「その後、いろいろ考えたんだ。俺がどう思ってるかを。俺の本当の気持ちを。でも考えれば考えるほど分からなくなっていったんだ」
その気持ちは私も理解できる。私もついさっきまでそうだったのだから。
「そして今日もそれで悩んでたんだ。これが今日ボーっとしていた理由なんだ」
「そう・・・なんだ」
結局、春斗は私への想いをどう捉えたのだろう。まだ考えてる途中なのかもしれない。どちらにしても怖くてそんな事聞く事はできない。
「そして、ここからが大切なんだけど」
「え?」
私は驚いた声でそう言った。もう話は終わりだと思っていた。一体、春斗はこれ以上何を話すのだろう。どれだけ考えても私には分かりそうになかった。
「俺さ、たった今気付いたんだ・・・」
「え?何に・・・?」
「自分の気持ち。昨日からずっと考えていた俺の本当の気持ち」
私は何も言えなかった。緊張が私の体を支配した。この先の言葉を聞きたいけど聞きたくないという思いに駆られる。喉が渇ききって苦しくなっていく。
「俺、瑞穂のことが好きだ」
私の中で世界が止まった気がした。