Episode17:春斗&想いに気付く
瑞穂との帰り道。瑞穂の顔はいつもよりどこか険しい。何かを考えたり悩んだりしているようだ。何があったのだろう。
「ねぇ春斗」
ゆっくりとした口調で瑞穂がそう言った。
「何?」
「聞きたいことがあるんだけどさ」
「うん」
「今日はどうして元気がなかったの?なにか悩みでもあった?」
「え?」
まさか瑞穂に気付かれてるとは思わなかった。でも考えてみれば確かにあんだけボーっとしていたらばれるものだなと思う。
「気付いてたんだ」
「うん、気付くよ。だってずっと春斗の側にいたんだよ」
「それも、そうだよな」
俺達は今まで包まれたことのないような空気に包まれた。
「ねぇ春斗。何があったのか話してよ」
「でも・・・」
瑞穂のことで悩んでたんだ。本人には言いづらいに決まってる。
「私じゃ春斗の力にはなってあげられないの?」
そう言ってから瑞穂を涙を流した。俺はあまりの突然の事に驚いてしまった。
「瑞穂、大丈夫?」
「ごめん。急に泣いちゃって。自分でもどうしてか分からないの」
俺は目の前にいる瑞穂がまったく違う人に見えた。と言うよりは瑞穂に対して今まで感じたことのない気持ちを感じたという方が正しいかもしれない。
俺は瑞穂の事を守ってあげたいと思った。もう悲しんだりしないように側で守り続けたいと思った。そしてこの瞬間に分かった。
俺は瑞穂の事が・・・。
「瑞穂、もう大丈夫?」
「うん。本当にごめんね」
瑞穂は本当に申し訳なさそうに言った。そんな顔しないでほしい。胸が痛くなる。
「気にするなよ。それよりさっきの事、まだ聞きたい?」
「え?いいの?」
「うん。瑞穂には聞いてもらいたい」
「じゃあ聞く」
瑞穂はそう言って真面目な顔になった。正確に言うとさらに顔を引き締めたというべきだろう。
「その前に1つ聞きたいことがあるんだ」
「何?」
「瑞穂って今、好きな人いる?」