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プロローグ2

プロローグ2です

宜しくお願いします

時間はやや遡り、クシャナトリア国とキングダライム国の国境近く。


「まさか情報通りなんて……」

 

グリュープスの艦橋にて、艦長であるエリス・モラリスは齎された情報の正確さに驚愕の声を上げた。

 数日前、グーダライム基地において『光の柱』が出現するとの情報に、最初は眉唾ものと疑ったのはいうまでもなかったが、実際に目にしてそれが正しかったという事が証明されたのだ。


「という事は、あれは間違いなく、あれなのかしら……」

「そう考えるのは早計と思いますが……」


 諭したのは副長のマニィー・ホーラン。


「た、確かにそうね」

「艦長、逸る気持ちは判りますがでもこれは、ついで、ですよ」 

「我々の目的はあの『悪魔的天才』であるサルワトールが開発した次世代機の破壊ないし奪取です。それをお忘れなく」

「そう。それが本来の目的だったわね」

「それに真偽を確かめている余裕など無いはずです。ここは機体の破壊ないし奪取を最優先するべきです」

「言う事は最もね。命令を間違えたら兵士の命を無駄に死なす訳になる。明朝0800に奇襲を行う。各自予定通り準備急げ!」

 

 艦が強襲型なのだが、特に今回の任務において長期決戦ではなく超短期決戦、一撃離脱を目的として人員は最小限に留められている。

 整備兵が砲弾の準備から始めると共にカードリッジ式の推進剤等の燃料パックを入れていく。

 第一世代機の通称『エストゥペド』と第二世代機の通称『アラーネア』では兵装からして大きく違っており、第一世代機は長距離と中距離攻撃型に分類される。

 120mm長距離弾薬と左右の『腕』の装着されている6連ミサイルポッドに、それぞれカセット式になっている弾倉を装填する。

 これは第一世代機が無限軌道を持った攻撃型なのが特徴で、見る者が見れば『移動式タンク車両に座った武装兵士』といっても過言ではないであろう。

 第三世代機のような洗練さは無く、油圧シリンダーと電磁モーターなどを併用した駆動系により確実な取り回しと走破性が特徴である。

第二世代機には中距離と短距離の弾薬を装填する。

これは第二世代機が、多足的走行による起動兵器故であり、長距離砲撃が無理なのは、長距離砲の反動に多足が耐えられないからである。

 拠点制圧を目的としている事もあるが、『エストゥペド』との連携運用が前提の部分もある。

 そして第三世代は完全なる「人型」であり先ほど、アーカイム基地でナオが見た「アーマード・ロイド」がそれ以降の総称になっているのだ。

 作戦は艦橋で行われたのは、、強襲艦である、この「グリュープス」にブリーティングルームなどという形式張った余分な設備が無いからである。


「……今回の作戦は以上である」

 

マニィーが概要を説明し終わった。


「つまりエストゥペドとグリュープスでの長距離からの砲撃、それに呼応するようにアラーネアによる中距離から基地を攻撃し牽制。ホバー機能があるゼルトナーを駆使して基地内の攻撃と同時に目標の破壊ないし奪取、という訳ね」

 

 第三世代機アーマード・ロイド「ゼルトナー」のパイロットである4機編隊の隊長でもあるシャナーダ・アラドから再確認の声が上がった。

 赤髪でやや釣り目なのがチシャ猫を連想させ、無駄な肉が付いていない華奢な体が一層、勝気なイメージを与えているが更に言えば彼女が14歳という年齢である事も拍車を掛けていた。


「初期目標は破壊、で問題無いんだよね?!」

「奪取はどちらかと言えば、濡れ手に粟。ライオネルのおじさんは奪取だといってたけど最終的には現場判断に任せる、て。あくまでも破壊をメインに考えて欲しい」

「全く無茶難題を言ってくる」

 

作戦参謀本部からの要請としては奪取が望ましい、と言われていたがそれでは攻撃が中途半端になる。

 最も与えられた戦力から考えれば戦闘をせずに撤退が望ましが、エリスとしては決してそれは口には出せない事項であった。


「それに近隣のグーダライム基地であるあにはあの「白銀の悪魔」が来ているらしいの。下手に戦闘を長引かせると援護として彼女が来る危険性がある」

 

 その他のパイロットも戦慄を禁じえなかったのは、五年前にキングダライム国に「光の柱」と共に突如現れたパイロットであり、これまでの総撃破数は500機以上とも言われている。

 誇張かもしれないが、クシャナトリア国でも多くの同胞が彼女と彼女が駆る「オプファー」により撃破され、苦渋と煮え湯を飲まされているのは事実。

 それぞれの国に、俗に言うエースパイロットと呼称される人物が居るが、彼女だけは別格で一説には一人で戦局を覆す事が出来る、とさえ言われている。


「つまり時間との勝負、て事ですか?」

 

これはヴィオラからの質問であり、再確認の意味合いもあった。


「勿論、エストゥペドを中間地点において時間稼ぎはする」

「でも、基地内は?」

「ここに見取り図がある」

 

 その言葉を聞いたシャナーダが軽く口笛を吹いた。


「金で身内を売った奴が居る、て事ね。有難い事。まあ可愛い方かな。気に食わない上官を平気で他国に売り渡す者も居る位だし」

「我々も寝首を掛かれないように気を付けないといけないわね。それと、重要な事があるの。アーカイム基地にて『光の柱』が観測されたわ」

 

 エリスの言葉に、今度こそ艦橋が騒然となった。


「何だってそんな所に?」

「それは私が聞きたいわ。もし、可能ならそこに現れた人を確保して欲しい」

「それこそ至難の業だよ」


 シャナーダが非難の声を上げるのも当然で、情報も何もない状況下の中でそれを探すのは基地を短期間で、それも完全な状態で制圧しなければいけない。


「利用される位なら最初から……」


 シャナーダが言葉を切ったのは、マニィーの突き刺すような視線があったからで、その意味合いは、『それ以上、言わなくてもいい』である。


「まあ、可能なら少しは善処しますけど、期待はしないで欲しいな」

「そこは現場の判断に任せます」


 エリスとて不確定なモノで部下を死地に赴かせるような戦略も戦術も持ち合わせていない。


「じゃあ、皆行くよー」


 ゼルトナーに乗り込むと、次々とシステムを立ち上げていくのは所定の手順を踏まないとゼルトナーは幾ら操縦桿を押しても決して動かないのである。


「火気管制システムはプログラムDで。ホバーユニットは設定をBに。バインダースラスターはCで」


 整備兵のモニカから外部通信が入る。


「あいよ。まあ、基地が狭いからね。脚部はベクターノズルにするのは当然。推進ユニットは短期決戦だから最大燃焼で、か。まあ、それでセッティングしてあるから」


 背中に装備されている320mmバズーカが二基に両腕に装備されている対要塞攻撃用の大型ミサイルランチャーが四発と小型手榴弾が追加で10個。

 通常装備の120mmケースレスマシンガンとシールドに収められた特殊合金「ダマスカス鋼」で作られた両刃の剣。


「優先事項は機体の破壊、か……。出来れば例の件も情報があれば助かるんだけど……」


 言うと先程のアーカイム基地の見取り図を呼び出す。


「捕虜収容区画はここか……格納庫からだいぶ離れているし、襲撃の際の進行ルートからも外れている」


 ルートとしては正反対の位置である。


「でも重要人物なら別だよな?」

「隊長、ここはまずは機体を破壊する事を優先しましょう」


 エーメルから音声のみの通信が入る。


「初期の目的がブレるとロクな事がないですからねー」


 カナミーからの意見が最もである。


「そうですよ。まずは機体を撃破。可能なら奪取が一番かと思います」


 エーメルの言葉に他の隊員も同意の言葉を通信で入れてきた。

 作戦目的が複数も同時に出来ると思っているのは無能な、夢見がちの指揮官だけであろうよ。


「ぶつくさ考えるのなんて性に合わない。とりあえず、その機体を撃破する! あとの事はそれから考える!!」


 機体をオートで動かしカタパルトデッキに載せる。


「シャナーダ。ゼルトナー出るぞ」

非難、中傷や誹謗はご遠慮ください

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