目の敵にされたくはないがバレたくはない
「認めるだと!? ふざけるな! こんなふざけた奴……風紀を乱す最たる原因!!」
やはり委員長は頭に血が昇っているようである。その怒鳴り声に陰口を叩いていた連中が気圧された。
「学園の平和は風紀委員が守る!!」
僕は委員長がこいつらに文句をつける口実を与えるような行動をしないようにと何とか釘をさす。
そう、アレの正体は僕なんです。彼女の危機に先回りしているつもりなんだけどそれが余計に彼女を怒らせてしまっているみたいで。今は屋上でブラックマスクの手がかりがないか委員長に手伝わされているところ。
「何か落ちてないか、良く探せよ!」
手がかりなんて残しているわけないけど、探しているところを見せないと委員長に怒られるので探すフリをしている。そこへ不良グループがやってきた。
「あっれー? まーたいつものブラックマスク探しかよ瀬戸」
不良のリーダー格の奴がニヤニヤしながら訊いてくる。
「お前ら…………何しに来た!」
(こいつら、いつもの不良……)
委員長にこいつらがそういうマネをすると想定できたのに。俺は不良グループが絡んでくるのは想定できていたはずなのに何も出来なかった。
「まーまー、またしてもやられたらしいじゃん。風紀委員ってのもだらしねえな~」
「用がないならさっさと下校しろ。クズ共が」
不良グループのリーダーが委員長の食いつきそうな話を思わせぶりに口にする。
「んなこと言っていいの~? 俺、奴の正体に心当たりあんだけど」
「何!?」
「知りたい?」
「誰だそれは!?」
少し過去話――
この学校には正義の味方がいる。学園の平和を守る影ブラックマスク、そのヒーローっぷりからこの学校の生徒にも大人気だ。この風紀委員長瀬戸さんを除いては。
「あんな奴、私が正体を暴いてやる。行くぞ、富時!」
僕は風紀副委員長の富時。三ヶ月前、カツアゲされているところを瀬戸さんに助けられた。
<去れ、クズ共が>
<んだとコラ。やんのかこのクソアマ>
そのカツアゲ犯達は腕っ節は大したことなかったらしく、委員長に簡単にいなされている。そんな中、自分の不甲斐なさに涙目になっていた僕にハンカチを差し出してくれた。
「おい、メソメソするな」
その時の風紀委員長の事を思い出せと言われたら、僕は今でも鮮明に風紀委員長の姿を思い浮かべられる。




