暗示なのか催眠術なのか……
「はなせ」
彼女の一言でス○オ細木の体はまるでかなしばりにでもあったかのように動かなくなった。
「え!? あれ? あれっー!?」
「何やってやがる……ッ」
王夢が何かをしたのかと考えてジャ○アン谷川がつかまえようとする。それに気付いた彼女は言葉が超能力の鍵のような感じで現実に具現化するのだ。
「お前は吹き飛べッ!!!」
まるで超能力か何かの見えざる力で吹き飛んだジャ○アン谷川はス○オ細木を巻き添えに壁に激突して気絶した。
「―――――……!?」
俺は何が起きているのか理解出来なかった。オレンジっぽい夕日が沈みかけて夜が近づいてきている。そこで俺は王夢からさっきのことを話してもらっていた。
「“エンペラーボイス?”」
『私はそう呼んでいる、催眠術みたいなもの。意識を狭窄させて一つの事象が脳を占領することによって暗示をかける。私の声は人の脳をその状態に陥らせるのに特化した周波数らしいの』
俺が聞いてわかるのは催眠術と暗示くらいだ。
『対象の目を捕らえて何かを命令すれば暗示のままに<動かす>ことが出来る。効果は一過性だけど使い方によってはとても危険。それに……気持ち悪いでしょ?』
どうやら言葉を現実のものにしたというより、人の目さえ捕らえてしまえば一時的に操り人形のように出来る催眠術と考えた方が妥当っぽい。
「……? 別に。気持ち悪かねーだろ、むしろ便利だ」
彼女がこの催眠術で何か大切なものを失ったとかあるかもしれないが、俺の本心を聞いた彼女は意外という表情をする。
[お腹すいた(´ºº`)帰る(●´・∀・`)ノ]
「そっスか」
俺がガードレールに寄りかかって少しだけ休んでから帰るかなとか思っている時、彼女が振り返ってきた。
「肉まん、ごちそうさま」
とびっきりの笑顔を見せられて俺は初めてみるかわいらしい表情だなと感じた。
「うお」
俺は一日の濃い内容に疲れとかで考えがまとまらないので、髪をかきむしってそれからあれが食べたくなる。
「―――くそ、肉まん食いたくなったじゃねえか……」
次の日、俺がいつも通り犬助を可愛がって荒んだ心を慰めるとするかと考えながら川原に行くといないと思っていた王夢がいた。
(――ってまたいる―――!! しかも腹減りMAXかよ!!)
そこへジャ○アン谷川とス○オ細木がボロボロの体のくせにしつこくからんでくる。
「リべンヂじゃ阿座良ぁ!!」
「お前らもかよ!!」
俺のケンカを卒業したいという気持ちを返してくれ。




