5、時空の狭間のその向こう
かつん、かつん、と遠くの方から人の足音が聞こえた。しかしそれは本当に遠い彼方から響き渡るもので、果たしてどこへ向かっているのかもわからない。静寂と暗さの支配する世界の中で、頼れるのは触覚ばかりだ。カグワは、最も身近にあるもの——共に闇の中をくぐりぬけてきた己の仗身の毛皮を掴んだ。
「……ゆたや」
おそるおそるその名を呼ぶと、すぐに応えた。
「はい、ここに」
即座に返されるその答えに、心底安堵する。此処がどこであるのか、一体何が起こったのか、自分の置かれている状況が何なのか、一切わからないことだらけであるが、確かにそこに慣れ親しんだ仗身がいるのだとわかればそれでいい。カグワは彼の毛皮から手を離して、わずかに暗い空間の中を進んだ。
「……ここは一体どこかしら」
言いながら二歩進むと、すぐに壁に当たった。どうやらとても狭い空間のようだ。
「さぁ……あまり広い空間ではないようですが……私は身動き一つ取れません」
言いながらユタヤは獣の頭を僅かに持ち上げて、がしゃんと何かにぶつかった。「照明器具が……」とユタヤが情けのない声をあげる。音からして硝子製の照明器具がぶらさがっているのか、とカグワは天上を仰いだ。カグワの触れた壁も上質な壁紙のような触感がしていたし、二歩のみ歩いた床も絨毯が敷かれているようで柔らかだ。どうやら此処は狭いながらも、人の住まうことのできる部屋のようだった。
「此処が普通の部屋なら……どこかに出口があるはずだけど」
カグワが小さく呟いて壁を伝うと、ユタヤがわずかに身動きした。
「私の前方に……それらしき取手がありますが」
「本当?」
カグワはユタヤの腕を掴むと、彼の誘導に従ってそれらしき取手へと辿り着いた。部屋の中には明かりがなく、窓さえないため暗くてよく見えないものの、確かにそこには扉の握り手のようなものが存在していた。が、金属製のそれを握って押してみても、あるいは引いてみても、全く扉は動こうとしない。
「……駄目だわ。開かない。ゆたや、開けられる?」
力尽くで開けられるものなのかどうかは不明であったが、自分よりも数倍力のある仗身に託すと、彼は無言で扉を押した。が、やはり、びくともせず、長い爪をひっかけ扉を引こうにも、開こうとはしなかった。
「……どうやら何かしらの呪がかけられているようです」
「ゆたやの力でも開かないとなると……そうかもね」
どのような頑丈な錠がしてあったとしても、ユタヤが力尽くで臨んでびくともしない扉があるとは思えない。ということは、物理的ではない何かしらの力が働いているということになる。
カグワは扉を開くことを諦め、ふうと一息吐いた。とりあえず、此処が何処なのか、一体全体どうしてこういうことになったのか、わかるだけのことを推理してみなくてはならない。そのためにはまず、この暗闇から脱したいが、照明器具に明かりは点くだろうか。
「ゆたや、天井の照明に火を灯したいんだけど……できそう?」
「火種、は……難しいかもしれません。なにしろ私の頭が当たってしまうので」
ユタヤの獣姿の長い白髪に炎が移ってしまうかもしれない、という懸念だろう。カグワは腰に手をあてて、考えた。そもそも、彼がこの部屋の大部分の空間を占拠してしまっているために、この部屋の全貌が見えない。
「人型に戻ってよ、ゆたや」
「いえ……円形の間の前の渡り廊に、装衣を置いてきてしまったゆえ……」
仗身の纏う装衣は、獣型にも人型にも自在になれるよう、着脱の便利な衣となっている。ゆえに獣型になった時には必ず装衣を持って移動しなくては人型に戻りたくとも戻れない。しかし、この非常事態の中では、それすら忘れてしまったようだった。
「もー……装衣なくたっていいわよ別に」
「さすがにそういうわけには……」
人型に戻って全裸に数珠玉を巻いたのみの格好というのは、さすがに気の知れた仲とは言えど、躊躇するらしい。その気持ちのわらかないわけでもないので、カグワもそれ以上は言わなかった。
代わりに、閉じきった扉に寄りかかって、うーんと唸りをあげる。
「でも、どうしよう……一つの扉が呪で封じられているとなると、他にどうやって外に出たらいいのかしら……」
「そうですね、他に道を探して……ん、お待ち下さい、なにか、物音が……」
「え……?」
「……何者か、人間の足音が、こちらへと近付いております」
ユタヤはぴたりと動きを止めて、声を潜めた。つられてカグワもぴたりと身動きを止める。すると、確かに扉の向こう側から、かつかつと近付いてくる人の足音が聞こえた。
この部屋の外がどのような作りになっているのかなんて、皆目見当も付かないが、足音は上の方からだんだんとこの部屋の前へと近付いてくる。故に、階段か何かがあって、上階からこの部屋を目指して何者かが下りて来ているのではないかと予測できた。
「……かぐわの君、私の後ろへ」
小声でユタヤが囁いた。カグワは暗闇の中、鮮明には見えない彼の顔を不安げに見上げる。確かに仗身とは護衛のこと、カグワを護ることこそ彼の仕事ではあるが、今まで平穏な後宮で過ごしてきた彼女たちに、このような不測の事態が起こったことは一度もなかった。ゆえに、不安だ。ただ一方的に護られる立場は、不安だ。
かつかつと、足音が近付いてくる。もう間もなくだ。階段を下りるような足音ではなくなった。今度は、固い床をまっすぐ歩くような足音に変わる。——カグワは目をつむり、巫女の技の一つ、「気感」の技を使った。これは唯一カグワが得意とする技で、近くにいる人間ならば、その気配から大体のその特徴を言い当てることができる。
「男が……二人よ。顔はよくわからないけど……若い男が二人。帯刀しているみたいだから、兵士か何かかしら……」
「気感」の技を使ってできうる限り相手の特徴を探ると、彼女の力を絶対的に信じている仗身は二人の兵士が来るのだと身構えた。
「相手は敵かもわかりません……向こうが武器を持っているのなら、尚更私の後ろへ隠れてください」
かぐわの君、と再び囁かれて、致し方なくカグワは壁を這うようにしてユタヤの後ろへと隠れた。不安ではあるが、自分が前にいたとて何もできない。戦いの術ならば、ユタヤの方がずっと心得ている。
かつかつかつ、と近付いてくる二人分の足音が、ついに部屋の前で止まった。部屋の、扉の前で止まった。来るか、とユタヤが身構える。その後ろに控えたカグワは、彼の背の毛皮を無意識のうちに握り締めた。
そして、ついに、扉が外側から開けられる。あんなに固く閉じられていた扉は、やはり呪がかけられていたのであろう、外側からはいとも簡単に開いた。それはもう、腐った木戸を開けるがごとく安易に開いた。
きぃ、と音をたてて扉が開くと、途端、外からの光が部屋の中へと差し込んだ。そのあまりの眩しさに、一瞬にして目が眩む。本能的に瞑ろうとする目を必死に開くと、自ずと涙が溢れた。涙で霞む視界の中に、二人分の男の影が映る。
「……うわあああああ、なんだ、こいつはっ!!」
「ば、化け物……っ!!」
背中に光を背負って、影にしか見えない二人の男が、口々に悲鳴をあげた。そして、彼らが悲鳴をあげたその対象がなんであるかは、瞭然だ。部屋をその巨体で占拠する、獣の姿をしたユタヤのことであろう。
「ば、ばかな……! 部屋には、娘が一人、いるはずだ、と……! それなのに、何故、化け物が……!」
「わからん……! とにかく、殺せ!」
金属のこすれるような音がして、男たちが抜刀したことを知る。カグワははっと息を呑んだ。確かにユタヤは生身の人間よりも遥かに強いけれども、抜き身の刀二本を相手に勝つことなどできるのか。
そう思って緊張したカグワとは異なり、ユタヤは少しの怯えも見せなかった。強い警戒の意思を見せて、相手を睨みつけているのであろう覇気が、後ろからでも伺える。その覇気に押されて、「殺せ」と叫んだはずの男たちがひるんだ。刀を握り締めたまま、一歩踏み出すこともできない。
「は……はやく、殺せ!」
「でも、……でも!」
二人分、裏返った悲鳴のような喚きが聞こえる。と、思ったその時だ。
「——殺す? それは誰の許可を得てのことだ」
この場にそぐわぬほどに冷静な、男の声がした。
かつ、かつ、とその男の物であろう足音が近付いてくる。部屋の前にいる男共よりか幾分重みのある足音で、両者の間に地位の差があるのだとその足音だけで判別できた。
「あ……しかし、中に、化け物が……!」
刀を構えた男の一人が裏返った声で抗議する。すると、現れた男は再び冷静な声で答えた。
「それは獣人だ。古来より、西の国の巫女は、獣人を護衛として侍らせるのだ。——だから、何も知らない下級兵を寄越すことには反対したのに」
台詞の後半は独白であろう。何も知らない下級兵たちは、現れた男に「戻れ」と言われて、まだ怯えの消えないまま、抜き身の刀を鞘に戻すことさえ忘れて足早に去って行った。足のもつれそうな勢いで走り去って行くその足音は、いっそ哀れであった。
一方の残された男は、一人部屋の中を見つめていた。その部屋いっぱいに警戒を解かぬ獣の姿を見て、ほう、と感心したように呟く。
「……しかし、立派な獣人だ……。まさか、あの時空の狭間に自ら飛び込んでくるとは」
男はユタヤを見上げてわずかに唸ると、それからその場に膝をついた。彼は深々と叩頭し、声を張り上げる。
「西の国の巫女——お迎えに参上致しました。危害は加えぬゆえ、そのお姿を拝見させて頂きたく存じます」
その慇懃な口調からは、生来の上品さが感じられた。恐らく、生まれながらにして貴い位を持っているのだろう。
カグワは決意した。逃げても隠れても仕方がない。西の国の巫女とは、間違いなく自分のことだ。まだ、選定の儀式を抜けて間もなく、その実感はないけれども、他に該当する者はいない。
「……私が西の国の巫女よ」
ゆえに、ユタヤの横をすり抜けて、彼の前に出た。「三の君!」とユタヤが咎めるように声をあげる。あえてここで名前を呼ばなかったのは、見知らぬ男にカグワの名前が知れてはいけないと配慮したためだろう。つくづく用心深い仗身だ。
部屋の前の広い廊下に膝をついた男は、癖のある茶色い毛を首の後ろで軽くくくっていた。暗色の絹の布でできた品の良い服を纏っているが、後宮育ちのカグワにはその格好から彼の位を予想することは難しい。
「西の国の巫女……手荒な方法で此処までお連れしてしまったことをまずはお詫び申し上げる」
「手荒……なんてものじゃなかったけど……此処は何処なの?」
「此処は西国エウリアの隣国、北国ラウグリアの宮殿でございます」
「北国……っ!?」
思わずカグワは声を荒げた。
聖女として後宮で大切に育てられたカグワは、西国エウリアはおろか、後宮の敷地の外にさえ、足を踏み出したことがほとんどない。当然、北国ラウグリアになど一度も足を踏み入れたことがなかった。故に、自分のいた西国の後宮から、この北国の宮殿までどの程度の距離があるのかなんてわかる由もないが、少なくともこの短時間で移動できる距離ではあるまい。先刻この男は、「時空の狭間」とぼやいたが、それはきっと円形の間の天井に現れた暗闇の固まりのことであろう。そしてそれを通り抜けることによって、カグワは一瞬にして西国の後宮からこの北国の宮殿まで飛ばされてしまったということだ。
「西国はこの頃、北国に要人を寄越すよう強く求めてきますので……ならばまずは、西国の要人をこちらへお招きして、話を聞こうではないかと」
男は深く頭を垂れているため、その顔を見ることはできない。しかし、その声色からは、なんとなく含みが感じられた。
——あの冷徹な参謀は、頭が切れる。この国王崩御を好機と見た。国王の葬儀に、各国の要人を招待すると言い出した。
——レヴィン国務参謀は、北の出方を見たいのじゃ。要人を招待されて、しらばくれて皇室を寄越すのか、軍人を寄越すのか、あるいは、誰も寄越さず真っ向から対抗してきよるのか。
そう教えてくれたのは、後宮の最西端の変わり者、ケニー老翁である。そして彼は言った。北国ラウグリアは今やほぼ軍国になりつつあるのだと。そしてそのうち、隣国であるこの西国エウリアにも戦を仕掛けてくるであろう、と。
「しかし、なかなか西国の御仁が話し合いには応じてくださらぬゆえ、手荒ではありますが、こうして西の巫女を時空の狭間よりお招き致しました次第」
「時空の狭間……」
カグワは眉をひそめた。
それはすなわち、時間もなければ空間もない、不思議な扉を開くことによって遠い物を近くへと引き寄せる技である。巫力の修行をするにあたって、時や空間を操る技があることも、聞いてはいた。しかしながら、それはとてつもなく高尚で、他の技と比べてみても圧倒的に難易度が高い。今代一の巫力の持ち主であると言われた一の君ネイディーンでさえも、その技に挑戦することすらできなかった。——だが、北国にはその技を扱えるほどの強い巫力の持ち主がいるのだ。
「……北国には相当な、実力者がいるのね」
呟くと、長い癖っ毛の茶髪が「御意」と言って、揺れた。
「西国では、巫力と呼ぶらしき不思議な『力』。我が国には、随一の『力』を持つ御仁がおります。その御仁が、折角お招きしたのだから巫女に会いたいと仰せです」
「……誰?」
「北ラウグリア帝国の皇太子……シルディア殿下でございます」
「皇太子殿下……」
カグワは瞬きをした。「御仁」と呼ぶからにはそこそこの地位のある人間だとは思っていたが、まさか国を統べる皇室の人間であるとは思わなかった。『力』があるから皇太子になったのか、あるいは皇太子がたまたま『力』を持って生まれたのか。カグワは北の国の皇室の制度など知らなかったが、どちらにせよ国の頂点に立つ人物がそれほどの強大な『力』を持っているのだという事実が、恐ろしく思えた。
「殿下は、巫女の到着を今か今かとお待ちです」
言って、男は初めて顔をあげた。怜悧な顔立ちをした若い男であった。二十かそこらだろうか。
「さあ」と男に促され、カグワは俄に迷ったが、いつまでもこの狭い部屋に閉じ込められていても仕方がないと判断して彼に従うことにした。彼の言葉がどこまで真実なのか、カグワには判別する術もないのだ。とりあえず動かないことには進めない。
そう決断したカグワが一歩前へ踏み出すと、「三の君」と後ろの仗身が低い声をあげた。この見知らぬ場所でカグワを一人にすることを、案じているらしい。振り返って「私は大丈夫よ」と彼を安心させようとして、ふと気が付いた。確かに、カグワに身の危険の生ずることはないかもしれない。手荒い方法ではあったが、カグワのことを西の巫女と知っている以上、迂闊に手出しはしないだろう。——だが、ユタヤはどうだろう。
カグワの頭に、先ほどやってきた二人の下級兵士の姿が過った。ユタヤを見るなり「化け物だ」「殺せ」と彼らが喚いたように、北の国にとって巫女であるカグワは要人であろうとも、ユタヤはただの化け物でしかない。このまま彼を置いて行ったら、何をされるかわからない。
「待って」
気付いたカグワは、カグワをどこぞへ連れて行こうと踵を返した男の背に向かって声をかけた。
「ゆたやも……彼も一緒に連れていくわ」
「何……?」
前を歩く男が足を止めてこちらを振り返る。そしてカグワの後ろに控える獣の姿を見上げて、険しい顔をした。それが肯定なのか否定なのか、聞かなくともわかるほどに、険しい。カグワはそれでも畳み掛けるように続けた。
「西の国の掟では、巫女の傍には必ず仗身が控えることになっているの。もしもその掟に従えないのなら……私は行けない」
きっぱりと言い放つと、男は眉根を寄せる。
「此処は西の国ではありませぬ。北の国では北の国の掟に従うべきでは?」
「勝手に招いておいて、従えと? 折角此処まで来てあげたのだから、それくらいは譲歩するべきではなくて?」
実際には招かれたというよりも攫われたといった方が正しいが、毅然と振る舞った。男は灰色の目を細め、口調を強める。
「北の国には獣人がおりません。宮殿の中を歩かせるわけにはいかぬのです」
負けじと、言い返した。
「なら、強制的に私を連れていきなさい」
背後の仗身が、獣の唸るような低い声で付け足す。
「巫女に手を出すようならば、その者を私が排除する」
主従の強い視線を受けて、男の目が揺らいだ。彼は眉間に皺を寄せたまま、「しかし」と困惑したように言いよどむ。
「再度申しますが、北国には獣人がおりません。宮殿の中に獣が現れたとなると、混乱を避けられぬ」
確かに、とカグワは下級兵士たちの反応を思い浮かべた。この姿のままのユタヤが歩くと、後宮の中でさえ嫌悪されるのだ。獣人を見たことのない場所では、どうなることか。彼の言葉には一理ある。
「なら……服を持って来て頂戴。彼は、人の形にもなれるから」
男は獣姿のユタヤを見上げて一驚したような顔をする。巫女には獣人が護衛として付くことを知りながら、彼が人にも獣にも変化できることは知らなかったらしい。
「それで問題はないでしょう? よもや嫌とは言わないでしょうね?」
強い口調で問うと、男はユタヤとカグワを見比べた後に、首を竦めて頷いた。
「しばし部屋の中でお待ちください。衣服を用意させましょう」
カグワはほっと胸を撫で下ろした。これでユタヤと離ればなれにはならずにすみそうだ。
部屋の中で、と言った男はカグワを再び部屋へ戻すと扉を閉めようとした。恐らく彼女たちが逃げることのないよう、再びこの扉に呪を施すつもりなのだろう。
閉じられていく扉を眺めながら、ふと、カグワは男の顔を見て問うた。
「ところで、そうだ……貴方は誰? 軍人さん?」
最初にこの部屋を訪れたのは、二人の下級兵士であった。ほとんど軍に食われてしまっているという北の国で、権力を持っているのは軍人なのだろう。現状をよく把握している彼も、その一人なのだろうかと思って問うた。すると、彼は「いえ」と笑って首を振る。
「私は、皇太子殿下の世話役をしております。位で言えば、侯爵と同位の権限を持ちますが……巫女君よりは下位でございますゆえ、何でもお申し付けくださいませ」
「そう……名前は?」
北国の貴族の階級制度など知らぬカグワには、彼の位などどうでも良かった。ただ、彼を呼ぶための名前が知りたい。
名前を問われた男は、茶色の癖っ毛を垂れ、軽く会釈した。
「オレーク・ナイザーと申します。オレークともナイザーとも、なんとでもお呼びください」