4 早起きは、ふつう得しますよね?
「はぁ、早く寝過ぎて、夜明け前に目が覚めるって、どうなのよ・・・。」
「健康でよろしいんじゃないですか?まぁ、城内の方々が仕事を開始した直後でしょうから、流石に身動きを取れませんが。」
「ですよねぇ~。って、事でエリーさんや、ものは相談なんですが。」
ニッコリ、笑顔は大切ですよ。
「はぁ、わかりましたよ、用意致しますのでお待ち下さい。」
「ありがとう!」
ギロリ。
はぁ。
「む、無言の圧力が!?う、う~、そ、その代わり、あの子のお迎えと今晩の添い寝権を!」
「っ!わ、わかりましたわ。」
ちょっと、顔と動きが違っ!
かろうじて、真面目な表情だけどさぁ!
「うぅっ、勝ったはずなのに、負けた気がする・・・。」
はい、右見て~、左見て~~♪
だっれもいませんねぇ~~♪
さぁ、お庭にでも行って見ようかなぁ?
確か、あっちの方に東屋があったような。
・・・庭も広いわ!
ちょっと、迷うって!
か、帰れるかな?
・・・・・・あー、やっとたどり着いた。
うん、やっぱりいい雰囲気だわ!
「すぅ~~~っ、はぁ~~~~。あぁ~、気持ちいい朝だわ~。」
あら?
あんな所に、赤い花?
あれは
「あなたは誰かしら?」
ビクッ!
後ろから聞こえた声に、体が強張った。
「ねぇ、そこのあなた。ここがどこだかわかっていて?ゆっくりと振り向いて、所属と名を名乗りなさい。」
やっばぁ~~。
ここって、もしかして王族の方々の・・・。
ゆっくりと顔を伏せ、礼を取りながら、振り向く。
「申し訳ございませんっ!」
覚悟を決めて、面をあげた。
真っ赤。
真っ赤な、長い豊かな髪。
燃えるような輝きを放つ褐色の目、すらりとした肢体を黒いドレスで包んだ美女。
少し離れた距離さえ飛び越える迫力。
「・・・ラディエイタ」
「あなたの名、ではなさそうね。」
「ぁっ、も、申し訳ございません。」
「名を、名乗りなさい。」
「あ、アリシアと申します。申し訳ございませ
「家名は?と聞くのは野暮ね?アリシア、いいえ、アリスちゃん。」
「え?」
「いくら特徴が似ているといっても、見る人が見ればわかるもの。例え、多少、フフッ、奇抜な服装をしていてもね。」
バ、バレてる?
え、かなりのピンチ??
「なぁ~んてね。」
「は?」
「ひっかかった?いやぁ~ん、何て素直な子!」
「え?」
「だって、私、部外者なのよね~。それに、立ち入り制限なんて元からかかってないし、ここ。」
「!?・・・じゃ、じゃあ、え、でも、さっき。
「そんなわかりやすく混乱してくれるなんて、かわいいわぁ~。」
「あ、あのぉ・・・ど、どちらさまで?」
「ラディエイタ」
「え、それは」
「フフッ、その花に見立ててくれるなんて、粋だわ。気に入った。」
ゾクッ。
ちょっと、美女様の目が肉食獣に!
いやぁ~な、予感が・・・。
「また、次に会えるのを楽しみにしてるわ。」
「え、それは、どういう
ブワァサァッ
「わっ!」
一瞬の突風に目閉じて、とっさに上げた手で顔を庇った。
再び目を開けた時には、誰もいなくなっていた。
ラディエイタの花を除いて。