14 お買い物♪お買い物?
どうにか、こうにか、エリーをなだめて、死を免れた・・・。
いくら上等で丈夫な紙といえど、あれは死ぬ。絶対死ぬ。大事なことなので2度言いました。
いや、まぁ、お約束があるのに、無茶しないとは信じてるけど!
え、信じていいんだよね?
そ、それはおいといて、お約束の時間にカトリーナ様をお尋ねすれば、
「お待ちしておりましたわ。さぁ、参りましょうか。」
いつにも増してキラキラオーラを発する笑顔に即刻ひっぱって行かれた!?
ちょっ、いずこへ~~~!!
えぇ、出るの?
王宮でるの!
でちゃっていいの!?!
「あ、あの、外出の許可とその警護のものはどちらに?」
「ご心配なさらないで、セリーヌ様を通して許可をいただいておりますわ。警護に関しては目に見えるものは遠慮致しましたの。今回の買い物にそんなものは必要ございませんもの。」
「そ、それではどちらに?」
「着いてからのお楽しみ、ですわ。」
「は、はぁ。」
「さ、こちらですわ。わたくしの贔屓の店ですのよ。」
え、えーっと、これまた超有名な貿易商の邸宅ですか!?
というか、取り寄せとかならわかりますが、来ちゃっていいの!?
一応、側室候補なんじゃあ・・・。
って、あぁ、お世継ぎ求められてませんもんね。
「今のご当主とわたくしの兄が親しくさせていただいてますの。幼い頃からの知り合いですのよ、これでも。」
「そ、そうでらっしゃいましたの。少し驚いてしまいましたわ。」
「うふふっ。でも、まだまだ序の口ですのよ。」
「そ、そうなのですか。な、何だか、動悸が・・・。」
全く気にかけず、美しい笑顔(肉食獣っぽい)で振り返り、
「アリシア様、こちらですわ。」
通されたのは、豪華な応接室?
なぜかメイドさん数名とこざっぱりとした衣装がたくさん見受けられますが?
「さ、いつものように始めますわよ!あなたたちは、アリシア様をお願いね。」
「あ、あの、カトリーナ様?」
ちょ、まっ、えぇ!
メイドさんたちに囲まれ、あれよあれよという間に、衣装チェンジ!?
「やっぱり、アリシア様は、その色が似合うわ~。それに、サイズもぴったりね!さすが私!」
「か、カトリーナ様?」
「あら?気に入らなかった?」
町娘が2人完成って、どういうこと!?!
というか、カトリーナ様、その庶民的なしゃべり方は、一体!?
い、いや、お、落ち着け、落ち着け、自分。
「え、えーっと、状況を説明していただけませんでしょうか?」
「びっくりした?」
「あ、頭の中が、真っ白で、非常に、混乱、しております、わ。」
「あはは。いーわぁ~。でも、セーラの時より、混乱が少ないのがおもしろくないわ、残念。」
「え、えーと、セーラ様とはどなた、いえ、聞かなかったことに致します。」
「あら、立ち直りが早いのね!そうよ、セリーヌの事よ、もちろん。」
「やはり聞かなかった事には・・・。」
「だめよ、もちろん!セーラも慣れてくれたし、あなたを引き込むことにも賛成してたでしょ、あの時。」
「もう少し、穏便な方法はなかったのでしょうか・・・。」
「だって、そんな誘い方したら、あなた絶対断るでしょう?どう考えても遠回りじゃない?」
「そ、それは、そうかもしれませんけれど。」
「ま、あなたはこういうの嫌いじゃないって思ったから引き込んだんだけどね。だって、あなた脱走し慣れてるでしょ?」
「え、えっと、それは・・・。」
「隠しても無駄よ!いくら、背格好が似てても、侍女と見間違えることなんてないもの。」
「な、なんのことでしょうか・・・。」
「流石に、シャルル様を部屋に連れ込むとは思わなかったけど。」
「連れ込むだなんて、そんな・・・。」
「シャルル様ご自身の意思なんだから、ちょっと表現はよくなかったかしら。でも、あの現場だけ見たら、何あの子、シャルル様から誑かす戦法!?野心家ねー。とか一瞬思っちゃったわよ。」
「・・・。」
「そう、落ち込まないでよー。セーラもあたしも野心家のうっとうしい子にこんな秘密暴露すると思う?」
「えーっと、試されてます?」
「見くびらないでくれる?」
「すみません!」
「あなたがいい子だってわかったから、引き込んだってはっきり言わないといけないのかしら?」
「へ?」
「あなたって、そうね、ある意味珍獣だわ。王宮に上がるには純粋ですれてなくて、かつ、野心も欲もない。貴重だわ。」
「褒められてるのか、けなされてるのか・・・。」
「もちろん、褒めてるわよ!」
「珍獣に加えて、聖人扱いが? 欲ぐらいありますよ、ふつーに。」
「あら?例えばどんな?」
「昔から、色々勉強したいと思ってましたし、シャルル様の御髪に触れてみたいですし、あわよくば、うちのリビアンと結婚して欲しいなぁ~とか。」
「ちっぽけな欲ねぇ~。で、他には?」
「うっ。うーん、美しいものをもっと愛でたいとか?」
「それは、女なら誰でもじゃないの?」
「周りに理解してもらいえなくて・・・。」
「あら、それは不思議ねー。で、具体的いうと?」
「美少年!」
「・・・犯罪に手を染めないでよ。」
「そ、そんな、私は観賞するのが好きなだけで、変な趣味はないのに・・・。」
「某未亡人みたいに、いたいけな少年をいけない道に引きずり込むとか?」
「そ、そんな、違うのー、私は変態じゃないのーー。」
「ちょ、何も泣かなくても・・・。やり過ぎちゃったかしら?」
「へ、変態じゃないもん。」
「はいはい、わかってるから、大丈夫だから。」
「ほんと!?」
「も、もちろんよ!」
「よかった~。」
「まぁ、美少年も観賞する分には目の保養になるものね。」
「うんうん!」
「私は、美男子の方が好きだけれど。」
「あー、うん、ちょっと年齢上がるよね、ふつーね。」
「でも、殿下クラスだとうっとりしてしまう気持ちもわかるわー。」
「そう!そうなのよ!何なの、あの美しさ!ちょっと影のある感じがまた堪らないというか、非常に残念というか!!」
「影?残念?」
「何かこう、ままならない状況に焦る気持ちもあるけれど、それ以上に全部諦めちゃってるような。」
「へ~」
「そこから影が一掃されたら、どんな笑顔が飛び出すのか!?みたいな、想像を掻き立てる辺り、ポイント高いんだけど、実際に笑顔を拝見した事がないのが残念というか。」
「ふーん。意外と観察してるのね、ばっちり。」
「そりゃあ、もう。」
「ねぇ、アリシア。うーうん、アリス?」
「ん?何?」
「やっぱり、あなた庶民的なのね。」
「へ?」
「しゃべり方、多分、素に戻ってるわよ。」
「・・・。」
「あたしの事はカティってよんでね。で、あなたはイリスね。」
「は、はい。」
「じゃあ、王都探索でもしましょうか?」