婚約破棄と言われたけど、右京さんみたく「1つだけ、よろしいでしょうか?」と質問したら、婚約者の方がざまぁされた
相棒の杉下右京さんぽくセリフを言ってください。
夜会会場のど真ん中。爵位自慢の婚約者がドヤ顔で言った。
「お前とは婚約破棄だ!」
それを聞いた時、私の脳内に杉下右京さんが現れた。
「はいぃ〜?」
「お前とは婚約破棄だと言っている!」
イライラしたように、婚約者が繰り返した。
「おかしいですねぇ。私という婚約者がいるのに、何故貴方は、別の令嬢を連れているのです?」
私は転生者なのだ。
相棒シリーズは毎週見ていた。
それはさておき。
私が言うと婚約者と浮気相手は、気不味そうにした。
「それは…」
「その凝ったドレスは、仕立てに3ヶ月…いや、半年くらいは掛かりそうですねぇ…つまり、半年前には、既にドレスを注文する程には親しかったという事になりますねぇ」
私は更に言った。
「え…?」
「つまり、浮気は半年以上前から、と、そういう事でしょうか?」
「いや…」
一緒にいた弟に、両親へ婚約破棄を伝えてもらうように視線を送る。
弟は頷いて、両親のもとへ向かう。
「婚約破棄ですね、かしこまりました」
「い…良いのか?」
婚約者は慌てた。
「おや〜?何か問題でも?」
「いや…」
「1つだけ、よろしいでしょうか?」
私は、とっておきの質問をすることにした。
「何だ?まだ何かあるのか?」
焦る婚約者。
「いやぁ細かい事が気になる性分で」
わざと焦らす。
「何が言いたい?」
イライラする婚約者。
「私と婚約したのは半年前…つまり、既に彼女と付き合っていたのにも関わらず、貴方は私と婚約した事になりますねぇ」
「…」
「我が家に借金の肩代わりをさせておいて…まさか『お前を愛するつもりはない!』とでも、やろうと思っていたんでしょうかねぇ…?」
「借金?」
浮気相手が婚約者を見た。
「いや…違うんだ」
婚約者が慌てだした。
「私と婚約破棄したら、肩代わりした借金を、利子つけて、我が家に返す契約ですが、お忘れではないでしょうねぇ?」
トドメだ。
「え?」
「お嬢さん、顔だけ浮気借金男とは、早く離れた方がよろしいですよ。借金のかたに売り飛ばすつもりかもしれません」
ついでに浮気相手にも言っておいた。
「そんな…」
浮気相手が、一歩下がる。
「そんなわけないだろう!」
婚約者が叫ぶ。
「おやおや…どうかしましたか?図星さされて焦っていらっしゃるんですか?」
「違う!」
「では、婚約破棄は受け入れましたので、肩代わりした借金と利子は、明日までに我が家へお返しください」
私は、礼をした。
「ま…待ってくれ…」
「そういう契約ですので」
「お前!俺の事を愛しているんだろう?」
婚約者が戯言を言い出した。
寝言かな?寝言は寝てから言わないと。
「おやおや…まさか、ご自分が愛されているとでも妄想していたんですかねぇ?」
「は?」
「何故、借金の肩代わりを押し付ける家の息子と婚約しなければならないのか、全く分からなかったんですよねぇ。理由をお聞きしても、よろしいでしょうか?」
「…それは」
言葉に詰まる婚約者。
「まさか、格下の家だから、踏み倒しても嫌とは言えないから、では、ありませんよねぇ?」
更にトドメだ。
「…」
おやまぁ…黙ってしまいましたね婚約者。
「おや、正解だったようですね」
「ま…待ってくれ…」
「では、明日までに、よろしくお願いしますね」
私は婚約者の前から去った。
婚約者は、当然、お金を返せなかった。
浮気相手…恋人?にも逃げられた。
社交界からは、借金を肩代わりさせた挙句の婚約破棄、が知られて、冷たい目で見られている。
誰も相手にしなくなり、誰もお金を貸してくれないから、王家に泣きつき、王家が借金を肩代わりして、一家は強制労働施設に送られた。
あまりの借金の多さに領地と爵位を返上する事になり、平民になった。
自慢の爵位が無くなり、悔しいだろうが自業自得だ。
私は、ゆっくりと紅茶を飲んだ。
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