#008 家を建て家族が潤い、争いが始まる --2006年
タイで複数の女性と関わり起こった20年間の出来事の実話です。
呪い,除霊,探偵,暗殺,薬物などを振り返りながら綴って行きます。
Somが私の前から消えて数か月が過ぎた。
気づけば私は何事もなかったかのようにAriとの日常へ戻っていた。
感情はもう整理されたというより、使わなくなっただけだった。
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やがてAriの田舎に建てていた家が完成した。
それをきっかけにAriの母親は仕事を辞めた。
「もう働かなくても大丈夫」とAriは当然のように言った。
母親は娘からの仕送りだけで暮らせるからだという。
その後も、私と関わった女性たちの親は次々と仕事を辞めていった...
家が完成し母親が職を離れると、田舎の空気が変わっていく。
祝福よりも、妬みが目立つようになった。
それは土地柄なのか、人の性なのかわからない。
親戚から無償で借りているはずだった土地は、突然「家賃」が発生した。
母親が仕事をしない余裕があるのならと親戚は家賃を請求。
約束は何事もなかったかのように書き換えられていた。
Ariは激怒し、単身で田舎に戻り、親戚と激しく口論する。
最終的に、その土地を買い取ることになった。
だが、それだけではAriの気持ちは収まらなかった。
怒りというより、何かを証明したい衝動のように見えた。
親戚に「力」を見せたいAriは余裕を見せつけ、他の土地もまとめて買い取る約束を勝手に取り付けてきた。
私が知るのは、すべてが決まった後だった。
結局、追加で30万バーツを支払うことになった。
それが高いのか安いのかさえ私に理解できない。
親戚との清算は終えた、Ariが勝利を達成したのか謎である。
それでもAriは、何かを誇示するように完成した家の壁を派手なピンク色に塗り替えた。
親戚に向けたアピールなのか、私には分からなかった。
家以外の土地については、Ariの提案でゴムの木を植えることにした。
七年ほど育てれば樹液を売って収入になるらしい。
その時、七年後に私たちがどうなっているかなど考えもしなかった。
ただ、数年後のAriと家族の生活の足しになればいい。
その程度の気持ちですべてを収めた。
2004年にタイに訪れてから“最近”に至るまでの20年間の多事多難を綴ります。
全て実話で、私が経験した出来事です。
常識では考えられない事が、まるで示し合わせたかのように次々と起こりますのでご期待ください。
これは成功譚ではありません。
そして恋愛小説とも言い切れない。
本能のまま生き、何度も間違え、遠回りを重ねた男の記録です。
登場する女性の名前はプライバシー保護のため、すべて実名ではありません。




