#014 除霊前夜、台湾編 --2009年
タイで複数の女性と関わり起こった20年間の出来事の実話です。
呪い,除霊,探偵,暗殺,薬物などを振り返りながら綴って行きます。
台湾に通い続けて、数か月が過ぎていた。
点点をタイへ連れて行けない代わりに、日本に招くことにした。
期間は一週間ほど。李さんと、李さんの彼女も一緒だった。
点点にとって、日本は初めての国だった。
街並み、食事、買い物、すべてが新鮮だったようで彼女は目を輝かせていた。
観光地を巡り、日本という国そのものに点点は強く惹かれていった。
その姿を見て私は嬉しかった。
初めての日本を心から楽しんでくれていることが伝わってきたからだ。
だが同時に、胸の奥に小さな違和感が生まれていた。
台湾で会う点点は、私の知らない世界の中にいた。
言葉も完全には通じず、背景も見えない。
だからこそ、すべてが新鮮で想像の余地があった。
日本で会う点点は違った。
現実の中にすっかり溶け込み、急に輪郭がはっきりしすぎてしまった。
なぜか、色褪せて見えた。
その感覚を、私は言葉にできずにいた。
台湾へ戻った後、点点は本格的に日本語の勉強を始めた。
私ともっと話したい、その一心だったのだと思う。
ーーー
台湾に通うようになってから、私の体に異変が起き始めた。
理由の分からない頭痛。
慢性的な肩こり。
突然のめまい。
眠れない夜。
体の倦怠感。
仕事の疲れだと思おうとしたが、明らかにいつもと違った。
台湾に行くたび、李さんのお母さんは私の顔色を見て心配そうにする。
ある日、お母さんは漢方薬を用意してくれていた。
「身体が弱っている」と、はっきり言われた。
李さんは裕福な家庭で、親戚付き合いの中に“そういう力”を感じ取る先生がいるらしかった。
お母さんは、数か月かけて念を込めたという翡翠のお守りや天然石のブレスレットを私に手渡した。
高価なものだとすぐに分かった。
それでも不調は続いた。
お母さんは、これは普通ではないと判断したのだろう。
ついには、先生と会う準備まで整えてくれた。
ーーー
後日、李さん、点点、私の三人は先生と対面した。
不思議なことに、先生が最初に話をしたのは付き添いで来た点点だった。
先生は彼女の人生について何かを語っていたようだ。
これから私に起こることに関係がしていたのかもしれないが、
二人は内容を教えてくれなかった。
そして、私の番になった。
空気が明らかに変わっていた。
李さんは私に
「明日、お祓いをする」
と言った。
理由を尋ねても、はっきりした答えは返ってこない。
先生は「いろんな声が聞こえる」と言い
今は説明できない
「すぐにお祓いをした方がいい」と告げた。
李さんはその場で家族に電話をかけ、準備を進め始めていた。
私は何が起きているのか理解できないまま、
流れに身を任せるしかなかった。
その夜、李さんの家へ向かった。
玄関で私の顔を見た瞬間、
お母さんは私の手を握り心配そうに泣ぐんでいた。
ますます分からなくなる。
ただ、事態が普通ではないことだけは、はっきりと伝わってきた。
翌日に備え、家族総出で準備が進められていた。
果物、お菓子、衣服、玩具、人形、紙のお金、花など――
意味の分からない品々が次々と用意されていく。
こうして私は、何も理解できないまま、翌日を迎えることになる。
それは、お祓いではなかった。
私が受けることになっていたのは、
除霊だった。
2004年にタイに訪れてから“最近”に至るまでの20年間の多事多難を綴ります。
全て実話で、私が経験した出来事です。
常識では考えられない事が、まるで示し合わせたかのように次々と起こりますのでご期待ください。
これは成功譚ではありません。
そして恋愛小説とも言い切れない。
本能のまま生き、何度も間違え、遠回りを重ねた男の記録です。
登場する女性の名前はプライバシー保護のため、すべて実名ではありません。




