#013 静かな三角関係、台湾編 --2008年
タイで複数の女性と関わり起こった20年間の出来事の実話です。
呪い,除霊,探偵,暗殺,薬物などを振り返りながら綴って行きます。
点点と出会い、毎月の移動のリズムを私は変えた。
それまでの「タイ二週間、日本二週間」という単純な往復から
日本に一週間、台湾に一週間、そこからタイへ移動し二週間滞在する生活に変化していった。
台湾では、仕事の大半を商社に任せていた。
日本語が通じ、話は早く神経を尖らせる必要もない。
その分、点点と過ごす時間はゆっくり流れた。
一方で、タイは違った。
少し目を離せば数量は誤魔化され、商品の色は変更され、仕様は勝手に変えられる。
悪意はなくても、仕事に対する責任感は全く感じられない。
二週間離れただけで、仕事は確実に雑になる。
検品と確認を怠ることはできず、その緊張感が常に付きまとった。
点点は専門学生だった。
家では勉強しているようだったが、学校にはほとんど行かない。
それでも彼女は、商社や取引先に当たり前のように付いくる。
そうして私の仕事の内容を理解し、ビジネスの手順を勝手に学んで行った。
商社の通訳で社員の李さんとは、いつの間にかとても親しくなっていた。
と言うのも、私と点点は言葉の壁の障害を全て李さんに頼っていたからだ。
そうして、私と点点は李さんの友人たちと遊び、彼の家にも招かれ、家族に受け入れられていった。
やがて私達は、家族のように迎えられる存在になっていた。
台湾に行くたび、李さんの親戚が三十人ほど集まり、大きな円卓を囲んで食事をする。
私は歓迎されていることを、はっきりと感じていた。
李さんはかつて日本に留学していた。
その影響もあってか、点点はいつも日本語を勉強したいと言っていた。
正直、私たちの会話は不自由だった。
それでも私は、あまり気にしていなかった。
言葉が足りないことを、都合よく情緒で埋めていたのかもしれない。
タイへ向かうたび、点点は「いつも一緒にタイに行きたい」と言う。
私はそのたび、仕事だからと、断り続けた。
やがて彼女は、Ariの存在に気づく。
それからだった。
私の荷物の中に、下着、香水、などが必ず紛れ込むようになった。
何も言わず、ただ静かに自分の存在を残すために。
Ariも当然、その変化に気づいていた。
それでも彼女は何も言わなかった。
怒ることも、問い詰めることもない、それがAriの性格だった。
こうして、誰も口にしないまま
三人の関係は、まるで合意があったかのように続いていった。
2004年にタイに訪れてから“最近”に至るまでの20年間の多事多難を綴ります。
全て実話で、私が経験した出来事です。
常識では考えられない事が、まるで示し合わせたかのように次々と起こりますのでご期待ください。
これは成功譚ではありません。
そして恋愛小説とも言い切れない。
本能のまま生き、何度も間違え、遠回りを重ねた男の記録です。
登場する女性の名前はプライバシー保護のため、すべて実名ではありません。




