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#011 夜の街を知る者だけが勝てる商売 --2007年

タイで複数の女性と関わり起こった20年間の出来事の実話です。

呪い,除霊,探偵,暗殺,薬物などを振り返りながら綴って行きます。

私はある洋服店を買わないかと持ちかけられ情報を集め始めた。


洋服店は飲み屋街の、その入り口付近にあった。

カラオケ店が密集する一角で、人の流れは悪くない。


夜になれば、ネオンに引き寄せられ日本人客と女性たちが必ず通る場所だ。


店は9平方メートルほど。

決して広くはないが商売をするには十分だった。


何よりAriの友人や知人が多い土地だ。

顔見知りの女性たちが行き交い、声をかければ立ち止まる。


だが同時に、私はその立地に一抹の不安を感じていた。


ここは水商売の中心だ。

この場所で店を持つということは、Ariがその世界から完全に離れられないということでもある。


交渉で提示された条件は、権利金が20万バーツ、家賃が月3万バーツ。

数字だけを見れば決して高くはない。


私は洋服店のオーナーから話を聞いた。

服一着の単価は300バーツ、粗利は半分。

一日の売り上げは2000バーツから2500バーツほど。


月にして6万バーツ前後。

家賃と仕入れを差し引けば、ほとんど何も残らない。


確実に赤字だ。

普通に考えれば出店するメリットはない。


だが、私はこの場所に「勝ち筋」を感じていた。

問題は立地でも商品でもない。

やり方だ。


私はオーナーに条件を出した。

店の権利、店内の備品、在庫すべて込みで15万バーツ。

相手は少し考え、そして頷いた。

交渉は、あっけなく成立した。


ーーー


こうしてAriの店はオープンした。

表向きは、洋服店。

だが、私が考えていたのは「売る店」ではなかった。


レンタルだ。

300バーツで服を貸す。

数日後に服を返却すれば、150バーツを返す。


当時、飲屋街の通りに洋服店はこの一軒しかなかった。

夜になると、多くの女性たちが日本人男性に連れられ通りを歩く。

その動線のど真ん中に、洋服店はある。


Ariは店先に立ち、連れ出された友人や知人に声をかける。

女性たちは欲しくもない服を男にねだり、男は安さに負けて支払う。


ほとんどの服は、数日後に戻ってくる。

仕入れは、ほぼ必要ない。


私は日本人の客にシステムを悟られないように用心した。

Ariに事細かく指示を出し、営業中は店に近づかないようした。


女性たちの間で、噂はすぐに広がった「あの店は、金になる」

自然と女性達は日本人客を連れてくる。


二か月後、売り上げは月20万バーツを超えた。

月の利益は家賃とAriのお姉さんの給料を差し引いても7万バーツほど残る。


私は、その金に一切手を付けなかった。

すべてAriに渡した。

これは私のための事業ではない。


Ariを水商売から引き上げるための仕組みだった。


その頃、私たちはすでに三年ほど一緒に住んでいた。

私は相変わらず、夜の街を飲み歩いていた。


飲み屋街の女性たちは、私とAriの関係をよく知っている。


気づけば、私は常連客ではなく

夜の住人として、その街に溶け込んでいた。


次回から台湾編に移ります。

2004年にタイに訪れてから“最近”に至るまでの20年間の多事多難を綴ります。

全て実話で、私が経験した出来事です。


常識では考えられない事が、まるで示し合わせたかのように次々と起こりますのでご期待ください。


これは成功譚ではありません。

そして恋愛小説とも言い切れない。

本能のまま生き、何度も間違え、遠回りを重ねた男の記録です。


登場する女性の名前はプライバシー保護のため、すべて実名ではありません。

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