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#010 満たされない成功 --2007年

タイで複数の女性と関わり起こった20年間の出来事の実話です。

呪い,除霊,探偵,暗殺,薬物などを振り返りながら綴って行きます。

Ariとの生活は気づけば三年を越えていた。


振り返ってみても大きな破綻は何一つない。

仕事は順調で数字は安定して伸び続けていた。


そしてAriは、ビジネスパートナーとして見れば申し分のない存在だった。


容姿は整っていて、覚えも早い。

頭の回転も良く、こちらの意図を正確に汲み取る。


夜の関係も私が求めれば拒まれることはなかった。


条件だけを並べれば理想的な女性だった。

だが、どこかが決定的に欠けていた。


Ariは、タイ人らしくなかった。

私には感情を大きく表に出すことはなく、常に冷静で落ち着いている。


情熱的でもなく、衝動的でもない。

熱を帯びることのない、どこか冷めた距離感が常に二人の間にあった。


一緒にいて楽しいとは感じなかった。

不満があるわけではない。

喧嘩もないし問題も起きない。

ただ、心が動かない。

踏み込んで愛そうとすると必ずどこかで躊躇してしまう。


それでも三年。

関係は切れずに続いていた。


そもそも、私がタイに来た目的は恋愛ではない。

仕事で利益を出すこと、それだけだった。


その意味ではAriは何も問題がなかった。

むしろ、これ以上を望む理由が見つからないほどだった。


それなのに、この関係はどうしようもなく楽しくなかった。


Ariを失うことは怖かった。

今のビジネスが成り立っているのは彼女の存在が大きい。


別れれば仕事にも影響が出るだろう。

それは避けたい現実だった。


だが同時に私は考え続けていた。

――この関係をいつまで続けるのか。


私はAriの幸せを願っていた。

それは偽りではない。


別れたとしても自立した生活を送ってほしいと思っていた。


このまま見捨てるように手を離せば、彼女はまた夜の店に戻るだろう。

それだけはどうしても避けたかった。


私がいなくても普通に生きていける力を持ってほしい。

そのための時間だと思えばこの三年にも意味はあったはずだ。


だから以前からAriには言い続けていた。

「仕事でも、勉強でもいいから、やりたいことを探した方がいい」


ある日、彼女は姉の話をした。


姉は地方の洋服店で働いているという。

Ariは、その姉と一緒に洋服店をやってみたいと言った。


私は賛成した。


若者が集まるエリアで店舗を探し始めた。

だが、条件に合う物件はなかなか見つからない。


そんな時だった。

飲み屋街の通りにある洋服店を買わないか、という話が舞い込んできた。


――それが、次の分岐点になることになる。


2004年にタイに訪れてから“最近”に至るまでの20年間の多事多難を綴ります。

全て実話で、私が経験した出来事です。


常識では考えられない事が、まるで示し合わせたかのように次々と起こりますのでご期待ください。


これは成功譚ではありません。

そして恋愛小説とも言い切れない。

本能のまま生き、何度も間違え、遠回りを重ねた男の記録です。


登場する女性の名前はプライバシー保護のため、すべて実名ではありません。

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