走る ②
妖怪。
怪異。
妖。
歴史の合間に姿を現して、人々を惑わせる。
ある時は畏怖され、またある時は神格化され、変容し続けた存在は、当時描かれた姿とは打って変わって、ポップで可愛らしいものへと変貌を遂げた。親しみを持たれるようになり、今なお創作物でその在りようを二転三転させている。人工的に変化、生成されようと、空想上の存在である点は一貫していた。
夢想の産物、想像の具現化、妄想の昇華、幻覚の延長。空想上のはずだった。
半年前。
記者会見の場に現れた妖怪は、頭頂部から伸びる赤黒い角を携えていた。一部分を除けば人間と変わりない美貌を、カメラに映していた。彼の背後には、彼が真に人外の徒であることを示す者達が控えていた。
スーツ姿で後ろに立つ姿勢の良い白髪の長身男性は、両の目と眉間に生えている瞳で、辺りを見回した。カメラを回すテレビスタッフに気づくと、軽い調子で手を振った。掌にも瞼を閉じた眼が生えており、パッとそれが開いてウインクをすると、驚いたスタッフは思わずカメラをブラしてしまった。
蛇のような瞳と肘まで覆う鱗のある女性は、上半身のみの正装であった。大蛇の下半身で移動する彼女に、見合う衣服が存在しない。
シルクハットにスーツ姿と紳士さながらの着こなしをする等身大の男性。彼の顔には、何もない。視覚、嗅覚、聴覚、味覚……いずれも機能しないはずの彼が、どのようにして周りを認識できているのか、全くもって不明である。
背丈が一般人の半分ほどしかない、後頭部が以上に発達した和装の老人。落ち着き払った挙動で持参した湯呑にお茶を注ぐと、躊躇なく口をつけた。縁側で余生を謳歌する年配者のごとく、日常風景を彼女は持ち込んできた。
異形の彼らを背景にした鬼の男は、相対的に見れば人らしく映った。
各国政府は、妖怪の存在を公式発表した。
秘匿とされてきた『妖』が首脳陣と握手する瞬間は幾重にも放映され、日本だけでなく世界に激震が走った。欧米では吸血鬼や狼男が、中国ではキョンシーが表舞台にその身をさらけ出し、連日の報道に熱気が収まることはなかった。
各国は妖怪と相互不可侵条約を締結した声明を発表した後、彼らが住まう世界が存在することも明らかにした。その日の反響は凄まじく、あらゆるSNSアプリやサイトでサーバーがダウンし、人々はイナゴのようにサイト上を飛び回った。連日、ワイドショーでは専門家やタレントが興奮を抑えられない様子で口々に話していた。
意思疎通に問題がなく、言語の壁もない。
日本では『妖怪』、『妖』『怪異』と呼ばれ、米欧では『モンスター』『ゴースト』『デーモン』と多様な呼び方をされ、人々の注目を一手にかっさらった。
半年を経た現在も、連日連夜妖怪に関する特集が組まれており、妖怪に関連付けた話題が比重を占めている。放送すれば視聴率が十%に上ることさえ珍しくない。
彼らの世界は、妖怪と紐づけて妖界と名付けられた。
衆目の下に姿を現した物の怪に、ネット上では妖怪について様々な憶測が飛び、新興宗教の設立や陰謀論を唱える者が後を絶たなかった。大半の者が時代の変革期に面白おかしく人々を煽り立てる一方、妖怪側は意に介さず人間の文化・生活域に続々と踏み込む姿勢を見せていった。テレビ番組の出演やユアチューブを含むSNS上での活動など、衆人環視を喜ぶかのように存在を主張している。
創作物から飛び出してきたような者達は、今日も世間を賑わせている。
午後三時四十分。
笠芽駅近くの商店街には、手提げ袋を引っ提げた客層で賑わっていた。幼稚園ぐらいの女の子を連れた親御さんの注文で、魚屋のお兄さんは素早く切身を差し出した。うわ、すご、早。生の魚触るの、ちょっと無理かも。精肉店の主がよく通る声で勧めていたメンチカツ、買おうか迷ったけど流石に辞めておいた。美味しいメロンの見分け方を教えてくれた八百屋のおばあちゃんは、この前さんじゅを迎えたらしい。そんなに若いわけないと思ったけど、口頭だとわかりづらい漢字だった。あれは読み方が良くない、絶対私以外にも勘違いする人がいる。
雑多な足音に覆われる道を抜けて十数分歩くと、レンガ調の建物が見えてきた。
焦茶の看板には白チョークで【紗伊呂】と書かれていた。近年、関東を中心にじわじわ広がりを見せている喫茶店チェーンで、この紗伊呂喫茶笠芽店も去年にできたばかりだ。
少し視線を逸らすと、黒背景に主張の強い赤文字で書かれた【巌戸麺】の文字が、左側に見えた。安価で量の多い海苔盛りラーメンをよく頼んでいたけど、最近は行ってないなぁ。
「もう、居るのかな」
ちょっと緊張する。喫茶店そのものは小さかった時にお母さんと入っことあるけど、一人でってなると。でも、そろそろ時間だし。というか、あの人本当にいるのかな? テキトー言って騙すつもりは、流石にないか。
わざわざ数日もかけてこっちに話しかけてきたのに、そんな面倒なことはしないよ。
カランカラン、ってドアベルが頭上で鳴った。もう少し、抑えて欲しいな。
「お一人ですか?」
「いえ、あの、」
一秒と待たずに店員さんが寄ってきた。凄く親切に訊いてくれているけど、こういう時何て言えばいいんだろ。
待ち合わせで。落ち合う予定で。集合場所で。
真摯に対応してくれる店員さんに申し訳なく思いながら、視線だけを店内へ向けると、目的の人物が視界に入った。
「あそこの席です」
手を挙げて小さく振った青年の方を指差して、逃げるように席へと向かった。
「すいません、待ちました?」
鈍い光沢を見せる赤茶色のソファに座る。対面の彼はタブレット端末を操作していた。
紐のない薄茶のパーカーに、黒のワイドスラックス。あと一週間もしたら着られなくなりそうなコーディネートだった。店内は涼しいからいいけど、外だと暑くないのかな。
「僕も早く来たので。何飲みます?」
返答になっていないような、まあいっか。コーヒーとかにしておいた方がいいのかな。お店に入ってまで水だけなんて駄目だろうし。
私はカフェモカ、お兄さんはカフェオレを頼んだ。甘く飲みたい人は、みたいな書き方があったし頼んでみたけど、正解だった。チョコレートが入っているみたいで、問題なく飲める。
そういえば、カフェオレとカフェラテの違いって何だろう。店員さんが葉っぱみたいな模様をミルクで描いてくれるのがラテの方だったっけ? 何も描いてないのがオレ?
「改めて、俺、僕は天羽虎助です。伴星大学に通っています」
三個上だったんだ。てっきり同い年か一個上ぐらいだと思っていたのに。卜部さんより、年上……見えないなぁ。あの人が落ち着き過ぎているのかも、こういうところでもさらっとコーヒーとか飲みそうだし。
「そして、天怪隊の一隊員として、藍銅陸さんの担当です。よろしくお願いします」
天怪隊。妖界での治安維持を目的とした、地球での警察みたいな組織だ。
緊急事態や特例を除いて、対象は妖怪のみ。
最近のニュースだと、天怪隊と同じような組織に所属している海外妖怪が、海外の警察と連携して事件に取り組み、解決に貢献したと報道されていた。
自己紹介を兼ねて天羽さんは身分証明の二つを差し出してくれた。顔写真の入った学生証、天怪隊員にしか配布されないという紙。折り畳まれた和紙の表紙には『天』の文字が大きく刻まれていて、開いてみると難しい漢字がずらっと並んでいた。識別番号の漢数字、学生証とはまた違う顔写真が張ってあった。
「……相談、受けてくれて、ありがとうございます」
姿勢を正して、ゆっくりと頭を下ろす。
ここまで提示されたら、もう疑う必要は無い。真偽を確かめたかったら、電話やメールで天怪隊の本部に直接確認してみればいい。
「自分で出したんですけど、信じてもらえるか不安でした」
再度頭を下げると、天羽さんは口元を柔らかくした。
「冷やかし、作り話。妖怪の隊員と会いたいとかで、後を絶ちません」
日本警察と天怪隊の連携の一部で、妖怪に関する事柄で相談窓口が設置されている。大々的に宣伝されたこともあり、認知度は高い。しかし、真面目な相談は一部だけで、天羽さんが言った事例ばかりだという。報道でも注意喚起がされていた。
「ですが」
前置きした天羽さんの目は、真っすぐ私を見ていた。
「あなたの切実な文は、嘘だと思えなかった」
カップを持った手が、微細に震えた。
信じてくれたんだ。この人は。
「ありがとう、ございます」
嬉しさと気恥ずかしさで俯いた。誤魔化したくなって、考えなしに口を開いていった。
「天怪隊って、妖怪と戦ったりするんですか?」
「話し合いが大半だよ。俺、僕らだってそうじゃないですか? 喧嘩っていっても口論が大部分で、殴る蹴るはあんまりしない。暴行罪や傷害罪だって、あっちには適用されるから」
漫画とかアニメみたいな、不思議な力で戦うものだと思っていた。
「ええと、別にいいですよ? 一人称とか敬語とか、私気にしないし」
「……じゃあ、そんな感じで。藍銅も敬語とかいいから」
「はい。いえ、うん。というか、よく私だってわかったね。住所は送っていたけど、家には来てないでしょ? 最近ここら辺を走っていたのも、」
「一応近隣の人に訊いて回ったけど、その前に見つけてはいた」
それもそっか。毎日早朝に走り回っている女子高生なんて、聞き取りとかすればすぐに見つけられるよね。
「それでまあ、いきなり会うよりかは何回か挨拶していた方が抵抗無いかなって」
「正直、びっくりした。いきなり話しかけられたから」
「うん、そんな気はした。ごめん」
素直に謝ってくれる。今朝に別れた時は変な雰囲気があったけど、なんていうか、今は普通の人っていうか、優しそうなオーラが凄い。睨まれたら少し怖そうだけれど。
「今、どんな状態なんだ?」
真面目な顔つきになった天羽さんに、靴を脱いだ片足をソファに乗っける。膝に手を置いて抱きかかえるようにした。マナーが悪いことはわかっている。一瞬だけだから。
「これのせいで、ちょっと大変」
本当はちょっとどころではないけど、言い方はどうでもいい。
「足が勝手に動き出す、だったな」
「うん」
私のかかった病は、ちゃんとした名前のないもの。
『毎朝に発生する』、『特定の時間走り続ける』、わかっているのはこれぐらい。
今年の四月頃から始まった。始めた理由はそれなりにあった。出不精に片足が入りだしていたから。新しい環境に向けて、新しいことをやろうと思った。元々スポーツは得意じゃなかったけれど、運動はしておいた方がいいと考えて。
三日坊主で終わっても仕方ない、そんな軽い気持ちでいた。
終わらなかった。
痙攣や麻痺みたいなものが脚に現れたら、走り出そうとする。朝の五時半から六時ぐらいに始まる。昼と夜には発生しない。早朝以外に疲れるまで走ってみたことがあるけれど、次の日には筋肉痛のまま始まって大変だった。
「意識が無くてもバタバタ動きだすから、アパートの下の階の人に文句言われちゃって」
頭を下げるお母さんの姿が、本当に辛そうだった。申し訳ない気持ちと罪悪感でいっぱいになっていた。
どれだけ眠くても必ず起きて、走っている。そうすれば、周りに迷惑はかからない。
「最初は、三十分ぐらいだった。段々伸びてきて、今は一時間半」
しかも、これの厄介なところが、徐々に時間が伸びているところ。
それから、長々と日常生活での不満を垂れ流した。
朝の電車は最近だと毎回ギリギリで、しかも席なんて空いていないから学校近くの最寄りまでずっと立ちっぱなし。眠気に負けて何回か乗り過ごしたこともある。
学校だと午前中はほとんど寝ている。授業なんて起きていられないくらい疲れている。頑張って起きても、内容が頭に入ってこない。せっかく第一志望に受かったのに。先生の何人かにはちゃんと話したけど、あんまり意味は無かった。その瞬間を見たことが無かったから、伝えるには難しかった。夜間の定時制を提案された時は今までにないくらい焦った。
お母さんといくつも病院を回った。でも、お医者さんは皆次の診療所へ紹介した。健康的な生活だとか、習慣づいているならむしろ良い、なんて言われることもあった。そんないいものじゃないって叫びたかった。これがなければ、なんて毎日思っている。家事を手伝った後に化粧をしたい。余裕もって電車に乗りたい。私に起こっていることを解明してほしい。言いたいことは大体伝えた。最後の方は愚痴みたいなことまで口にした。
天羽さんは小さく頷いて、告げた。
「呪いだ」
物理的手段は用いずに精神的、霊的な手法で、悪意をもって他の人や社会全般に対し災厄や不幸をもたらすもの。
「それって、わら人形にトンカチみたいな」
白服を着た女性が木に打ち付けているイメージが浮かんだ。ホラーで有名な、何とか。
「妖術は知ってるよな?」
「テレビとかネットで妖怪が見せてくれたものでしょ?」
グルメ番組に出演した雪女の人が、雪を降らせてスタッフにかまくらを作らせていた。ドッキリ番組で頭から熱湯を被ったお笑い芸人に、ドライヤー代わりに天狗の人が小さな突風を起こしてしていた。類似番組ばかりで飽きてきたけれど、それなりに見てきた。
事象や現象を発現させる妖術には、そのためのエネルギーが必要なことも知っている。
「天羽さんは、妖術使えるの?」
「いんや、俺はこれを出すくらい」
天羽さんが伸ばした右手には、薄水色のエネルギーが這うように循環していた。
妖力。妖怪が妖術を使用する際に消費するもの。
「わ、こんなに出せるんだ。私なんて全然、」
妖怪よりは少ないけれど、人間なら誰もが持っている。それは妖怪が初めて公式に姿を現した時に告げられた。だから私達は、妖怪を視れる、聞ける、触れる。
自在に出したりはできない。出力方法がわからないから。
「訓練してるから。そんで、話を戻すと」
やっぱり特別な鍛錬が必要なんだ。天怪隊員だから天羽さんはできるのかも。断りもなく両手で触ってしまったけれど、この人は特に気にしていない。幼稚園児が先生の手を取って観察するように、私は妖力に包まれた掌を見た。エネルギーそのものに危険性はない。触っていると若干伝わってくる熱が心地良い。
「呪いって表現してきたけど、妖術の括りに入る。妖術体系の一部って言えばいいか」
「大枠だと同じだけど、種類が違うってこと?」
「そういうこと。だけど、今回のはちょっと面倒な奴」
「結構、ヤバイ?」
そんなに重いものなの? 突然倒れたり急に死んだりするような。
「致死性は高くないと思う。まだはっきりとは言えないけど」
「それなのに厄介なの?」
「対応策を練るのが大変って意味。藍銅のは新種だから」
新種って。そんな動物とか病気みたいに、出てくるものなの。
「厄介っていうのは、対処法が確立されていないこと。さっき言った【丑の刻参り】だったら対処法も思いつく。今回は、手探りでやっていくしかない。犯人はいるはずだけど」
カップを置いた指が震えて、器物の擦れる音が響いた。
「これをやった人がいるの?」
偶発的ではない、人為的なもの。そう言ったんだ、この人は。
「呪いにはいくつか種類がある。存在するだけで周りに悪影響を及ぼすもの、特定へ意図的に掛けるもの、他にも色々。この件は後者、藍銅を狙ったものだ」
「何で言い切れるの?」
「周りで同じ状況の人は?」
居ない。見たことがない。もしそんな人がいたらすぐに相談していた。
無差別に発生している事柄ではない。となれば、特定の人物による犯行だという。
誰が、どうして。
「……治せない?」
「治す。絶対」
断言した三白眼の青年は、少しだけ頼もしく見えた。
「もう一杯、飲む?」
「いただきます」
カフェオレも美味しかった。天羽さんはコーヒーを一口飲んで、「苦い」と唇を尖らせた。すぐに付属品を注ぎ込んで舌を落ち着かせていた。こういうところを見ると、やっぱり同い年っぽく見えてくる。
「藍銅の脚には、妖術の痕跡がある」
「痕跡、?」
「煙みたいなオーラが、ついている」
「え、嘘!」
太腿、脛、足首、踝、足裏……と見ていったけど、それっぽいものはなかった。
「今は見えない。今朝は脚全体を覆うぐらいだった」
凝視してきた天羽さんに恥ずかしくなって、咄嗟に下ろした。下心は無いんだろうけど。
「何かできることって、ありますか?」
「あるある。まず、……」
それから二つほど、対抗策を提案してもらった。疑問はあったけれど、とりあえずはやるしかない。
本題が話し終わって、自然と雑談が多くなっていった。
「伴星大学って、じゃあ、妖怪の生徒は、」
「いるよ。遠目から見たことある」
妖怪政府の人たちが、人間界に留学生を出すって話があって、この人の大学は、それに選ばれたところだ。いいなあ。私の学校でも申請しているらしいけど、文部科学省の審査とかなんとか、選出がすごい時間がかかるみたいで、まだまだ先の話だって言われた。
「え、え、どんな人がいます?」
妖怪に人って言うのも変だけど、天羽さんは別に気にしていなかった。
「鬼、妖狐、天狗、河童、雪女とか、かな」
テレビやSNSでもよく見かける、有名どころばっかり。
「写真とかないんですか?」
「盗撮になるから」
勝手に撮ったら退学処分になるって取り上げられていたっけ、そういえば。
「天怪隊って、人でも入れるんですね」
「少ないけどいる。あまり詳しくは言えないけど」
腕組みを始めたところで、天羽さんはスマホの時計を見て、立ち上がった。
「あ、やば。ごめん、授業だから」
これから講義らしい。教室で出席を確認する形式で、授業前に学生証をタッチしないといけないらしい。こういうところを見ると、大学生なんだなって思う。
「これで足りる? 余った分は適当に何か頼んでいいから!」
「いや、こんなには、」
三千円も渡された。私も天羽さんも、まだ二杯しか飲んでいない、多すぎる。甘い物が気になっていたのはそうだけど、そんなに食べる奴だと思われた?
「いいよいいよ。経費で落ちるし」
いつだったっけ、背広のおじさんもそんなこと言っていた気がするけど、どういう意味なんだろう? 後で調べてみよう。
「何かあったら、ここの番号で。仕事用のだから」
手早く紙に電話番号を書いた天羽さんは、肩掛けのバッグを持って喫茶店を出て行った。
配慮してくれたのかな。公私をきっちり分けておきたいのかも。最後はちょっと大人っぽかったけど、やっぱり同い年ぐらいにしか見えなかったな。
……ビワのコンポートパフェ。頼もうかな。余らせても、申し訳ないし。
カランカランっと、小気味好い音色が耳を撫でた。