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アリア・ソネット

「アリア・ソネットと申します。どうかアリアと呼んでください」


どうしてこうなった。

そもそも、なぜアリアがこんなところに?


アリアとエマが幼い時に会ったことがあるなんて展開はなかった。

もしかして、オレが展開を変えてしまったことによる弊害なのか…?


「…」


エマはジッとアリアを見つめている。

オレや両親相手であれば平気になっていたけれど、まだまだ人見知りはあるらしい。


元々がそんなに喋る性格ではないというのもあるだろうが、今はなんというか…すごく警戒をしているような気がする。


「えっと…オレはエマの兄のルーカス。ソネットさんは…」

「ルーカスさんも、どうかアリアと呼んでください」

「はあ…」


アリアはニコリと微笑んだ。

綺麗な微笑みだと思うけれど、どうも作り物感が拭えない。


「それで、どうしてここに?」


確かエマを訪ねてきたと聞いたが、なぜエマを?


「それは…」


アリアは意味深に言葉を止めてチラリとエマを見る。

どことなく頬が紅い気がする。


エマはというと、相変わらず警戒を隠そうともしていない。


「私、エマさんとお友達になりたいんです!」


勢いよく立ち上がったアリアは、エマの目の前まで乗り出した。

そんなアリアにエマは警戒心MAXになり、威嚇をしだしてしまった。


まるで猫のようだ。

…じゃなくて。


「アリアさん、妹は見ての通り…結構な人見知りなんだ。あまり刺激しないでやってくれないかな」


できれば帰って欲しい。


「あっ、すいません…」


大人しく言うことを聞いたアリアは、少ししゅんとした様子で席に座り直す。

まあ、言うことを聞くのであれば邪険にする必要なはないか。


「ほら、エマもそんなに警戒しないで座りな」


エマはしばらく考えた素振りをしていたが、その間にアリアが何もしてくることは無かったので、こちらに歩いてきて座った。

オレの膝の上に。


「…!?」


アリアがガタリと立ち上がる。


「あの、エマ…さん?なにを…?」


さすがのオレも困惑してしまう。

今までエマがこんなことをしてきたことが無かったのだ。


「座ってって言われたから…」

「いや、それはさっきまで座ってところにって意味で!」


今の体制ではエマの表情が見えない。

もともと言葉に感情が乗るタイプではないから、余計に今何を考えているのか分からない。


「はあ…まあいいか」


だからもう諦めることにした。


無理に動かして機嫌を悪くしてしまうようなことがあれば後々面倒だし、自分の意思で乗ってきたということはエマは今これがしたいということなのだろう。

我ながら甘いとは思いながら、これくらいならまあ別に良いかとため息を吐いた。


「えっと、アリアさん…妹と友達になりたいってことだったけど」

「えっ、この状態で話を続けるんですか?」

「まあ…降りないし」


アリアは驚いた様子だったが、気にせずに話を続ける。

邪険にする必要はないとはいえ、あまり長居されるのは嫌だからな。


「エマ、友達になるか?」

「…必要無い」


バッサリと切り捨てるエマ。

少しだけアリアに同情する。


オレがもしアリアの立場だったら半泣きになってしまうだろう。

もしかしたら、アリアも泣きそうになっているのでは…と、少しだけ心配になってエマ越しにアリアを見る。


「…は?」


アリアは、確かに泣きそうになっていた。

だけど、それは悲しそうだとか、辛そうにだとかでは無い。


瞳に涙を浮かばせ頬を紅潮させ、嬉しそうに口元が緩んでいた。

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