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2年後

「私はアリア・ソネット。アリアって呼んで」


丁寧に手入れのされた絹のように白くて長い髪がフワリと揺れる。

見ているだけで元気になれそうな笑顔は、きっと万人受けするだろう。


「…ソネットさん。私には関わらないで」


対して、ろくに手入れのいていないボサボサの黒く短い髪の少女は、目も合わせずにそう言った。


「アリア!アリアって呼ぶまで動かないから」


邪険に扱われても動じないアリアに呆気に取られた少女は、ため息を吐いて人差し指をアリアに向ける。


「えっ?わっ!」


アリアの体がフワリと宙に浮く。


「さようなら、ソネットさん」


少女はその場を去りながら手を振る。

高度に組まれた術式の前に手も足も出ないアリアは、悔しそうにその後ろ姿を見ながら叫ぶ。


「ま、待ってよ、エマさーん!」


―これは後に友人関係になる2人の少女の出会いの1節だ。



2年後、7歳になったオレとエマは、変わらずに魔法の特訓に精を出していた。

エマはメキメキと魔法が上達し、今ではオレよりも威力の強い魔法を使えたりする。

魔力の暴走も起こっていないし、これは順調と言えるのではないだろうか。


ただ、オレもエマも魔法の威力が上がってきたため、家の裏での特訓は卒業した。

今は、家の近くにある雑木林で特訓をしている。


「おーい、エマはいるか?」

「ここにいます、父さん」


父さんもそのことは知っていて、オレやエマを探す時は真っ先にこの雑木林を探しに来る。


「今日も精が出るな」




父さんはボロボロになった的や、周りの木を見て笑ってエマを撫でる。

撫でられているエマも嬉しそうだ。


「エマにお客さんが来ているよ」

「お客さん…?」


父さんの言葉にエマは怪訝そうな表情になる。

エマに客だなんて、今まで皆無だったのだから仕方がないだろう。


この2年間、エマはほとんど外に出ていなかった。

出たとしても、必ずオレと一緒だったし、誰かと友達になった素振りも特にない。

訪ねてくるとしたらそれは…。


「…!」


もしかして、エマを虐待していた親だろうか。

どうしてかは知らないが、エマが魔法を使い始めたことを聞きつけて、利用価値があるとして連れ戻しにきたのかもしれない。

そんなこと、許さない。


「…父さん」

「どうしたルーカス…すごく怖い顔じゃないか」

「あ、ご、ごめん」


つい殺気がでてしまっていたようだ。

どうにか気持ちを落ち着かせて笑顔を作る。


「…父さん、お客さんって誰?」

「ああ、それがな…」

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