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1週間後

それから特訓を続けて1週間が経った。


オレは1週間前に壊した的から3段階くらい小さくした的を相手にしている。

的中率は10回中6回。


結構当たるようになってきてはいるが、まだまだ足りない。

完璧にしなくては満足ができない。


そしてエマはというと…。

チラリと目線を横にずらす。


少し離れたところにいるエマは、目を閉じて集中しているところだった。

エマの周囲には、密度の高い黒いモヤ。


この1週間で、だいぶ魔力が高まってきたように思う。


「…想像以上だ」


エマの成長速度に思わず声が漏れる。

それというのも、オレはエマに1つの指示しか出していないからだ。


出した指示は『自分の中に流れる魔力を意識すること』だけだった。

我ながら曖昧な指示だったけれど、才能のあるエマにとってはそれで十分だったようだ。


オレでこれなんだから、ちゃんとした師に教わったらもっと化けるよな…。


「魔法学校か…」


この世界にも、学校がある。

1つは普通の学問を学ぶ普通の学校、そしてもう1つは魔法を専門に学べる魔法学校。


漫画の中でエマは魔法学校に通っていた。

そしてそれが、エマが死ぬ原因の1つになってしまう。


オレとしてはもちろん通わせたくないのだが、エマの才能を見ると通わせたい気持ちが出てくる。


もしエマが通いたいと言い出したら、両親はきっと止めないだろう。

その時、オレは…?


「兄さん?」

「うわっ」


不意にエマに呼ばれ、ビクリと肩が跳ねる。


「ご、ごめんなさい。急に話しかけて…」

「ううん、オレがボーッとしてただけだから」


魔力以外にも、エマは変わったことがある。

話し方だ。


前の母親からろくに話しかけられなかったらしく、エマの語彙は貧弱だった。

これは憶測だが、話すことを禁じられたりもしていたのではないだろうか。


オレや両親が構い倒したせいなのか、エマはきちんと受け答えができるようになっていた。

これはとても喜ばしい変化だ。


オレ達がエマを変えているように、エマもオレ達を変えている。

父さんは『お父さん』と呼ばれた時は号泣していたし、母さんは『お母さん』と呼ばれた日は普段よりも豪華な食事を嬉々として用意していた。


オレも『兄さん』と初めて呼ばれた日は大いに浮かれた。

隠れたガッツポーズをめちゃくちゃした。


「ああそうだ。エマ、何かあったのか?」

「え?あ、ううん。用事じゃないんだけど、兄さんが辛そうな顔をしていたから…」


オレの顔を覗き込むエマは、とても心配そうだった。

そんな顔も愛らしく思えて、頭を撫でる。


急に撫でてしまったからか、驚いたような顔になるが、すぐに目を細めて気持ちよさそうな表情になる。


「兄さんは撫でるのがとても上手だね」

「そう?」

「うん。好き」


そう言うと、頭を撫でている腕にそっと手を添えて頬を擦り寄せる。

これは…なんというか、破壊力がすごい。

オレは兄だから耐えられているが、これがオレ以外だったらエマのことを絶対に抱きしめていたと思う。


「…オレも、エマの頭撫でるの好きだよ」


オレの言葉に嬉しそうな笑顔を見せるエマ。


眩しい…!

いつかこの笑顔を他人に見せる日が来るのだろうか。


そんなの許せない!

この日、オレは心に決めた。


エマの未来を守ると同時に、エマを悪い虫から守ることを。

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