拾われた少女
「エマ、5歳…」
自己紹介を促されたエマは、遠慮がちに口を開いた。
「ルーカス・バーンズ。オレも5歳。よろしく」
自己紹介をして頭を下げると、エマも慌てて頭を下げる。
その光景を見て、父さんは笑顔を浮かべている。
「ルーカス、エマは今日から家族になるんだ」
「家族ぅ?」
唐突な言葉に、つい素っ頓狂な声が出る。
そんなオレがおかしかったのか、父さんは笑いを噛み殺している。
友人として紹介されるのかと思っていたら、いきなり家族だと言われたのだ。
驚かない方が変ではないだろうか。
そう思い父さんを睨むと、笑いながら眉根を下げる。
「悪い悪い。訳があってさ。…どうか受け入れてやってほしいんだ」
父さんの言葉にため息を吐いてエマを見る。
5歳という歳を考慮しても小さい体、ボロボロな服、ビクビクとした態度…それに、灰にまみれた髪。
どう見たって、虐待を受けた子どもだ。
大方、人のいい父さんが拾ったか受け入れ先として名乗り出たのだろう。
「…良いよ。ちょうど弟か妹が欲しかったんだ」
そう言うと、父さんは嬉しそうに顔を輝かせる。
「ありがとうルーカス。エマ、キミは今日からエマ・バーンズだよ」
「エマ、バーンズ…」
聞こえてきた言葉に声を失った。
今は灰にまみれてしまっている黒い髪に、透き通るような白い肌、吸い込まれてしまいそうな碧い瞳。
虐待の末に5歳で新しい家族を得た少女。
自分の中でパズルのピースがどんどんとハマっていく。
“エマ・バーンズ”
確かに、自分の漫画に登場していたキャラクターだった。
それも主人公やヒロインではなく、悪役として。




