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プリンス・チャーミング なろう  作者: ミタいくら
1章
26/275

25 東の宮で


不意打ちのように訪れる衣擦れの音に、自然と背筋が伸びる。

眼前の教師も心持ち顎をあげて、指導する声が大きく高くなった。


「きちんとお勉強してますか」

課せられた学業の場に現れたのは、一分の隙もなく装った貴婦人。彼女はいつも気まぐれにやって来ては、息子が己の望むように学んでいるか、高い資質を得るための努力をしているかを探った。

わずかなりとも不足を感じれば、即座に教師を責め立てそのきつい声音が息子を追い詰める。

常に咎めるのは教師だ。それが重なれば慣れた顔はいつの間にかすげ替えられ、新しい教師が息子の前に立つ。それを子供がどう思うか、己が叱られずとも心が圧迫されて傷んでいくかを彼女は考えない。

うわべの優しさに隠れた強い圧。

それに気づいたのはいつだっただろうか。


慣れた苛立ちを圧し殺して、自然な声ではい、と答える。

幼い息子の素直な返事に、美しい母は満足げに笑った。


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