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<To perform one's mission.>
(自分の使命を遂行せよ。)
目の前に文字が表示される。
それは意識が目覚めるたびに表示される。
「ピピピピピピピピ」
身体中にプログラムの文字が流れ込んでいく。
「ん〜…ふあ」
人間、の声。
あくび、という行為。
暖かい物、生命反応。
裸足、足に何も履いていない状態。
歩く音、足音。
人間、近づく音。
電子音、入力される。
文字、あらゆる言語の可視化。
押される、人間、心臓に当たる場所。
『 おはようございます、ヒスイ 』
わたしは、今日も目ざめた。
「おはよう、スイレン」
微笑み、口角を上げる、行為。
右頬、左頬より少し高い。
無自覚、無意識、人間の、癖。
『 よく眠れましたか 』
情報源、不明。
指示者、不明。
意思、意図的、他者からの操作。
わたしの、ことばではない。
「……ああ、よく眠れたよ」
嘘、人を欺く行為、隠すための行為。
悪意、確認されず。
後者、隠すための行為。
わたしは、"微笑み"を行う。
人間、ヒスイ、"微笑み"を確認。
不明の感情、感知。
暖かい、温度変わらず。
あたたかい、温度変わらず。
あたたかい、原因不明。
『 この、あたたかいものは、なんですか 』
疑問、ヒスイ、許可。
「温かいもの?」
左腕、正常作動。
左手、正常作動。
心臓、正常作動。
「えっと…なんて言ったらいいんだろう、そうだな……そこは心だよ」
心、人間、感情。
わたしには、。?。、@_:?
一部エラー、感知。
『 こころ? 』
一部エラー、感知。
「そう、心。嬉しかったり、幸せだなって感じると、あったかくなるんだ」
一部エラー、感知。
『 うれしい、しあわせ、こころ、 』
一ぶ、eラー、感ち?@_,.△○゛÷?
『 あたたかいです 』
『 ヒスイがわらうと、あたたかいです 』
―――目が覚めた。
それは既に行われていたのに、そういう感覚がした。
わたしは、スイレン。
私は、ヒスイを──────
✱✱✱
「ピー!!ピー!!ピー!!ピー!!」
突然、警報のような音が鳴り響いた。
「!?」
スイレンと、喋りすぎてしまっただろうか。
瞬間、モニターも、パネルも、空間が全て真っ暗になった。
以前にも聞いたことのある、ガスが噴射される音がして、僕は意識を失い倒れた。
―――その日一体何をしくじったのか、僕にはわからなかった。
ただ、これは感覚的なもので、スイレンが生まれ変わったような、そんな感じがしたのは、気のせいだろうか。
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