コント【やらかし自慢】
ゲラゲラコンテストの応募作品です。
よろしくお願いいたします。
Cランク冒険者、オジ…オ
Bランク冒険者、タイシ…タ
タ「ランクアップおめでとう!オジ!」
オ「ありがとう、タイシ!」
タ「先ずは乾杯だ!」
オ「ああ!」
二人「かんぱーい!んぐんぐんぐ、プハー!」
オ「俺がここまで来られたのはお前のお陰だ!タイシ」
タ「そんな事は無い!オジが努力したからこそランクアップ出来たんだぞ!胸を張れ!」
オ「タイシ…ありがとう…うっ…うっ…あの日、お前に出会えなかったら…俺は…俺は…ううっ…」
タ「おいおい、もう酔ったのか?」
オ「ボロボロだった俺を拾ってくれて…本当にありがとう…」
タ「気にするな!何か訳ありだったんだろう?」
オ「ああ、聞いてくれるか?自慢にもならない俺の過去の話を…」
タ「やっと話す気になったんだな…良いぞ、とことん付き合ってやる」
オ「実は俺、三年前まで南の大国の皆に慕われるイケメンでモテモテの第二王子だったんだ」
タ「自慢にもならないと言いながら、いきなりの自慢!?」
オ「そんな俺には誰もが憧れる美しい婚約者が居た」
タ「自慢話は続くんだ」
オ「その婚約者には二歳年下の妹が居たんだ」
タ「姉の物を何でも欲しがる妹かな?」
オ「その妹と恋に落ちた」
タ「正解だったみたい」
オ「妹は天真爛漫で、可愛くて、胸が大きくて、素直で、明るくて、胸が大きくて、守ってあげたくなる女の子だった」
タ「無意識に二回言うほど胸が大きかったんだ」
オ「最初は俺も婚約者を裏切る事は出来ないと妹をやんわり拒絶していたんだ…だけど」
タ「だけど?」
オ「花が咲いたような笑顔、無邪気に絡ませてくる細い腕、涙を堪えながら姉の虐めに耐える姿を見ていたら、いつの間にか恋に落ちていた」
タ「察し。お前がいつ恋に落ちたか分かったよ」
オ「凄いな、俺でも気付かなかったのに」
タ「十中八九、無邪気に絡ませてくる細い腕の時、落ちてるな」
オ「そうだったのか」
タ「間違い無い!」
オ「そんな訳で俺は王命に背き婚約者の妹に手を出した」
タ「あーあ、やらかしたな」
オ「それだけじゃ無く王家主催のパーティーで婚約破棄をしてしまった」
タ「あらら、やらかし過ぎ」
オ「おまけに冤罪で婚約者を断罪してしまった」
タ「あちゃ~取り返しのつかないやらかし」
オ「気付けば森の中にポイされてた」
タ「まあ、妥当なポイだな」
オ「えええ?酷くない?ちょっと王命に背いて婚約者を妹にチェンジして姉を牢屋に入れただけでポイだよ?」
タ「ポイで済んで良かったじゃないか。俺の国だと幽閉されるぞ」
オ「そうなのか?」
タ「ああ、現に俺は幽閉されていた」
オ「ん?まさか…」
タ「自慢じゃ無いが、俺は北の帝国の元皇太子だ」
オ「俺より身分が高い!今までの無礼をお許しください」
タ「元皇太子だと言っているであろう。今は身分の無い冒険者なのだから」
オ「口調が皇太子っぽくなってる事に気付いてないのかな?」
タ「私が彼女に出会ったのは市井にお忍びで出掛けた時だった」
オ「何の脈絡も無く回想が始まったぞ」
タ「破落戸に襲われていた彼女を私が助けてやったのだ」
オ「恋愛小説の定番!」
タ「彼女は怪我をしていた私を癒しの力で治癒してくれた」
オ「癒しの力…その彼女は聖女だったのですか?」
タ「偽聖女だった」
オ「えっ?怪我が治ったのでしょう?」
タ「彼女が隠し持った血のりで怪我をしていると思わせていたのだ…全く痛くなかったし」
オ「思いの外チョロい皇太子」
タ「まんまと騙された私は彼女を聖女と祀り上げ国家転覆の危機に陥れた」
オ「うわ~処刑レベルのやらかし」
タ「幽閉された私は身の回りの世話をしていた使用人を手籠めにして逃走を図った」
オ「目も当てられないクズだった」
タ「そして私は身分を捨て名前を変え冒険者となったのだ。今は冒険者として誇りを持っている、皇太子と言う立場には未練は無い」
オ「幽閉された時点で身分も剥奪されてるよ。変えた名前がタイシとか人の事は言えないけど未練タラタラだな」
タ「これからも私と共に冒険者として生きていこうではないか!な、オジ!」
オ「無理!いつ刺客が襲ってくるかもしれない奴とは一緒に居られないよ!」
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