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レアジョブ【精霊騎士】の俺、突然【勇者パーティ】を追放されたので【へっぽこ幼女魔王さま】とスローライフします  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
おまけ(夏の終わり~秋 編)

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第66話 神龍精霊【ペンドラゴン】vs炎の魔神【イフリート】

 最初は簡単にガードできていた。


 【龍王結界】によってミスティのパワーとスピードは大幅に強化されていたものの、俺の【ゲヘナの業炎剣(フレイム・ソード)】も炎の魔神【イフリート】の力が込められた強力な剣だから、それもある意味当然だ。


 しかしミスティの攻撃は少しずつ少しずつ速さと威力を増していき。

 今や俺はどうにか受けるので精いっぱいという状況にまで、追い込まれてしまっていた。


「ぐぅッ、どんどん速くて重くなってきてる……!」


「【白龍神楽】は儀式系の精霊術なんです。戦いの中で神楽を舞い踊ることで【ペンドラゴン】の精霊力をより精密に練り上げて、力に変えていくんです」


「なんだそりゃ!?」


 しかしその言葉通りに、ミスティの攻撃は際限なく威力を増していく。


 相手の小手先の技は【看破】によって全て封じ込め。

 【瞬間未来予知】で一方的に機先を制し。

 そして【白龍神楽】という圧倒的なまでの正攻法の力で叩き潰す。


「これが最強の聖精霊、神龍精霊【ペンドラゴン】の力か――」


 あ、これはちょっと無理かな――。


 俺が降参しかけた時だった、


 ―我が主よ、奴を相手に敗北することは許されぬ―


 【イフリート】が突然、俺の意思とは無関係に完全体で顕現したのだ。

 その姿は、10メートルはあろう業火をまとう炎の魔神だ。


 ―我は神をも喰らう炎の魔神【イフリート】なり。出てくるがよい白龍の王よ、いつかの再戦としゃれこもうではないか―


「ちょ、おい、なに勝手に出てきてるんだ――」


 しかし俺が言い終える前に、


 ―久しいな小童魔神。だが身の程はわきまえよ―


 とかなんとか言いながら、今度は神龍精霊【ペンドラゴン】が完全体で顕現した。

 こちらも2階建ての家ほどもある巨大な龍だ。


 伝説級の巨大な精霊2体が、険悪なムードでにらみ合う。


「えっと、あの、【ペンドラゴン】?」

 突然の展開にミスティも状況を把握しきれずにあたふたする。


 ―ご安心を。小童の炎精霊なぞに遅れは取りませぬ―


 そしてこっちもこっちで、やたらと戦う気満々の白龍様。


「いやあの、勝ち負けということではなくてですね!?」


 ―我を昔のままだと思わぬことだ。その白い体を地べたに這わせ土にまみれさせてやろう―


 もちろん【イフリート】はやる気満々だ。

 売り言葉に買い言葉でどんどんと戦意をたかぶらせていっている。


「【イフリート】はどうも【ペンドラゴン】に思うところがあるっていうか、大昔に負けたことを根に持ってるっぽい。ちょうどいい機会だからリベンジマッチをしたいみたいで」


 俺はなんとなく察したことを、困惑するミスティと幼女魔王さまたちに説明してあげた。


「子供かい!?」


 思わずといったように幼女魔王さまがツッコんだ。

 俺の気持ちも同じで、きっとみんなの気持ちも同じに違いない。


 もはや戦いは避けられないと悟った俺は、その代わりに条件を出すことにした。


「絶対に周囲に危害を加えないこと。危ないから飛び道具は禁止。相手の攻撃はよけずに必ず受け止める。これが守れるなら後はもう好きにしてくれ。あと期限は今日の日の入りまでな」


 ―御心のままに―

 ―もう一度、身の程を教えてくれようぞ―


 こうして最強クラスの巨大精霊同士による、極めてどうでもいい理由による、素人顔負けのノーガードの殴り合いが幕を開けた。

 そしてそれは日の入りまできっかり続いたのだった。


 俺たちは途中で飽きて別のことをしていて、ちょうど日没直前にまた戻ってきたところだったんだけど、ずっと見ていたベルナルドが言うには、


「最初から最後まで延々ずっと殴り合ってたね。いやー、最高位の精霊だけは敵に回したくないと心底思ったよ」


 とのことだった。


「ギリギリまでやってたのかよ、元気だなぁ」

「ですねぇ」

「精霊との付き合いかたがまた少し分かった気が、するような、しないような?」


 勝負は時間切れで引き分けに終わっていた。


 中途半端に引き分けに終わったものの、【イフリート】はそれなりに戦って満足はしたのか、


 ―迷惑をかけた。2度と勝手はしないと盟約しよう―


 決着がついていないにもかかわらず、素直に引き下がってくれた。


 【ペンドラゴン】も既に実体化を解いていて、辺りはすっかり静かになっている。


「ちょっと想定外はあったものの、スペック調査としてはこれ以上なく十分じゃろうて。強すぎる、以上!」


 幼女魔王さまが最後に綺麗に話を締めて、今回の一連の騒動は幕を閉じたのだった。



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