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第3話 【精霊騎士】の戦闘能力(すごい)

 俺は即座に立ち止まると耳を澄ました。


『誰か――!』


 間違いない、それは助けを呼ぶ声だった。


 場所はここから数キロも離れた、街道を大きくそれた平原だ。


 数キロなんてのは普通の人間なら絶対に聞こえない超長距離――けれど【精霊騎士】は違う。


 おせっかいな風の最上位精霊【シルフィード】が【遠話(テレフォン)】という精霊術で、遠く離れた場所での悲鳴をこの場所にいる俺へと届けてくれたのだ!


「やれやれ、追放された感傷にも浸らせてもらえないとはね。もちろん見過ごすってのは無しだ。【シルフィード】! 風系精霊術【エアリアル・ブーツ】発動!」


 ――はーい――


 俺の言葉に、即座に風の最上位精霊【シルフィード】が応え、俺の足が一陣の風をまとう――!

 空を駆けるがごとく長距離高速移動を可能にする風系精霊術【エアリアル・ブーツ】を発動したのだ!


 準備を整えるや否や、俺は疾風のごとく走り始めた。

 周囲の景色がぐんぐんとものすごいスピードで後方へと流れてゆく。


 時速60kmを越える高速で1キロを1分もかけずに駆けた俺は、ものの2分で声の聞こえた場所近くへとたどり着くと、


「【ルミナリア】! 精霊術【光学迷彩】発動!」


 ――かしこまりました――


 光の最上位精霊【ルミナリア】の力でもって、まずは自分の姿を周囲に溶け込ませた。

 これで敵は俺の姿を視認することができなくなる。


 さらに、

「戦いの精霊【タケミカヅチ】よ! 戦闘精霊術【カグツチ】発動!」


 ――御心のままに――


 戦いの最上位精霊【タケミカヅチ】の力によって、俺の戦闘力が大幅に向上する。


 そうして準備を万全に整えたところで、野盗らしき汚い身なりの男が複数、白塗りが美しい綺麗な馬車を襲撃しているのが目に映った。


 護衛と思しき女騎士が1人、馬車の前で応戦しているものの、


「く――っ!」


 剣を弾かれてしまって、今にも捕まってしまいそうだった。


 とても可愛い顔立ちをしていて、野盗に捕まった後にひどい目にあわされるのは想像に難くない。


「どちらが悪いかは一目瞭然(りょうぜん)だな」


 俺は悩む間もなく野盗に斬りかかった。

 まずは好色そうな笑みを浮かべて女騎士に近づいていく野盗を、一刀のもとに斬って捨てる。


 さらにもう一人、さらにもう一人と、俺は一片の容赦もなく【黒曜の精霊剣・プリズマノワール】を振るって斬り捨てていった。


 俺の経験上、こういう不逞の(やから)(しつけ)のなっていない獣と同じで似たようなことを繰り返すのだ。

 生かしておいてもろくなことにはならないからな。


 見えない敵に仲間を次々と斬り倒されたことで、残った野盗たちが騒然とし始めた。

 このまま姿を隠して全滅させる手もあったんだけど、


「せめてもの情けだ、残りの奴らには冥途(めいど)の土産に誰にやられたかくらいは教えてやるか」


 俺は【光学迷彩】を解除すると、ポニーテールの女騎士と馬車を守るような位置に姿を現した。


「なんだこいつ! いきなり現れやがったぞ!」

「こいつがやったんだな!」

「よくも仲間を殺りやがって!」

「気をつけろ、奇妙な術を使うぞ!」


 突如として戦場に姿を現した俺を見て、残った野盗たちが騒ぎ出す――がしかし、


「おいおまえら、臆することはねぇ! 相手はたったの一人だ、包囲陣形で囲んで一気にボコっちまえ!」


 リーダーらしき男が号令をかけると、野盗たちはピタッと落ち着きを取り戻した。


「よく訓練されているな。指揮系統がしっかりしていて、部下も命令を理解する頭を持っている――ってことはお前ら終戦で職を失った傭兵崩れか」


「だったらどうだってんだ?」


 俺が分析している間にも、野盗集団は慣れた動きで俺を囲む布陣をとった。


「やれやれ、それなりに知恵は回るみたいだが、それ以前にこうやって正対しているのに格の違いも分からないとはね。ま、その方が手間が省けるけどな」


「ぬかせっ! かかれ!」

 そしてリーダーの合図によって一気に俺へと殺到する――!


 だがしかし、はっきり言っておこう。


 【北の魔王】が誇る精鋭魔族部隊と何度も戦い、泥まみれで死線を潜り抜けてきた元【勇者パーティ】の俺にとって、たかが傭兵崩れの野盗など子供の相手をするのに等しいのだ――!


 殺到する野盗たちを片っ端から斬り捨てた俺は、ものの1分とかからない内にリーダーを含めた野盗の集団を一人残らず、文字通り全滅させたのだった。


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