表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レアジョブ【精霊騎士】の俺、突然【勇者パーティ】を追放されたので【へっぽこ幼女魔王さま】とスローライフします  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ3巻&恋AIフラグ1巻★発売
第三章 ゲーゲンパレス・スローライフ(前編)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/77

第13話 お・も・て・な・し

「な、なんだこの可愛らしさを限界まで振り切ったスイーツは!?」


 幼女魔王さまが頼んだ【チョコ増しわんわんミルフィーユ】。


 一体どんなスイーツなのかと思っていたら、なんとミルフィーユの上にクリームで形作られた可愛らしい(わんわん)のお人形が乗っていたのである。


「どうじゃ、まっこと可愛いであろう? このクリームわんこを愛でるのが(わらわ)の楽しみの一つなのじゃ」


 まるで宝物を見せびらかすように、満足げに語ってみせる幼女魔王さま。


「でもここまでよくできていると、食べるのがもったいなくなるな……」


「そこはそれ、しっかり愛でた後に愛情とともにパクりなのじゃ」


 幼女魔王さまはそう言うと、わんこの顔をスプーンですくってパクっと口に入れた。

 可愛くて食べるのが可哀そうとか、あまりそう言うことは気にしないタイプなのかな……?


 しかし俺の衝撃はそんなものでは終わらなかった。


 続いて【森のくまさんパフェ】が運ばれてくる。


「パフェの上の方にチョコレートクリームで作られたデフォルメくまさんの可愛い顔が『こんにちは』している……!? なにこれ可愛い!」


「ある日森の中でくまさんに出会ったという設定なのじゃ」


「設定だと!? パフェに設定だと!? なんだその発想! しかもなんというえも言われぬ可愛さ! え、エモい……エモいよこれは!」


 もはや俺は、心の奥で激情がほとばしるのを隠しきれないでいた。


 さらにさらに!


 【ねこにゃーんラテアートカフェ】ときたら、エスプレッソコーヒーの表面にミルクで「猫がにゃーん」している可愛らしい絵が描かれているときたのだ!


「たった一杯のコーヒーから、文化のさざなみが聞こえてくるようだ……!」


 俺は【ゲーゲンパレス】の誇る文化的先進性に、戦慄(せんりつ)を禁じ得なかった。


「これが【ゲーゲンパレス】のおもてなし……すごすぎる!」


 長きに渡る【北の魔王】との戦争で物価統制令が出ていた帝国では、それが解除された今、やっと当たり前の賑わいを取り戻し始めたところだというのに。


 果たしてこの文化的最先端に追いつくことなど可能なのだろうか!?


 そして最後に待っていたのが、ミスティの頼んだ【お絵かきオムライス】だった。


「じゃ、いくね~」


 オムライスを前にそう言ったナナミがおもむろに立ち上がると、ケチャップを構えた。

 そして、


「もえもえ~きゅんっ♪ もえもえ~きゅんっ♪」


 なーんてフレーズを可愛らしく歌いながら、時おり決めポーズ(?)をとったりしてオムライスにケチャップアートを描いていくのである……!


 実にあざといその姿は俺の心を大きく揺さぶるとともに、俺の魂に「もえもえ~きゅんっ♪」という言霊を刻み込んでいったのだった。


「これが、これがメイド喫茶のお・も・て・な・し! すごい! すごすぎるぞ!」


「ハルトが楽しんでくれたようで何よりじゃの」

 感動する俺を見てにっこり笑顔な幼女魔王さまだった。



 その後は4人で雑談をしながら、おのおの注文した軽食を食べてゆく。


 ナナミがパンケーキを食べたそうにしていたので、半分あげると嬉しそうにハグを返してくれた。

 抱き着かれた所から女の子の柔らかさとぬくもりが伝わってくる。


 別に意図したわけじゃなくて向こうからのアクションだから、お触りしたわけではないよな?


「でもほんといいお店だよな……また今度来ようかな……」


 数々のおもてなしの前に、すっかり骨抜きにされてしまった俺だった。



「ところで最近商売はうまくいっておるのかの?」


「いい感じにお客さんは増えてるよー。北の方の戦争が終わってみんな気分も緩んで、財布のひもも緩くなった感じ?」


「ふむ、経済がちゃんと回っておると言うことじゃな。よいことじゃ」


「にゃはは、ナナミはバイトだから難しいことは分かんなーい」


 幼女魔王さまがいろいろ尋ねるたびに、ネコ耳メイドさんのナナミが街の様子など、商売の最前線で肌感覚で感じたことを親しげに話していく。


 幼女魔王さまが憩いの場だけでなく「情報収集もかねる」って言ってたのはこういうことか。

 目安箱っていうのかな、町の人のリアルな声を今まさに吸い上げているのだ。


 しかもため口をきかれているっていうのに、幼女魔王さまは気にした素振りもないのである。

 会話を弾ませる姿は、むしろ楽しそうですらあった。


 これだけ話しやすければ、思ったことを何でも忖度(そんたく)せずに言ってくれそうだ。


「そうか、国民の象徴ってこういうことなのか……」


 日々こうやって庶民と触れ合って、その声を拾い上げようとしているんだ。


 俺はリッケン・クンシュセーの王がどんな存在なのか、ほんの少しだけ分かったような気がした。


 その後は時々振られる話題に言葉を返しながら、俺はサービスの時間いっぱい楽しく過ごしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ