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コピー  作者: 社会的におちこぼれの理系人間が、なろうで何か文章を書いてみた
目が覚めたらここは異世界?かと思ったら、なぜか男女二人に分裂していたので、とりあえず姉弟設定で乗り切ろうと思います。
4/19

出発する二人

「君達の引き受け先が決まったので、

 今から準備をしてもらう。シマネクくん。」


と、偉いおじさん。


「はい。では今から全身を洗って、

 制服に着替えてもらいます。

 設備の使い方とか、制服の着方とかをレクチャーするので、

 ケイさんはこっち、マイさんはこっちに。」


私はケイくんと分かれて、三人の女性職員さんと同行するよう促される。



更衣室?に通されるや否や、服を脱がされてシャワールームに通される。


「いい?これがシャワーね。

 これがシャンプーでこれがリンス。

 で、これがボディソープなんだけど、分かる?」


と、金髪碧眼の肝っ玉母さん風職員さん。


「いえ、さっぱりです・・・。」


「うーん、次官の言うとおり、

 この世界の事は分からない、ってことかしらね?」


私は黙ってうなずく。

本当に知らないのはこの世界の事じゃなくって

女性としてのシャワーの利用方法なんだけど、

それは黙っておこう・・・。


「じゃあまずシャワーっていう、水が出る装置の使い方なんだけど、

 このオーブを操作することによって、ここから水を出したり、

 お湯を出したりすることが出来るのね。」


肝っ玉母さんはそう言うと、

オーブと呼ばれた例のガラス球をなぞる。

シャワーヘッドから水がジャーと出てくる。


「で、縦にスワイプ・・・なぞる事によって強さを調節できるのね。

 横になぞると温度が調節できるのね。

 ほら、あなたもやってみなさい。」


と、私にもオーブ操作を促す。


まずはオーブを縦になぞってみる。水量が増えたり減ったり。

これは牢屋にあった水道と一緒だ。


次にオーブを横になぞってみる。


つめたっ。」


いきなり氷のように冷えた?


「あら、逆方向にスワイプしないとこごえちゃうわよ?」


肝っ玉母さんに言われて、逆方向になぞる。

こんどはいきなりあたたかくなった。


「へえ、これどうやって冷やしたり温めたりしているんですか?」


「これはね、『ひ』をつかっているのよ。」


「『ひ』ですか?」


「そう。『ひ』。燃える『火』。『火』って分からない?」


「えーと、ではどうやって冷やしてるんですか?」


「えっと、冷やすのも温めるのも火よ。」


「火、なんですね・・・。」


正直釈然としないけど、『火』ってのはきっと私が、

僕が知っている『火』とは違うものなのだろう。


「では次に髪から洗いましょうね。

 貴女の髪は・・・ずいぶん傷んでるのね。

 普段しっかりケアしてないんじゃないの?」


普段はどうしているのだろう?こっちが聞きたい。


「でも貴女の髪はきっと、磨けばきれいな黒髪になるわよ。

 じゃあ早速、まずはお湯で汚れを流しましょうね。

 そしたらシャンプーを地肌に・・・、

 うん、で、流して・・・、

 リンスは、こう・・・、」


手際よく髪が洗われていき、私が手を出す隙も無い。


「で、こうやって巻いて、髪はおしまい。

 次は体だけど、このボディソープとこのスポンジを

 使うといいのね。

 まずはボディソープをスポンジにこう付けて・・・、

 こう洗う。ほら、やってみなさい。」


スポンジを渡されたので、なんとなく勘で洗ってみる。


「そうそう、そんな感じ。

 で、肩から足先まで洗い終わったら、

 シャワーで流すのよ。」


何とか全身をシャワーで流し終わったら、

シャワールーム出口には

ピンクがかった肌で物静かな雰囲気の職員さんが

タオルを持ちながら立っていた。


「こちらを使ってください・・・。」


何だろう、このタオル。ものすごくふわふわできもちいい。

あっという間に水が吸い尽くされていく。


「ここに座って!

 ドライヤーで髪を乾かすから。」


と、赤毛ショートの職員さん。

鏡の前に座らされると、

赤毛の職員さんが右手に持ってるのは・・・、何これ?


「これが気になる?ドライヤーって言うの。」


いやいや、僕が知ってるドライヤーはこんな形じゃない。

何が違う?・・・取っ手が付いてない?

これは所謂いわゆる空気砲?って呼ばれる気がする?

いやでもやっぱよく分からない、名状しがたい物質・・・。


「このオーブで操作するとね、こう、温かい風が出るの。

 髪をかしながらこれでさらさらって、

 こうやって、こうやると、ほら、すぐ髪が乾くのよ。

 すごいでしょ。」


うん、何をされたのかさっぱり分からなかったけど、


「確かにすごいですね。」


「着替え・・・いいでしょうか?」


物静かな職員さんが新しい服を持ってきた。


まずはショーツ、前後をしっかり確認して・・・、

ブラジャーも教えられたとおりに付けてみる。

あとは上着とスカート、だが・・・、

何これ、どうなってるの?よく分からない。

元の世界でも見覚えが無い形状・・・?


「これはここを・・・、そう、こう着るんです。」


「あとそれはね?そっちをそうやってね、

 うん、うん、そんな感じ。ほらできた。」


何とか着替え終わって鏡を見てみる。

可愛らしい上着に膝まで覆ったスカートの、

非常に可憐な女の子がそこに立っていた。



「あとは最低限の荷物、

 こっちで用意したから、それの説明いいかい?」


と、肝っ玉母さん。


「まずは下着の替えは分かるわね。

 とりあえず二セット入れておくから。

 普段着は用意してないから、

 寮に入った後で、誰かに聞いて買いに行ってね。

 ポイントはこのオーブに入っているから、

 適切に使ってね。」


「ポイント、って何ですか?」


「ああ、ポイントって言うのはね、

 これを使って食べ物と交換したり、

 服と交換したりできる、

 数字、って言ったらいいのかな?」


「つまり、お金みたいなものですか?」


「お金?

 そんな高級なもの、あたしは使ったこと無いわよ。」


からから笑う肝っ玉母さん。

お金が高級って、何だろう?


「あと貴女の場合は一応、大人用おむつね。

 数枚入れておくから適宜使ってね。

 使い方分かるかい?」


「いえ・・・。」


「ここをこう開くとね、こうなるから、

 あとはこういう感じで当てて、こう、こうすると、

 これすごくってね、

 どういう仕組みだかぜんぜん分からないんだけど、

 すごい吸ってくれて、ぜんぜん漏れないの。」


「なるほど・・・。」


適当に相槌を打つ。

本当は恥ずかしいとか感じてる場合じゃないんだろうけど、

心配してくれているのは分かるんだけど・・・。


「これ、使い捨てになってるから、

 寮に着いたらこれも補充してね。

 それにしてもまだまだ若いのに大変よねぇ。

 まあでもそもそも女ってのはいろいろ大変なのよ。

 貴女がもっと大人だったら生理用品も必要かな、って

 思ったんだけどね、検査したら生理はまだみたい

 だったのよね。

 他に必要なものがあったら寮に着いてから、

 周りの人に聞いてね。」


「はい。」


「じゃあはい、ここに全部入ってるから。」


と、かばんを渡される。


「ありがとうございます。」


「じゃあ早速、行くわよ。」




向かった先は、久々の屋外だった。

偉いおじさんたちや、

着替え終わったケイくんが先に待っていた。


ケイくんの服装(制服)

雰囲気的には私の服装(制服)とマッチしているみたいだけど、

より単純というか、シャツとジャケットとズボンという

分かりやすい構造をしているように見えるのは、

私の基礎知識が男だからなのだろうか?


そしてその先には馬車があった。


ん、馬車・・・?

車を引っ張っているのは馬じゃない。

よく分からない、光る・・・、何だろう?


「では早速、君達にはソウ王立第二学院に向かってもらう。

 この馬車を使ってくれ。

 頑張れよ。」


偉いおじさんが促す。

まず先にケイくんが馬車に乗り込んで、次に私が、


「あとお嬢さんはおねしょも直さないとな、頑張れよ。

 はあっはっはっはあいてーっ!」


「次官はそういうところが、デリカシーが無いんです!

 まったく直してくださいよ。」


肝っ玉母さんに背中を思いっきりひっぱたかれる

偉いおじさん。


「がんばんなよ。」


なんでみんなそんなに「頑張れ」って言うんだろう?と

わずかに疑問を抱きつつも、


「ありがとうございます。」


そして馬車の中に座る私とケイくん。



走り出す馬車。

窓の外には手を振って見送る職員さんたちと、

背中をさする偉いおじさんの姿があった。

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