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コピー  作者: 社会的におちこぼれの理系人間が、なろうで何か文章を書いてみた
異世界転生したと思ってたんだが実は異世界ではなく、転生ですらなかった件について・・・
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私について

 えっと、どこから話したらいいかしらね。まずは自己紹介からかしらね。

 はじめまして、私は13(じゅうさん)(ごう)。一応、この研究施設の長というか、トップを任されています。とは言っても活動できるメンバーの中で一番古く造られただけなんですけどね。そして貴女、そう、かの王国ではマイと名乗ってらっしゃる貴女、本当の名前は142(ひゃくよんじゅうに)(ごう)って言って、貴女もこの施設で造られたの。だから本当ははじめましてじゃないんですけどね。ん、記憶? そうね。貴女の記憶と今の私の話は矛盾するものね。それを説明するには私たち、人造人間について説明する必要がありますね。

 私たちのオリジナルがこの世界の秘密に気が付いたのは100年ほど前の話。彼女が幸運だったのは、彼女の生家には充分なお金があったこと、そして脳の記憶をコピーする技術に到達できたこと。人工子宮を作るのは、それよりも簡単なことでした。人工子宮の中で十数年ほど育てたクローンにオリジナルの記憶をコピーする、それが私たちの始まりでした。でもただのクローンでは発展性が無い。そこで少しずつ改良を加えていくことにしました。容姿の調整に始まり、筋肉増強、運動能力の改善や調整、月経の停止、魔力の増強、性別の変更など、色々な実験を行ってきました。魔力強化には特に力を入れてきたのですが、増強すればするほど理論的に利用可能なはずの魔力と実際に利用できた魔力、実効魔力との間に大きな乖離が生じるようになってしまいました。その原因を調べたところ、どうやらオリジナルの記憶が、幼少期から長年ずっと魔法の存在する環境で継承されてきた記憶がブレーキになっているのではないか、という推論に至りました。そこでまず試みたのは普通の人間と同じ、記憶が無い赤ちゃんの状態から脳を、記憶を育てていくことでした。強大な魔力を持った人間を造るためには最低でも12年以上は人工子宮の中で育てなければいけないのですが、それから記憶を育てていけば良いだろうという安易な試みは、結論から言うと失敗しました。記憶の無い状態で十数年育てられた肉体や脳は、自力で動くことも、学習することも、自力で生命維持することも出来ない生命にしかならなかったのです。そこで次に目を付けたのが地下に埋まった文明の人々、かつて魔法がまだ無かった頃の人間の記憶でした。彼らは全てを一瞬にして停止させられる、という特殊な滅ぼされ方をしておりましたので、永い時間ときを経てもなお脳から記憶を取り出すことが可能なご遺体が数多く眠っていたのです。その中から記憶の破損が特に軽微であるご遺体を何体か探し出すことに成功した私たちが、過去の人間の記憶のコピーを行う最初の実験を行ったのは20年ほど前でした。しかしその最初のケースは利用した脳が、記憶が悪かったのか、目覚めさせた環境が悪かったのか、他に原因があったのかは明らかではありませんが、大失敗に終わりました。施設内で大暴れし貴重な設備を大量に破壊した挙句、自らの身体も破壊して果ててしまったのです。そこで次のケースでは迷いの森の向こう側、王国の近くで目覚めさせてからしばらく自由に行動してもらい、しかのちに施設に来てもらおうと計画しました。しかし今度は彼女を、目覚めさせた直後の人造人間を見失うという失態を犯してしまいました。しばらく探したものの結局未だにコンタクトは取れていないのですが、王国で北の魔王と呼ばれている女性が、北西に居を構えている彼女がくだんの人造人間ではないかと推測しております。この創造物を見失うという失態を避けるため、今度は2人1組を作成して最低でも片方にはコンタクトを取る様にしようと考えました。それが貴女です。

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