第2話 状況整理・討伐
これ入れて欲しいっていうスキルとか称号とかあったら感想に書き込んでくれると嬉しいです。
意識が浮上する感覚と共に、思考が少しずつ動き始めた。
「ここは………?」
起き上がり見渡すと、そこには果てしない草原。代わり映えすることのない何処までも続く草原だ。
(そうだ、『無限迷宮』だ)
ようやく思考が本調子になって来た所で、ここが何処なのか思い出すことができた。
オレはもう一度辺りを見渡す。見渡す限り草原しか無いが、右上に表示されているMAPには、ちゃんと『無限迷宮 第1階』と記されている。
ここでオレは、ある違和感に気づいた。
草原の中に疎らな木が所々ある以外には変な違和感はない。そう、無さすぎるのだ。
優しい風に揺れる草木、仄かに漂う土の匂い。
余りにもリアル過ぎるのだ。リアルを追求している『インフィディライト』と言えど、風に揺れる草木なんて読み込んでたらまともにゲームが動かない。
オレは試しに腕を素早く振ってみる。
ラグも起きず、ちゃんと振られていた。頭を振っても視界のMAPやHP、MPバーも追従してくる。
ここでオレは、メールのアイコンが点滅している事に気がついた。
恐る恐る開くと、そこには……。
ーーー
フェイクさんへ
この度はこちらの世界を救って頂くべく、こちらの世界にお出でいただきありがとうございます。
私達が貴方に望むのは、神々でも討ち果たす事の出来ない厄災そのもの。『絶望神』の討伐です。『絶望神』は世界を滅ぼそうとしています。数千数万年前、1度私達は『絶望神』を討伐するには至りませんでしたが、封印することに成功しました。
ですが長年封印されている間に綻びが生まれ、『絶望神』は下界に干渉し、魔族を洗脳して自分の封印を解こうとしているのです。まだ力を完全に取り戻していない状態の私達では、封印を解かれた『絶望神』をもう一度封印することができません。
そこで貴方に白羽の矢が立ったのです。
討伐してくださるのであれば私達は全力で協力致しましょう。もし無理で元の世界に帰りたいと言うのであれば、帰っても構いません。その代わり、世界間の移動は大量のエネルギーを消費するため、1年後となります。ご了承下さい。
ですが貴方だけが最後の希望なのです。
どうかよろしくお願いします。
創造神より
ーーー
これはミッションなのか?
焦る気持ちを押さえながら、メニューの項目を確認していく。
やはり無い……。
どこを探してもログアウトの項目が見当たらない。レベルやスキルもリセットされているし、ギルドも無所属になっている。フレンドも0人だ。どうやらオレは、本当に『インフィディライト』の世界に来てしまったようだ。
いや、それに似た世界か。
神(仮)達が言うには、強くなる手助けをするから『絶望神』という、神々でも倒せない強力な奴を倒してほしいって事なんだよな。
くそっ、数時間前のオレは、何て安直な行動をしてしまったんだ。悔やんでも悔やみきれない。
けれど一応1年後には帰れるようだし、気持ちを切り替えた方が良いかも知れないのか?元の世界で良かった事なんて、ギルドのメンバーに会えた事だけだったし、肉親も居ない。
もしかしたらこっちの世界の方が、居心地が良いかも知れない。1年後に帰りたかったら、悪いけど帰らせてもらうことにしようかな?
とりあえず、このまま何も行動を起こさないのは無意味なので、一先ずステータスを確認する。
□
名前 フェイク Lv0
種族 人族
年齢 12歳
職業 レンジャー Lv0
称号 元最強 神々の感謝を受けし者
HP 10/10
MP 10/10
STR 1
VIT 1
INT 1
AGI 2
DEX 2
LUK 1
ステータスポイント 0pt
スキル
弓術Lv1
鑑定Lv1
投擲Lv1
狙撃Lv1
ユニークスキル
経験値倍加Lv1
スキル経験値倍加Lv1
必要経験値減少Lv1
ポイント倍加Lv1
スキル獲得容易化Lv1
状態異常付与Lv1
限界突破Lv-
アクティブスキル
なし
スキルポイント 0pt
加護
神々の感謝Lv10
□
ん?何やら加護と言う項目が増えているな。確か特別なミッションをクリアすると貰えたな。けれど、『神々の感謝』何て加護は無かった筈だ。
ゲームとは少し違うのか?
とりあえず効果を見てみる。
□
『神々の感謝』
解説
神々の願いを叶え、感謝された存在に贈られる加護
効果
獲得経験値10倍化(重複可)
精霊、神獣に対し、親和度極大上昇
神からの神託受け取り可
教会でのみ、神に謁見可能
□
……少し解説が気になるが、それ以外は至って有能だ。と言うか有能を通り越してチートの行きに入っている。
まず獲得経験値10倍。これは言わずとも分かるだろう。だが、精霊と神獣は親和度を上げるのは、最も難しいとされている。
今までチーターやら何やら言われ続けて来たが、今回ばかりは自分でもチートと認める他無い。
それはそうと、神への謁見機能。これは多分、信者からしたら狂喜乱舞するほどのモノだろうけど、直接会うために付け足された機能のようにしか思えない。
連絡を取り合う為なら、メールや神託だけでもいい筈だ。けれどこれを付け足したと言う事は、直接会う必要があるかも知れない。
だが、今はどうあがいても教会に行ける状態ではないので、一応脳内やることメモに付け足しておく。
とりあえず、今の装備を確認する。
麻で作られた、簡素な服。地味な村人のような格好だ。武器は[ただの弓]に、サブで[木の短剣]だ。
まあ、全くもって使うつもりは無い。
オレは、直ぐにストレージから今のレベルで装備できる最大のモノを取り出し、手早く着替える。
下級ドラゴンの皮で出来た皮鎧にミスリルの胸当て。風の具足に斑毒蜘蛛の糸で編んだ黒いコートだ。
実は黒い色好きで、いつも服装に黒を一つは入れる癖がついている。
そんなどうでもいい事は置いといて、次は武器だ。弓は[魔木の弓]にし、肩に掛け矢筒は背中に掛けた。短剣は[ミスリルの短剣]を2つ腰に差している。
矢を買うために、メニューのショップを開くが機能は成立しているようだ。軽く200本程買い、その内の数十本を矢筒の中に入れる。
「よし、準備万端」
そう意気込むとオレは、モンスターを狩る為に、この階層の徘徊を始めた。
◇
さて、まず手始めに行う事と言えばMAPを埋めることだ。MAPが自動で埋まるのは、1kmの範囲だけだ。それ以外にスキルや魔法等でも埋める事が出来るが、今は関係ない為割愛する。
現状、右上に表示されているMAPには赤い光点、つまりは敵はいない。それを確認したオレは北へ歩を進めた。まあ、進む方向何てどこでもいいのだが。
今回の作戦はサーチ&デストロイで行くつもりだ。
300m程歩くと、MAP上にモンスターが表示された。鑑定によると、どうやら誰もが倒した事のある初心者御用達モンスター、スライムのようだ。
スライムに気づかれないよう、身を伏せながら残り100m程まで近づく。ここまで来ると、スライムを目視で確認できた。
ゲームと変わらず、半透明で液体とも固体とも言えない形容しがたいモノの中に、核と思われる大人の握り拳程の石がある。ここを攻撃すると、何時もよりもダメージを多く与えられるのだが、スキルのレベルが今はそこまで上がっていないので、補正がそこまで掛からず狙うことは難しい。
だが、それは初心者に限る。オレは大体全ての武器を使うので、1を極めている人には負けるが、人並み以上には使えているつもりだ。弓も経験はある。
身を屈めながら《狙撃》スキルも使い、核を弓でよく狙う。未だにスライムはこちらの存在に気付いていない。
ーーー
《潜伏》スキルを獲得
ーーー
どうやらスキルも獲得したようだ。これでバレる確率は限り無く低くなっただろう。安心して狙いを定める。
引き絞っていた玄を、丁度核が重なった瞬間に手放す。矢は、風を切る音を立てながら一直線に核へ向かっていった。
スライムはこちらに気づかないまま、矢が突き刺さり、力尽きた。
ーーー
ミッション『モンスターを倒そう!』クリア!
報酬 3,000L
ミッション『レベルを上げよう!』クリア!
報酬 スキル《回避》
スライムの核を1個獲得。
スライムゼリーを1個獲得。
レベルが1上がった。
ステータスポイント3p獲得。
スキルポイント5p獲得。
レベルが1上がった。
ステータスポイント3p獲得。
スキルポイント5p獲得。
スキル《弓術》のレベルが1上がった。
スキル《狙撃》のレベルが1上がった。
ユニークスキル《状態異常付与》のレベルが1上がった。
ーーー
お、レベルが結構上がったな。流石『神々の感謝』様々だ。やはり経験値10倍の効果は凄まじい。経験値増加系のスキルも凄いことには凄いのだが、初心者救済措置の為に作られたスキルで、レベルが150に到達すると自動的にスキルが消滅する。
だが、復帰するスキルには持ってこいだ。速く力を取り戻すために最初でとったのは、後悔していない。
ちなみにだが、倍加系スキルはスキルレベル×獲得したポイントだ。Lv1では意味が無いのだが、このスキルは通常では上がらない。
ではどう上げるのか?答えは先程獲得したスキルポイントだ。実はスキルポイントでもスキルのレベルは上がる。
とりあえず、成長率を上げる為に《ポイント倍加》スキルのレベルを10まで上げる。
よし、この調子でモンスターを狩っていこうか。
部活が辛い。(´・ω・`)