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4) マリ、異世界に立つ!

 風が頬を撫でる。


 草のにおい、空気のにおい。


 土のにおい。


 いい天気だなー


 こんな日はどこかにタープ張ってコーヒー飲みながら本でも読むのがいいな。デイキャンプ最高ー

飲みたいけどお酒は大人になってから。


 せっかくの大草原だ。wwwwって文字の大草原じゃないよホンモノの草。

あー ここはネット無いわね。SNSも無いか、どうするんだろ私。


 空には鳥が…… 鳥だよねアレ。飛行機くらいの高さをなんか飛んでるー。ギャーギャー言ってるし。

さっきから草むらでチョロチョロしてるのはウサギかリス…… じゃないね。ウサギにツノは生えてない。

しっしっ、こっち来んな。






 はぁ……


 気がついたら大草原に立ってた。

 格好は高校の制服のままだ。流行遅れ公立のブレザーとチェックのスカート。んでローファー。

うん、血や汚れはついてない。足元には見慣れない布リュック。


 少し向こうに道らしきものはあるけど舗装もしてない。ワダチがあるってことは、車か馬車があるのかな。


 ……


 空を見上げる。




 ぼーーーっ……




 そして私は動けずにいた。

 ……


 ああ、死んじゃったのか。

お父さんお母さん泣くかな、先立つ不孝をお許しください。てか酷い死因だわ。

コンビニでガラスに突入して死亡か。ネットのニュースになるだろうな。


 心残りと言えば……

兄貴ごめん、DVD借りっぱだった。女子高生合コンの約束も無しになっちゃった。


「…ぅう… えぐっ……」


 涙が、


 涙が止まらない。


 もう会えない、もう、

 みんなに会えない。


「うぇええぇえええーー!」

 涙が止まらない。泣き続ける。



 女神様と話してる時は大丈夫だったのに、今になってこれだ。

リアルな身体になったからか。


 もっとみんなと話ししとくんだった。


 友達にサヨナラも言えなかった。


 兄貴にもうちょっと優しくしとくんだった。

 お兄ちゃん、ごめんなさい。


 ごめんなさい。ごめんなさい。会いたいよ。


 さようなら。








 どれくらい、経っただろう。

何十分か、何時間か。ひょっとして何日か?

私は膝を抱えて蹲ったままだった。


よく魔物に襲われなかったもんだ。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 足音が聞こえる。


 人の気配。

 そして、


「お、いたいた」

「あ、あのぅ…」


 誰かの声がした。


顔を上げると、夕日の中。


 そこに、

 むさいおっさんと、





 天使がいた。

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