表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議の国のアリア  作者: ゆずゆ
2/6

 目の前が白、黒、とフラッシュバックしている。

 そろそろ目がおかしくなる。いや、もうなってる。

 もう無理限界。もうやめて。そうやってどこかに念を送っていたら、届いたのか、ふいにやんだ。

 でもまだチカチカする。

 とりあえず横になって、おとなしくチカチカしなくなるのを待つ。その間に頭の中を整理してみる。


 私はアリア。アリア・カーライル。図書館に行こうとしたら、こうなった。その前に何かしてたような気もするが、どうせろくでもないことなんだろう。だから気にしない。細かいことは気にしない方がいいよね、うん。まぁ、それだけかな。


 そうこうしてるうちに視界が回復してきた。

 まずは上半身を起こして周りを確認してみる。

 まず、私のすぐ後ろに1つの扉がある。その周りには、12個の扉が私を取り囲むようにして並んでいる。

 それらは全て、壁のないところにたっているようだ。

 私はすぐ後ろにあった扉を開く。すると、その扉の向こう側が見えた。帰れることを期待していたのだが、どうやらそう簡単には帰してくれないようだ。

 もしかしたら夢かもしれない。そう期待して、思いきり頬を抓ってみる。……いたい。普通にいたい。いやまってめっちゃいたい。あわてて手を放すと、頬がヒリヒリしてジンジンする。やめておけばよかったと後悔する。

 意地悪だなぁ、とは思うものの、あまり文句は言えないのだった。なんにせよ、この世界は、否、この「セカイ」は______


「あれ!?ねぇ君、新入りさん!?」

 私の思考は、そんなバカでかい声によって、かき消されてしまった。

「ああ、はは。お、おはよう?」

 とりあえず礼儀として、あいさつだけはしておいた。適当に。


「おはよう?今はおはようじゃないよ。だってほら」

 そう言って、腕時計を見せてくる。確かに、今は1時だ。おはようではなく、こんにちはだ。

「ね、そうでしょ?」

 と言って、胸を張っている。背は私よりでかいくせに、精神年齢は私より低いようだ。

「あ、そうだ。」

と、手を打ち鳴らし、

「ボクはウソツキ。キミは?」

と、聞いてくる。

「私はアリア。」

 ひどい名前だね、と言おうとしたが、やめておいた。

「そっか、アリア!キミがアリアなんだ!ねえねえ、ボクは2時なんだけどさ、1時に用事があるんだよね。いっしょに行こうよ!」

と言って、私の右腕をウソツキの左手がとらえる。

 ウソツキの右腕がみえる。服の袖だけがふわふわと浮いている。

「ねえウソツキ。そのみぎうでって」

 しかしウソツキは、その言葉を目で制し、静かに微笑んだ。

「早くいこ?1時のコ、きっと退屈してるよ。」

 私の腕をつかむウソツキの手に、少しだけ力が入る。

 精神年齢が低いのは、私の方かもしれない。


 ウソツキは、1時の扉を開いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ