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「あー、帰ってきたなあ」

「お疲れですか? すぐにお茶をお淹れしますね」


 ヒノモトの我が家、自分の部屋に帰ってみれば、なんだか随分と久しぶりのような、不思議な感慨が迫ってきた。

 こここそが我が家、俺自身の中に、ようやくその認識が染み込んできたのだろうか?

 シャナが甲斐甲斐しく動き回ってくれているが、どうだろう。肉体的には全く疲れはないんだが、確かにホッとしている感覚がある。

 シャナの言う通り、疲れ、があるのかな?


「今日は珍しいものをご用意しております。明の星、ツァガーン様から乳を練って作ったお菓子が届けられましたので」

「なんだ、来てたのか?」

「昨夜、訪ねてこられました。書状をお預かりしております。そのあとすぐに戻られました」


 なんだ、ちょうど行き違いになったんだな。

 しかし、書状か。会議の日程でも決まったかな?

 ずっとルドンにいたんだから、そっちで声掛けしてくれれば良いものを。


 それともあれかな?

 正式な書面だから、出先で手渡しとか失礼に当たる、とか考えたのかなあ。

 まあ今朝がたまで俺は、がっつりルドンの中枢にいたわけだから、裏組織の人間が簡単に接触できるわけもないか。いくらズブズブの関係でも、名目や体面があるよな。


 あ、いや、それ以前に、たぶん潜在敵国からの手紙だ。王国の都市で堂々と渡せる筈もないわな。こっちに来たのも当然か。

 まあ、仕方あるまい。


 今朝はルドン騎士団の兵舎で、ブラウゼルと一緒に朝飯を食ってから、ブラウゼルやニーアを見送ることになった。

 今回の顛末の報告と、接収した戦利品、具体的には伝信の魔道具や壊れた心珠など、それらは早急に王都に届けられることになったのだ。

 高速馬車を使うということで、まあ、ニーアとゴートが待っていてくれたことが結果オーライになったわけだな。


 もしかしたら、ブラウゼルは功績により懲罰異動の取り消し、王都凱旋になるかもしれない。次に会う機会は、あるいは当分先になるだろう。

 まあ、俺が何か仕出かす度に、気に入らん、っつって突貫してくるかもしれないが。


 ちなみに、リムと大和はロードアイからの帰還の途中から別行動だ。

 エスト山脈経由で帰ってきている筈だがまだ気配はない。

 恐らく夜までには帰ってくるだろうけど。


 俺の帰還を受け、縹局は今日から平常運転だ。

 俺にはまだ、直接の仕事は入っていないようだな。


「けど、なんだなあ。シャナ、俺って疲れて見えてる?」

「差し出口を申しましたでしょうか? あの、あまりお疲れのようには見えないのですが、息もつかずに飛び出しておいででしたから、気持ちは張ってらしたのではないかと思いまして……」

「いや、悪くないよ。心配してくれるのはむしろ嬉しいんだ。自分でも帰ってきてホッとしたように感じたし、きっと、疲れてたのかもな。体は元気だけど」

「そうですね。あまりお休みになっていないご様子、少し歩みを止められても良いのではないでしょうか」


 ふうむ、難しいな。

 休むことが歩みを止めることならば、今はあまり足を止めたくはない。

 なんとなし、そう思ってしまうんだが。


「歩みを止める、か。あまり停滞したくはないんだけどな」

「大丈夫ではないかと思います。次の一歩のために一息入れることは、決して停滞ではないと思います。それに……」

「それに?」

「何かあれば、きっとまた、すぐに飛び出していってしまわれます。ユウ様が停滞するとは思えません」


 むう、それは買い被りじゃないかなあ。

 いや、まあ、停滞するもしないも俺の自由なわけだが。そして、だからこそ、俺は停滞するわけにはいかない。何かあれば、即動く。これは俺の鉄則だ。

 俺が動かなければ、鈴音と太郎丸を腐らせてしまうのだから、それは俺の本意ではない。


「まあ、確かにそうかもな」


 あとは権力者に対してだと、下っ端が気を利かせて寝ている間の報告を止めたり、とかいった事例を聞いたことがあるが、その点、俺たちにその心配はない。

 ジークムントとヴォイドには、報告を止めるな、遠慮するな、と伝えてある。彼らはその俺の言葉をこそ尊重してくれるから、何かあれば、どんな時でも必ず伝えてくれる筈だ。

 環境は整っている。あとは俺が受け取るだけ。

 ならば、心配しなくていい。俺が頑張ればいい話だ。


「なら、ちょっと休もうか」

「はい」


 話しながら、シャナの手は休んでいなかったらしい。会話の切りと同時に、お茶が目の前にやって来た。あと茶菓子と。

 俺に休めと言っているシャナこそが働き者じゃないか?


「あれ、俺だけ? 一緒に食べないのか?」

「あの、その、今、食べてしまうと食事に響くと申しますか、その……」


 相変わらずの少食っぷりだなあ。


「それなら、お茶だけでも。一人飲みはつまらないんだよ」

「は、はい……」


 何故そこで恐縮する。

 やっぱり、なかなか召し使い枠から出てきてくれない。

 ううむ、ちょっとばかり偉そうにしてもいいかなあ。


「なあ、シャナ、お前の仕事ってなんだ?」

「はい、それはユウ様のお身の回りの」

「ちがうよ」

「え?」


 身の回りの世話、と言いかけたシャナの言葉を遮る。

 なるべく軽く、決して叱責だなどと思われないように。

 どうやら上手くいったようで、シャナはきょとんとした顔で目をぱちくりさせている。


「お前の一番の仕事は、俺の嫁さん」


 よし、噛まずに言えた。

 途端に、シャナの顔が真っ赤に茹で上がる。


「えう、あ、う、その、あの……」


 あたふたするシャナというのも、なかなかレアだなあ。

 視線も定まっていない。

 ヤバい。

 俺の中の自制が辞表を提出しようとしている。むしろ、した。


「……はい」

 俯いたままながら、シャナは俺に寄り添うように、ソファーに座ってくれた。頬を赤く染めたまま。

 さて、これはどちらが悪いんだろうか?

 俺は、シャナが可愛すぎるのが悪いと思うんだが。


「お館様、鈴音をお預かりし申す」

 太郎丸、ありがとう。……ごめん、いたのか。





 昼過ぎ、ジークムントたちから簡単な報告を受けたり、例のサルディニアの書状を確認したりしたあと、俺は和室で寛いでいた。

 差し向かいには一緒に昼飯を食べた凛が、ゆったりと座っている。


 四方が壁なのが残念なところだ。ものの少ない広々とした部屋なのに、閉塞感がないと言えば嘘になる。

 元々がルーデンスの貴族の館だからなあ。

 この座敷に加えて縁側と庭を望むのも酷な話か。


 もし俺に家を建てることが許されるなら、小さくてもいいから武家屋敷を建てたいな。竜胆の里にはそれっぽい屋敷もあったようだし、大工や技術は揃っている筈だ。

 ……迂闊に武家屋敷が欲しいとか言ったら、すぐにでも建ちそうだけど。


 今は、ロードアイでの顛末を一通り話し終えたところだ。


「フォルス流は確かに厄介だと教えられた。大陸の技であるにも関わらず、忍の技によく似ている、と」

「ああ、そうなんだ。まるっきり忍者だったな。任務失敗で爆死するところとか、物語ではよく読んでいたが、本当にえげつない話さ」

「えげつない、か。我ら華桑も、忍に同じことを強いているぞ?」

「お、そういやあ、そうか。ダメだな、忍者とはそういうものって思い込んでたから、違和感を感じなかった」


 いや、まあ、それ以前に、華桑にもやっぱり忍者はいたんだな。

 あのローザのこと、いない筈がないと思っていたが、やっぱりだ。

 命懸けの任務があること自体は当然だし、全く気にならないんだが、機密保持のための死が当然となると、思うところがないでもない。


「しかし、心珠を自壊させるという話は初めて聞いたぞ。華桑の忍も自死して機密を守ることはあるが、もしも死ぬなら心珠を壊すような死に方を選ばなくてはならない。心珠ごと爆死するとか、心珠を突いて死ぬ、とかだな。魔法で心珠を壊すという発想はなかったよ。私たちはむしろ、魔法を騙そうとしていた」

「魔法を騙すのか?」

「そうだ。心珠の解析とはいえ、人の魂を読み解こうとするものだ。所詮、表層的なものしか読み取ることは出来ない。だから、表層を騙しうる自己暗示をかけておく、といったやり方だな」

「それで上手く行くのか?」

「いいや。結局それは、捕まった時の保険というだけのこと。苦肉の策の一つに過ぎない。上手くいく時もあったし、通じなかった時もある。だから、忍に要求するのは、まず第一に生き延び、そして逃げ延び、最後に情報を持ち帰ること、結局そこに集約されたよ」


 なるほど、そうか。

 まあ、捕まらなければ済むというのは、元の世界でも変わらないな。捕まった時のリスクが、心珠の分こちらの方が高い、と。まあ、そういうことか。

 ……魔獣のいる世界で、それでもやっぱり、人間はお互い、相争っているんだなあ。業の深い話だ。


 話が一区切りつき、ふと、空白の時が流れる。

 ううむ、これがブラウゼルだったら、なんとでも会話の種が蒔けるんだが。たいていオチはからかって終わるから、向こうにしてみれば、言いたいこともあるだろうけど。

 あの気安さは、なんなのだろうな。

 何でもない馬鹿話でひたすら盛り上がったと言えば、あいつのことを真っ先に思い出すものだが。


 もちろん今でも、あいつとの思い出の方が山ほどあるわけだが、それでも、ブラウゼルと笑い合う記憶の方が、随分と大きくなってきたような気がする。

 あいつみたいなやつは、他にはいないよなあ。

 そんなことをぼんやり考えていたら、目の前には凛の顔があった。

 おおう、びっくりした。


「気もそぞろ、だな」

「お、そうだったか?」


 平静を装ってみるが、なんだか全てを見透かされているような気もする。


「私を前に、別の誰かを考えているというのも、少しばかり悔しく思うよ」


 ジト目、というわけではないか?

 冷ややかというわけでもないようだが、少しばかり拗ねたような瞳が、俺を射抜く。


「貴方のお陰で、私も少し自信を持てるようになってきたんだ」

「そうなのか?」

「ああ。貴方が私を好いてくれているのは、私の錯覚ではないのだろう?」

「う、お、あ、ああ、そうだな、その通りだよ」


 なんだ、この前振りのないストレートさは。

 照れてしまうじゃないか。


「私といる間くらいは、私のことを考えて欲しい。それは我が儘かな?」

「ごめん、凛をほったらかしにするつもりじゃなかったんだけど……」


 そっと差し出された手を、出来るだけ優しく握ってみる。

 ただ、凛といる間、話していたことは忍とかフォルス流とか随分と殺伐としていたような気もするが。


「私に手練手管は使えない。だから……」

 その瞬間、手首が、たぶん捻られたのだと思う。

 気がつけば俺は天井を見上げていて、俺に覆い被さるように凛がいた。

 小手投げ?


「言葉の要らない方法を試してみようと思う」

「あ、ああ……」


 俺に返事を返すことは出来なかった。

 俺の返事は、凛の唇に塞がれていたから。


 ううむ、寂しい思いをさせてしまったのだろうか?

 シャナの言葉ではないが、俺はすぐに飛び出してばっかりだったしなあ。

 披露宴がまだだから、公式に凛は動けない。一緒に来たくても来れなかったのだ。

 俺と凛だけの問題で済むのなら、いくらでも連れて歩くんだが、槙野家、ひいては全ての華桑人にその類が及ぶと思えば、迂闊なことも出来ないし、それは凛の望むところでもない。


 ぎこちないながらも一生懸命抱き締めてくれる凛を思えば、抱き締め返す俺の腕にも、力が入ろうというものだ。

 俺の抱き締め返し方?

 もちろん、ぎこちないよ。悪かったな。





 夜半、力尽きてぐっすり眠っている凛をそっと寝かしたまま、俺は中庭に出てきていた。

 空には相変わらず明るい月が輝いている。

 満月は確かに綺麗だけど、三日月とか、他の月もなければ、風情に欠けるよなあ。


 少しばかり喉が渇く。

 厨房に来てみれば、そこにはルクアがいた。

 明日の仕込みとかだろうか?


「あらあ、ユウ様。どうしたの?」

「ん、いや、喉が渇いたんだよ。 水をもらえないかな」

「はい、どうぞ」

「うん、ありがとう」


 一気に飲み干し、一息つく。

 なんだろう。

 体は全く疲れていないんだ。疲労感は、白竜と戦ったとき以来、全く感じていない。

 それなのに、今、溜め息のような息をついてしまった。


 心が、疲れているのだろうか。

 だが、心が疲れるような何かがあるか?

 鈴音と太郎丸、心臓に支えられ、ハクや凛たち、皆に愛されていて、これ以上ないくらいに満たされていると思うのに。

 この期に及んで、俺に何が足りないというんだ。

 俺はどこまで欲張りなのかと。


「ユウ様、悩みごと?」

「どうかな。正直、何を悩む必要があるんだ、って思うんだが」

「ん~、そういう言い方する時って、本当に悩んでいることが多いかなあ。よおし、お姉さんが聞いたげよう」


 言うが早いか、ルクアは俺の手をとって、ずんずん歩き始めた。

 なんだか、随分と雰囲気が違うぞ。

 綺麗なお姉さん、という感じでもないし、俺を前におたついていた面影もない。

 むう、また新しい表情だな。ルクア、本当のお前はどんな顔をしてるんだ?

 流されるまま、連れてこられたのは、まあ、予想通りルクアの部屋だったわけだが。


「えい」

 そのまま、もつれ合うようにベッドに押し倒される。


 俺に抵抗する気は、まあ、逆さに振っても出てこないよな。

 ただ、その後はなにするでもなく、肩を合わせて寄り添っているだけだった。

 顔を横に向ければ、すぐ目の前に楽しそうなお姉さんの顔が輝いている。


 もう、観念するしかなかった。

 自分の中でも全く整理がついてない感覚なのだ。目的を持った会話になどなる筈もない。ただ、思い付くまま、促されるままに言葉を重ねていく。


「そっか。ブラウゼル様がいなくなって詰まらなくなっちゃったんだね」


 むう、そうなのだろうか。

 平たく言えば、やつがいなくなって俺が寂しがってるってことか?

 まあ、あいつほど気兼ねなく適当かませる相手は他にはいないが。


「聞いてる限り、凄く仲良しさんだもんね。話していても楽しそうだよ。やっとお友達が出来たんだねえ」

「やっと、ってなんだよ」


 友達。

 友達かあ。

 本当にそうなんだろうか。

 部下っぽくない付き合いと言えば、確かに初めてではあるが。


「ユウ様は凄いから。凄く高いところを飛んでるから、みんな見上げるばかりになっちゃうんだよね。同じ方向を向いたり、一緒に着いていったりは出来るけど、同じ高さで飛ぶのは、凄く難しいもん」


 ルクアの言いたいことを考えれば、ブラウゼルは、俺にとって初めての対等の相手ということだろうか?

 それは、やつがそれだけ強いから、か?

 いや、待て、強さだけなら俺は凛の足元にも及ばないぞ。凛とは、対等の同盟相手のような感覚もあるし、同じ位置で向かい合っているような気がするんだが。


「凛は俺より遥かに強いし、リムだって俺といつでも肩を並べてくれている。ルクアだって、俺にしてみれば年上のお姉さんだし、今だって……」


 言葉にするのは照れ臭いが、なんだろう、ルクアには今、凄く包まれているような感じがする。

 言葉を濁した俺を見つめるルクアは、だが、にっこりと笑ってくれた。むう、全部見透かされている気がする。


「あたいたちは少し、別かもしれないね。きっとね、男の人には、男でしか埋められない何かがあるんだよ」


 それが友達、か?


「俺に友達が出来たのか。……あいつを友達と思っていいのか? 前の世界ではあいつしかいなかった。俺に友達と呼べるやつは一人しかいなかったんだ。ここに来て、俺に本当に友達が出来たのかな。俺はあいつを友達と呼んで、怒られないだろうか」


 友達ってなんだ。

 そもそも友達の定義ってなんなのだろうか。


「そういうことをね、考えなくていい相手が友達なんだよ」

「いや、考えるだろ?」

「ブラウゼル様だって、怒らないよ」

「なんで分かる?」


 うわあ、俺が意地張ってるみたいだ。子どもかよ。むしろ駄々っ子だ。


「だってね、ユウ様は怒ってないもん。ユウ様はもう、友達だと思ってるもん」

「え?」

「あたいがブラウゼル様をお友達って言ったとき、ユウ様はなんにも怒らなかったよ。ユウ様はもう、友達だと思ってる」


 そうか。

 ああ、そうかもな。

 確かに、俺はなんの違和感も感じていなかった。

 今の話は、俺がブラウゼルを友達と思っていることが前提となっている。そこはとっくにクリアした上で、やつがどう思うかを心配していただけのことなんだ。


 ブラウゼルは友達。

 そう、思っても、いいのかもしれない。

 なにかスッキリしたような、肩の力が抜けたような気がする。

 シャナに言ったことを思い返せば、相手がどう思うかは関係ない。

 俺があいつを友達だと思うこと、それがスタートになる。


「そうだな、そうだったんだ。俺に友達が、出来たんだ」

「うん、きっとね」


 あいつとは違う友達。

 新しい友達。

 それはあいつを上書きすることになるんじゃないか?

 そんな心配がなかったと言えば嘘になる。


 だが、ブラウゼルと笑い合う記憶がどれだけ大きくなっても、あいつとの思い出が失われたわけではない。

 上書きではない、上積みなんだ、きっと。

 なあ、新しい友達が、出来たんだ。

 お前も、許してくれるよな?


 もしかしたら、俺は泣いていたのかもしれない。

 気がつけば、ルクアの胸に、抱き締められていたから。

 ルクアに、包み込まれていたから。


「男の人には、男でしか埋められない何かがあるんだよ。でも、女でしか埋められないものもあるよ」

「ルクア……」

「ユウ様、愛してる」


 ああ、身体中から、力が抜けていくような気がする。

 もちろん、嫌な気がするものじゃない。

 なんだろう、これが安らぎ、ってやつだろうか?

 こんなにも穏やかな気持ちになれるなんて。


 明け方、遠くに狼の遠吠えが聞こえた

 ああ、リムと大和が帰ってきたなあ。

 今日は忙しいだろうか? 一緒に山脈に、行きたいなあ。


 夢うつつにそんなことを、俺は考えていた。

 夢うつつ。


 この世界に来て、俺は初めて、眠っていたのだった。


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