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 遠くからこちらに向かって、一直線に突き進んでくる大きな気配。

 鈴音の索敵にそれが引っ掛かったのは、会議を終えて間もない頃だった。


「ほう、一人だぞ」

「なんとも不遜な輩ですな。押し包みますか」

「いや、大した奴だと思うべきなんだろう。最初の予定通り、俺が行くよ。この分だと、後詰めは要らないな。あいつは任せてくれ。竜狼会は通常の任務に入ってくれて構わない」

「では、そのように」

「我が君のみ心のままに」

「頭が固そうだったけど、大丈夫?」

「大丈夫だろ。あいつ、見た目はあれだが、ちゃんと道理が通じるからな。意外と思慮深かったりするかもしれんぞ」

「それはないと思う」

「そりゃそうか。結構柔軟なとこもありそうだけど、思慮が深いってのは違うな」

「うん。ユウみたいな悪辣さはないと思う」


 あれ?

 リム、それ、誉めてくれてる訳じゃなかったのか?


「ちょっと待った! いくら相手が一人でも、局長一人で向かわせるとは竜狼会の名折れ。このザイオンが露払いを務めましょう!」

「ふうむ、側仕えの一人もなければ、格好がつかないかな? まあ、来てもいいが、あまりしゃしゃり出るなよ」

「何を仰る! 局長を矢面に立たせて安穏と出来るほど俺は図太くないですよ!」


 その瞬間、ゴツッと鈍い音が響いた。

 見れば、鞘ごと抜いた剣で、ジークムントがザイオンの頭を打ち据えている。


「我が君は、しゃしゃり出るなと仰せだ。お考えあっての事。つまらぬ常道を押し付けるな」

「そ、そうでしたか……! 申し訳ありませんでしたっ」

 いや、常識外れなのは否定しないが、やっぱり誉められてるのかなあ、これも。


「うん、ザイオン。気持ちは嬉しい、有り難いよ。でもまあ、ジークムントの言う通り、今回は任せてくれ」

「分かりました」


 さて、どたばたしているうちに、ブラウゼルはガンガン近づいてきている。確かに凄まじいスピードだな。あいつも化け物の類いか。

 こっちも急がないとな。


「じゃあ、行ってくる」

 部屋の窓から一気に空へ。

 さあて、銀狼の軽鉄騎をまとっての、初の全力飛行だ。スピードはどんなものかな?

 あ、ザイオン、置いてきちまった。





 飛行スピードは、能力値をそのまま反映するようなものではなかったらしい。まあ、考えてみれば、筋力で羽ばたいて飛んでいるわけでもなかったのだ。もっと魔法的なものか。


 だから、銀狼の鎧によって力が増していても、三倍早く飛べる、とかにはならなかった。

 ただ、なんと言うか、魔法の伝達効率が桁違いだ。

 風の魔法との親和性が高いのか?


 まあ、風の神竜の息吹、その吹き溜まりに巣を作っていたようなものだし、きっと風が染み込んでいるのだろう。

 ともあれ、風の守りと風の後押し、その効果が凄まじかった。結果的に、以前に倍するスピードにあっさり到達してしまったものである。

 鈴音がいなければ、俺は自分のスピードについていけずに、それこそ墜落してしまっていたかもしれない。


 力の調節が、再び課題になったみたいだな。

 ブラウゼルの目の前、盛大に地面を削って着地しながら、俺はそんなことを考えていた。


 さて、驚いたか?

 ヒノモトまではまだ少し距離のある森の中、勢いに乗りすぎて通り過ぎてしまったブラウゼルに向き直る。

 ゆっくり振り返ってみれば、向こうもこちらに向かって振り向いていた。


 暫しの見つめ合い。

 おお、金と銀の邂逅か。絵になるじゃないか。


「久し振りだな、ブラウゼル。こんなところで会うとは思ってもいなかったぞ」

「貴様、ユウか。ゴートの鎧は……着こなしているようだな」

「ああ、大したもんだよ。素晴らしいね」

 太郎丸の次に、だけどな。


「そう言えば、ニーアを連れてきてくれたんだってな、ありがとう」

「ふん、貴様の為にやったわけではない。あいつが隊商を探してうろちょろしていたから、ついでに積んできただけだ」


 なんだ、こいつは。

 背筋に冷やっとしたものを感じる。

 あんたのためにやったんじゃないんだからね、って、兜の向こうで赤面でもされていたらどうしよう?

 いや、まあ、考えすぎか。

 俺はサブカルチャーに毒され過ぎているからなあ。発想が不健全になってしまう。ブラウゼル、ごめんな。……信じていいよな?


「で?」

「で、とはなんだ」

「いや、こんなとこまで来たんだろ? 何か言いたいことでもあったんじゃないのか」

「ああ、そうとも。言いたいことは山ほどある。貴様が何者なのか、何処から来て何処へ行くのか、何をしようとしているのか、サルディニアをどうするつもりなのか」

「いや、それじゃあ聞きたいことであって、言いたいことじゃないだろ」

「む、うるさいな。取り敢えず貴様は胡散臭すぎる」

 聞きたいことの中に、えらく哲学的な問いが混じっていたような気もするが。


「まあ、いい。言わねばならぬこともある」

「お、なんだ?」

「クラインの事だ。機密に触れるから詳細は言えんが、裏切りの糸を一本、炙り出すことが出来た。それは礼を言っておく」


 おお、誰の事かと思えば、あれだな。最初の時にやたら煽ってきたあいつか。得する誰かが判明したのかな?

 まあ、判明したところで俺には明かせるわけもないだろうが。


「思わぬ結果、だったかな。踊らされるのも癪に障ったものでね」

「ふん、礼は言ったぞ。言ったからな?」

「ああ、受けたよ」


 なんだろうな。もし弟でもいたらこんな気分になるんだろうか?

 意地っ張りで手のかかるやつ。

 ……上から目線過ぎるかな?


「では、次だ。貴様、大侵攻を止めたな?」

「ああ、止まったな」

「これまでの歴史を覆す行為だ。貴様、何をやった?」

「相撲をとって酒のんだ」

「……貴様、馬鹿にしているのか?」


 おいおい、短絡的だな。もう剣の柄に手がかかっているぞ。


「いや、事実なんだけどな。元々俺は敵でも味方でもない。仲良くなってお願いしただけだよ」

「そんなことで戦争が終わるものか!」

「その通り。まだ終わっていない。糧食全部食い尽くしてやったから一時的に撤退しただけとも言える。来年以降がどうなるかは、また先の話だな」

「……意味が分からん。食糧庫に火でも放ったか?」

「いや、それだと本気の戦争になるだろ。宴会開いて全員で食ったんだよ」

「貴様は何を言っているんだ。そもそもなぜ宴会になった」

「大侵攻が成人の儀式になっていたからな、戦争の代わりの成人の祭りを提案した。なし崩しに宴会に突入したから、手加減せずに食い倒してやったよ」

「……戦争が祭りに取って替わられたのか……」


 おお、字面だけ聞くと凄い話だな。確かにあり得ないと思うだろう。


「立ち話もなんだな、お前、うちに来るか?」

「俺が向かっていたのに飛んできたのは貴様だろうが!」

「そういや、そうか。悪かったな。で、どうする?」

「……仕方ない。最後に一つだけ聞く。返答によっては、貴様を斬る」

「物騒な話じゃないか。で、なんだ?」


 剣の柄に手をかけ、ずっしりと腰を落としながら、ブラウゼルは、兜越しに俺を睨み付ける。


「貴様がサルディニアの国政に関与するというのは真実か? 貴様はサルディニアにくみするものか?」

「う~む、なんだろうな。お前んとこに集まる情報には何か悪意が混じる気がするぞ」

「話をそらすな」


 厳しい声音。兜越しでも分かる、向けられた鋭い視線。


「最後まで聞けよ? 大氏族長会議に招聘されている。国政に関与という意味がそれなら、答えは是、だ」

「やはり貴様は……!」

「いや、だから最後まで聞けって」

「む、聞こう」

 ふう、素直で助かる。


「大侵攻をやめろ、と直訴しに行くだけだぞ? それが国政と言えるか?」

「だが……!」

 何が怒りに触れたものか、ブラウゼルは抜剣した。

「貴様、不遜だぞ!」

 ほう、そうきたか。


「漂泊の分際で外交に口を挟むか! 積み重ねた歴史を踏みにじり、王権を侵すつもりか!」

「ふむ、その怒りは分からんでもないな。そちらの王がこれまでやってきた外交努力を壊してしまうかもしれない、その危惧は分かる」

「貴様、それが分かっていて……!」

 ブラウゼルの鎧が、うっすらと黄金の燐光をまとい始める。


「努力を、してきていたのか?」

「貴様、陛下を愚弄するか!」


 響く鈴の音。


 祐、気を付けろよ。

 鈴音がいる。早さは変わらない。

 だが、太郎丸がいないんだ。パワーはいつもの足元にも及ばない。いつもの調子でいれば、あっさり押し負けるぞ。


 エスト山脈での経験が活かせるかな?

 太郎丸でパワー負けした奴がいたんだが、それでも速さで圧倒してしまったからなあ。あまり参考にはならんか。


 凛の戦い方を思い出そう。力も速さも、何もかも弱い筈なのに、決して越えられない壁。


 よし、いくぞ、鈴音。

 上段から、若干袈裟気味に斬り込んでくる剣身に、動きに逆らわぬよう、横から刀身を添える。せめて押し負けないよう、片手で鈴音の峰を支えながら。


 その用心が、効を奏した。

 いや、むしろ、用心していなかったら負けていた。

 触れあった鈴音から伝わってくる凄まじいパワー。

 そして、それ以上に、何もかもを吹き飛ばしてしまいそうな重さがそこにあった。


 なんだ、これは。単純なパワーでは決してあり得ない。これもこいつの武術か。

 逸らす意思がなければ、持ち堪えることなど出来なかったろう。

 そして、直観する。やはりこれは技だ。パワーではない。太郎丸だったとしても、多分吹っ飛ばされていた。


 剣を受け流し、体を一歩横に逃がしながらも、掠める勢いで剣が横を抜けていった。正直、冷や汗を禁じ得ない。

 だが、今度は俺の番だ。

 ブラウゼルは剣を振り抜いている。俺の前に、無防備な側面を晒しながら。

 さて、どこに鈴音を刻んでやろうか。


 そう思った時には、振り抜かれていた筈の剣が、一周回って下から俺を斬り上げようとしていた。


 いや、ちょっと待て。

 なんだ、その回転の早さは。

 凛みたいに間合いを盗まれた感覚はない。

 だから、これは本当に動きの速さの筈だ。

 ブラウゼルの体の回転が止まる様子はない。


 もしかしたら。

 踏み込みから斬り込みの一連の動きに、俺の受け流しの勢いをも上乗せして、つまり俺の速さを間借りして、ヤツは斬り上げてきたのか。


 ヤバイな。

 上しかない。

 身長差が凄まじいのに、斬撃の下を掻い潜ることも出来ないとは、なんという懐の深さだ。


 逃げ道を限定されているとするなら、それに乗っかるのは悪手かもしれない、と一瞬思う。

 だが、構わない。

 迷うな、俺。翼を信じろ!

 力を込めて飛び上がれば、爪先を掠めて剣が抜けていった。


 ホッとひと安心といったところだが、祐、油断するなよ。動きを止めるな。

 身を翻し、空中で逆立ちをするように、足から空へ飛び上がっていく。天地逆さまになった俺の目の前には、ブラウゼルの兜。

 反撃に面頬でも裂いてやるか。考えてみれば、俺はまだこいつの素顔を知らないぞ。

 兜を横切る斬線にのせて、鈴音を振るう。


 その瞬間だった。

 ほんの僅かに、ブラウゼルが顔の角度を変えた。見えるか見えないかくらいの、鈴音だからこそ分かった微かな動き。


 にもかかわらず、たったそれだけで、鈴音は弾かれていた。


 信じがたい。

 微かな動きだけで兜に当たる角度を変えた。そして、それだけで刃筋が立たなくなったのだ。

 如何に鋭利な鈴音とはいえ、刃筋が立たなければ鉄の棒とあまり変わりがない。

 黄金の重鎧装を相手に、傷ひとつ、付けることも叶わなかった。


 なんという守りの固さか。

 そして、俺の頭を殴り付けるような鋭い鈴の音。

 横の回転が、一瞬で縦の回転に変わっていた。あいつの中で、力の流れはどう切り替わっているんだ。さっぱり見当もつかん。

 腕甲から吹き出す黄金の輝きを見れば、何かでブーストしてるのだろうとも思うが。


 なりふりなど、構っている余裕はない。

 翼を翻し、さらに高く、さらに遠くへ。

 木の枝など、なんの障りにもなりはしない。いや、それにかかずらわっていたら、もっと恐ろしいブラウゼルの剣撃が届いてしまう。

 気にする必要など、ない。


 森の木々の間を抜け、距離を空けた高みから、ブラウゼルを見下ろす。

 今の一連の攻防、銀狼の鎧で本当に良かった。

 太郎丸なら吹き飛ばされても空中制御ができなかった。

 偽装モードならもとより論外、力負けするのは明らかだ。

 銀狼の鎧で、本当に良かった。


 回転を止めたブラウゼルが、俺を見上げる。

「竜狼会局長は伊達ではないか。手加減して勝てる相手ではなかったな」

「おいおい、あれで手加減していたのかよ」

「斬らずに済ませるつもりだったが、やめだ。本気でいく。生き残れば、話を聞いてやろう」


 なんという勝手な言い草だ。参ったな。

 それならどうする?

 俺も、殺す気でいくか。

 そうだな。そして、ブラウゼルが生き残れるようなら、改めて話をしよう。

 よし、殺そう。


 俺の覚悟が伝わったか、兜の向こうで、ブラウゼルが、ふっと笑ったのが分かった。

 俺の頬にも、我知らず笑みが浮かぶ。


 次の瞬間、ブラウゼルが跳んだ。

 まるで鎧など着ていないかのように、軽く、そして速く、木の幹を蹴って、高みにいる俺を目掛けて駆け上がってくる。

 なんだ、こいつは。質量は何処へいった?

 いや、まあ、俺も太郎丸で似たようなことをやっているような気もするが。


 そして、あっという間にブラウゼルは俺の頭上にまで達していた。猿か、こいつは。

 そのまま、落下のスピードに乗って、俺に向かって突っ込んでくる。


 おかしいぞ。

 動きがあまりに素直過ぎやしないか?

 風の神竜と闘った時を思い返せば、俺はこの後、もう一手打った。

 ならば、ブラウゼルがこのまま落ちていくだけな筈がない。


 鎧の中に満ちた黄金の輝き。

 それがヤツの背面に渦を巻いているのを感じる。なるほど、あの気だかなんだかを使った爆発ダッシュか。

 どうだ、先手はとれるか?

 すり抜け様に交差は可能か?

 鈴音、俺はどう斬ればいい?


 刹那の問いかけ。行くべきか、退くべきか。

 その答えに、俺は愕然としていた。


 そこに、斬線が無かったのだ。


 そんな馬鹿な!

 鈴音に斬れないものなど無い筈だ!

 如何に強固な鎧だったとしても、斬線が全く無いとはどういうことだ?


 驚いていたのは一瞬だけの筈。

 だが、その時にはもう、凄まじい勢いで加速したブラウゼルが、空中で軌道を変えつつ斬り込んできていた。


 駄目だ、受けられない。

 逃げるしかない。

 神竜の強固な鱗さえ斬り裂く鈴音だぞ?

 凛相手ですら、常に一本は見えていた斬線が無いなど、こいつはどんな化け物なんだ?


 無様だろうが、構うものか。思わず、俺は逃げていた。

 鈴音に支えられた速さと、距離とが、俺を救ってくれた。

 間一髪、間合いの外に飛び出す。


 だが、ブラウゼルはそれで許してはくれなかった。

 更なる黄金の爆発。

 また、梢の端を足場にして、ヤツは軌道を縦横に変えながら俺に追いすがる。


 駄目だ、空にも逃げ場がない。

 あとの作戦は、遥か上空からの絨毯爆撃だが、この黄金の鎧相手に、どれほど効果があるものか?

 駄目だ、迷っていては逃げ切れない。奴が、追い付いてくる。

 斬線は、見えない。

 本当に斬れないのか?

 ヤツの軌道は直撃コースだ。かわしきれない。

 やむをえず、俺は鈴音で、ブラウゼルを打った。


 弾かれるにしても、打ち込めば一瞬の間が出来る。そして、そこを支点に身を翻すことも出来る。

 刹那の交錯。


 追いかけっこは一旦終わりだ。

 間合いが開き、ブラウゼルは一度、地に降りる。


「ふん、逃げ腰だな。空中戦が貴様だけのものだと思ったか」

 ああ、言葉もないね。

 油断していたつもりはない。だが、鈴音が斬れないとは思いもしていなかったんだよ。


 どうする?

 なあ、鈴音。本当に、ヤツは斬れないものか?

 斬線は、相変わらず見えないままだ。


 いや、ちょっと待てよ?

 本当に斬れないのか?


 思い出せ。弾かれこそしたが、一度は斬線が確かに見えた。

 だとしたら。


 鈴音が斬れないんじゃない。

 俺が斬れないだけなんじゃないか?

 俺の腕が、ブラウゼルに届かないだけ。


 そうか、考えてみれば、凛に斬線はいつも一本くらいは見えるものだが、これまで斬れたためしはない。

 むしろ、そこを斬りにいって、手玉に取られてばかりだった。

 だとしたら、凛に見えている斬線は、凛が見せてくれている隙なのかもしれない。つまり、誘いだ。


 ならば、ブラウゼルは、今は守りを固めて隙を見せていない。だから、斬線が見えないだけ。そして、俺に隙をつく腕がないから、いつまでも見えないままなだけなんじゃないか?


 そうとも。一度は見えたんだ。

 鈴音なら、絶対に斬れる。

 隙がないなら、隙を作ればいいじゃないか。

 頑張れ、俺。腹をくくれ、祐。


「重装備で見事なものだな。敬服するよ。空を共有できる奴がいたとは嬉しいね」

「ふん、まだそんな大口を叩ける余裕があるのか」

「そりゃあな、隠し玉の一つや二つ、お互い持っているものだろう?」

「邪道だな。俺に隠し玉など無い。如何なる奇策を弄しようとも、正道は崩せんということを教えてやる」

「奇策か。違うね。俺は俺の持てるものすべてを使う。俺を支えてくれる皆の力すべてを使う。それが、俺の正道だ」

「よかろう。その全員まとめて叩き潰してくれる」

「なら、いくぜ。空中戦は終わりだ。地上戦、付き合ってやるよ」


 翼をしまいながら地に降り立ち、そのまま全力で間合いを詰める。

 間合いが接するのと、翼をしまいきるのが同時。


 そして、ブラウゼルの顔の前に、幼女が飛び付いたのが同時だった。

 裸じゃないぞ?

 さすがに、それはあざと過ぎだからな。


 ブラウゼル、見えたぜ。


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