存在意義
あなたは私のことを
認めてくれますか…?
そう問いかけると大抵の人達は
困った表情・呆れた表情・哀れみ軽蔑の表情。
なんであなた方はそう冷たいのかと
また問いただすと大抵が逃げる。
あるいは、笑いながら馬鹿にして結局
去っていく。
また今日も
同じ。そう思いながら、この広い町に
ひとりで何かを探し求め、問いただす。
そして、僕の目の前を
ある清楚な綺麗な女性が通りかかる。
すると、またいつもの様に
「あなたは私のこと、
を認めてくれますか…?」と。
また結果は見えてることだと思い、
こたえを聞かないまま、背を向ける。
「あの、すみません。どうにか
なさったのですか?体の調子でも。」
はっ!その答えに僕は唖然としてしまう。
これが思いやりか。これが気遣いというものか。
初めて聞くその言葉に僕は感動を
隠しきれてはいなかった。
「いや、特に。そ、その…。」
僕はあまりにも稀なことだったのか、
全く返す言葉が見当たらなかった。
それにまだ内心信じきれてはいないのである。
「家の方となにかあられたのですか?
私でよければ、相談にはのりますよ。」
「気遣いありがたいのですが、
家族は、その…もう物心ついた頃にはいません。」
「そうでしたか。本当失礼いたしました。」
「や、やめてください。そんなこと。
ぼくが悪いんですから。ただ、ぼくは存在してる
のか確かめたかったんです。失礼しました。」
「それでは。」とまた僕は自分の存在意義を
探す旅に出るのであった。