表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/35

確定のようです

「まだ居たのか……」


 頭上からかけられた声に顔を上げると、そこにはアークさんがいらっしゃいました。あぁ、やっぱり背が高いですね。160cmギリギリしかない私が見上げるにはちょっと首が痛いです。

 アークさんは黒のコートをきっちり着込み、黒皮の手袋とのブーツ。あ、パンツも黒ですね。お好きなんでしょうか? 黒と水色の組み合わせはクールで素敵です。どうやらこれからご出勤のよう。いつの間にかお屋敷を追い出されてから随分時間が経っていたみたいです。

 私は怪訝な顔をしてこちらを見下ろしているアークさんに苦笑してしまいました。だって「まだ」と言われても、どこに行けばよいのか分からなかったので移動のしようがなかったのです。


「すいません。いつまでもご自宅の前に居座ってしまって。あの、此処がどこかだけでも教えてもらえないでしょうか?」

「……本当に分からないのか?」

「はい」


 アークさんは顔をしかめました。そしてそっと溜息をつきます。あから様では無いものの、冬の外気で息が白くなるのでバレバレですよ。


「……ここは王都だ」

「オウト?」

「ここから王城が見えるだろう」


 アークさんが指差す方を見れば、ここから十キロも離れていない場所にお城が見えます。青い屋根と装飾が美しいお城。どこかのテーマパークかと思っていたのですが、どうやら本物のお城のようです。つまり、『オウト』は『王都』なのですね。ちょっとびっくりです。


「……ここには王様がいるのですか?」

「王城に王がおわすのは当然だろう」


 という事は、やっぱりここは日本ではないのですね。現在王制を敷いている国は少ないですから、王制と雪が降る国であることを考えれば多少は絞り込めそうです。私が見たことの無いお城なのでイギリスだけは対象外ですが。


「ここはデンマークですか?」

「何?」

「ではノルウェー?」


 私の予想はどうやらハズレのようです。アークさんの眉間の皺が深くなりました。そんな顔ばかりしていると跡が残ってしまうので止めた方が良いですよ。


「……ここは蒼の国だ」

「アオノクニ?」


 聞いた事が無い地名です。しかも『ノクニ』ってもしかして『の国』ですか?それだと思いっきり日本語ですが。United States of Americaを『米国』と呼ぶのと同じでしょうか? それでもやっぱり聞いたことがないですね。

 首を傾げる私を見て、アークさんの声が低くなりました。


「蒼の国が分からないのか? では護国は?」

「えーと、すいません。それはどこにあるのですか? アメリカ? ヨーロッパ? それともアジア?」


 アークさんが再び可哀想な子を見るような目になりました。しかも先程より同情の色が強くなった気がします。

 とっても不本意なのですが、どうやらアークさんの中で私は可哀想な子で確定してしまったようです。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ