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異世界アジト~辺境に秘密基地つくってみた~  作者: あいおいあおい


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第43話 鬼男

 前から鬼男が真っすぐこちらに歩いてくる。

 背が高く筋肉質だ。

 ギゼラがすっと前に出る。

 男はシロやギゼラと同じ褐色の肌に灰色の髪をしており、角が生えている。

 これが鬼男か。

 厄介ごとの予感しかしないなぁ…………。

 ギゼラと同じくらいの身長か、体格的には変わらんな。

 目つきはかなり悪いが、シャープな顔立ちで中々の美形だ。

 だが服はボロボロで小汚い。

 シロやギゼラに比べると少し幼い顔だちをしている。

 意外と若いのかもしれない。


「おい、なぜ人のお前が鬼の女を連れて歩いているんだ?」

「お前に関係あるのか?」


 俺が答える前に、ギゼラが答える。

 いままで聞いたことの無い冷たい声だ。

 こいつこんな声出せたのか。

 俺がビビってきた。


「俺はその男に聞いているんだ」

「仲間だから一緒に歩いていただけだ」

「人間と鬼の女が仲間だと? ふざけているのか? おまえちょっとこっち――――」


 そう言って鬼男が俺に伸ばそうとした瞬間、ギゼラが手首を掴みひねり上げる。

 鬼男は急に焦ったような顔になる。


「な、なんだお前? 俺と戦うのか?」

「はあ?」

「上等だクソ女が! 覚悟はで――――うっおぇえ」


 ギゼラの覚悟はとっくにできていたようだ。

 鬼男の手首を掴んだまま腹に膝をめり込ませると、男はうずくまる。


「行こうボナス。これだから鬼男は…………」

「ま、まてよ! まだこれからだろうがっ!」


 主要な通りでは無いが、ギャラリーが集まってきた。

 遠目にみんな見物しているようだ。

 俺の場違い感が半端ない。

 ギャラリー側に混ざりたい。


「そんなぬるい攻撃効くわけないだろうが!」


 今度は男の方からギゼラに殴りかかる。

 一応腰に下げた剣を使わないだけの常識はあるようだ。

 しかし、ギゼラは冷たい無表情で男の拳を軽々避け、殴り返す。

 何発も。

 ただただ機械的に繰り返す。

 普段はたれ目でのんびりした、少し色っぽいはずの顔が、今は恐ろしく酷薄なものに感じる。

 見る間に鬼男の顔の形が変わっていく。

 いくら回復力高くてもあれはきついだろうなぁ。

 何十発殴られただろうか、男はついに地面に転がる。


「はぁ~…………ほんといやだわ」

「なんか面倒なことになったし、一度クロとシロのところに戻る?」


 ギャラリーもあまりに一方的な展開にドン引きしている。

 とてもこれからお買い物って気分にはなれないぞ。


「ふ、ふじゃけんな! ま、まだ……まだ!」

「うわぁまじかぁ」


 パンパンに腫れた顔で、色々なところから血を吹き出しつつ強がる。

 なんとか立ち上がった鬼男を、ギゼラは再び機械のように殴りだす。

 さすがに可愛そうになってくるが、まだ男は立っている。

 やっぱ鬼凄いな。

 俺なら一発で終わっている自信がある。

 後ギゼラもかなりやばいな。

 シロの戦いを見慣れていなかったら、ちびっていたかもしれない。

 あっ、また転がった。


「ふぁ、ふぁだふぁだいげる!」


 いやぁ…………いけないだろ。

 鬼族の集落では、鬼女は暴力的な鬼男を可愛いと思っているらしい。

 なんだかちょっと分かる気がしてきてしまった。

 ぼっこぼこにされながらも、全力で強がる姿はなんだか健気にも思える。

 とはいえ流石にそろそろ止めた方が良いか。

 でもどうやったら止まるんだ、これ…………。


「――――何してるの?」

「あっ、シロ」


 ちょうど男の後ろからシロがやってきた。

 騒ぎを聞きつけて、心配になって迎えに来てくれたのかもしれない。

 男が振り向き、シロを見て顔を引きつらせる。


「こいつが、ボナスに手を出そうとしたの」

「ちょっ――――――」


 止める間もなく、シロが男へ馬乗りになり顔を殴りだす。

 ドッドッドッと道路工事で聞くような音と衝撃が響く。


「シロストップ! 死ぬ、死ぬって! ギゼラっシロを止めてくれ!」


 何とかシロを落ち着かせると、鬼男はすっかり素直になっていた。


「しゅいまひぇんでひた」

「ボナス…………やっぱりこいつ殺しておいた方が」

「いやいや、まぁギゼラのおかげで、直接何かされたわけでは無いからね」


 辛うじて生きていてよかった。

 ギャラリーが邪魔なので、とりあえず一本通りを移動する。

 鬼男はわずかに回復しているように見える。

 よかった…………二度と顔の形が戻らなかったら流石に罪悪感を感じそうだ。


「けれど、何で俺達に声をかけてきたんだ?」

「どうやって鬼女を仲間にしたのか聞きたかった」

「うん? それだけ?」

「ああ。少し話を聞こうと思ったら、その鬼女が襲ってきたから戦っただけだ」

「私はお前が手を出そうとしたから殴ったんだ」


 まあ確かにこの鬼男、何か言いかけていたような…………。

 とはいえ、いくら悪気が無かったとはいえ、紛らわしい動きするなとは思う。


「まあ、シロとは特別に何かあったわけではないぞ。護衛を頼んで、それから一緒に飯食ったりしているうち、自然と仲間になった。それからギゼラとは最近合流したんだ。シロの知り合いだったしな」

「あまりよくわからないが…………わかった」


 どういうこっちゃ。

 まぁなんか急にしおらしくなったし、今後襲い掛かってこなければ別にいいか。


「まぁ商売に戻ろうか。クロにだけ留守番させるのは悪いしな」

「そうだね。一応メラニーにも頼んでおいたけど、はやくもどろ」

「ギゼラもシロも、拳とか大丈夫?」

「うん」

「大丈夫だよ~」


 シロもギゼラもすっかりいつもの雰囲気に戻ってくれてよかった。

 特にギゼラは今まで見たことの無い一面が見えて怖かったな。

 怒らせないようにしよう。


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